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「お手数ですが」の意味とは?
誰かに何かを依頼する時、ストレートにお願いするのではなく、相手に対する心配りの言葉を添えると、受け手の心象も変わってくるものです。
「お手数ですが」は、そんな“クッション言葉”として非常に重宝します。本記事では、正しい使い方、例文、また英語表現まで解説していきます。
◆「お手数ですが」の意味
ここでいう「手数」の意味とは、『他人のためにかける手間』のことを言います。「お手数ですが」には、相手がこれから自分のために費やすであろう時間や労力に対し、感謝やお詫びの気持ちが込められているのです。
◆「お手数ですが」の使い方
「お手数ですが」は、何かを依頼する際のクッション言葉として非常によく活用されています。相手にかかる負担の大小に関わらず、『自分のために相手が時間を割く』という状況において使用することで、相手への配慮が表れ好印象になるでしょう。
また「お手数ですが」でもきちんとした敬語に当たりますが、目上の方や取引先に対して使う場合は、「お手数をおかけいたしますが」とさらに丁寧に表現しましょう。相手に対し、より謙虚な印象を与えるのでベターです。
◆「お手数ですが」をビジネスで使う時の注意点
相手に大きな負担をかけてしまった際、「お手数をかけさせてしまい、申し訳ございませんでした」というお詫びの言葉が思いつくかもしれません。
しかし「手数をかけさせる」という言い方は誤った表現ですので、注意しましょう。この場合は「お手数をおかけし、申し訳ございませんでした」が正しい表現となります。
また「お手数ですが」を同じメールで何度も使用することも避けた方がいいでしょう。あまり乱用すると不自然な文面となり、言葉の重みもなくなります。そのことで、かえって相手にしつこい印象を与えかねません。ひとつのメールの中では、使用を一回に控えましょう。
「お手数ですが」の使い方は? 例文でチェック
では早速、具体的にどのようなシーンで使われるのか例文を見ていきましょう。
「お手数ですが、よろしくお願いいたします」
こちらはメールや電話など、あらゆるビジネスシーンで非常によく使われる表現。内容のチェックや日程の確認などちょっとしたお願い事をする際にも使えます。相手に依頼内容を伝えた後、最後に締めの言葉として使われるのが一般的です。
「お手数ですが(ご確認/ご一読/ご返信etc.)いただけますと幸いです」
相手に対する具体的な依頼内容とセットで使用するパターンとなります。メールや資料の内容確認、また回答や返信をしてほしい時などに組み合わせて使うことができ、こちらも非常によく目にする表現です。
また電話をかけた際、不在相手に折返しの電話をもらいたい時「お手数ですが、〇〇様より折り返しいただけますでしょうか?」と口頭でも使うことができます。
「お手数をおかけし恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。」
資料の作成や、関係者の調整など、相手に大きな負担をかけてしまう、または比較的時間を要するお願いをする際、「お手数+恐れ入ります」の組合せで使うことが可能です。メールや電話の最後に一言この言葉を添えると、より謙虚で丁寧な印象を与えることができます。
「お手数ですが」の前に使うクッション言葉
「お手数ですが」だけでも問題はありませんが、より丁寧さを印象付けたい場合は、さらにその前に別のクッション言葉をおいて表現することができます。では、使い方を見ていきましょう。
1:「お忙しいところお手数ですが、ご確認お願いいたします」
「お忙しいところ」という言葉を付け加えることで、相手が忙しい合間を縫って自分のために時間や労力を費やしてくれることへの感謝と謙虚さを表すことができます。
2:「ご多用の折お手数をおかけいたしますが、ご確認よろしくお願いいたします」
目上の方や取引先に対して何かを依頼する際は、「お忙しいところ」を「ご多用の折」と言い換えることができます。より堅く丁寧な表現となりますので、相手に合わせて使い分けましょう。
「お手数ですが」の言い換えにはどのようなものがある?
「お手数ですが」は他にどんな言葉にすることができるでしょう? 3つご紹介します。
「お手間を取らせてしまい恐れ入りますが~」
「手数」と似た言葉で「手間」を使った表現です。「手間」は、ある事に対し時間や労力を費やすこと。
「お手間を取らせてしまい恐れ入りますが」は「お手数ですが」と同様に、相手の時間を費やしたことやかかった労力に対しお詫びや感謝の気持ちが込められています。
「大変恐れ入りますが~」
「大変恐れ入りますが」と頭につけるだけでも、忙しい相手に対しこれからお願いする事へのお詫びの気持ちが表れ、ビジネスシーンでは頻繁に使われる表現です。
ただし、具体的に相手に何かをして欲しい時は「お手数」「お手間」というワードを使う方が、受け手も『何か対応しないといけない事がある』と認識しやすくなります。場面毎に使い分けるのがいいでしょう。
「ご足労をおかけしますが~」
「足労(そくろう)」とは、足を運ばせることを意味。「ご足労をおかけしますが」は、特に相手に自分のオフィスまで来てもらうような場面で使用します。
わざわざ時間や労力をかけて足を運んでもらうことに対し、感謝・お詫びの気持ちを表したい時に使える表現です。
「お手数ですが」のビジネスでの英語表現とは?
「I am sorry for the trouble but~」
「お手数ですが」のシンプルな英語表現となります。“but”以降に、“I would appreciate it if you could contact me as soon as possible(至急ご連絡いただけますと幸いです)” などといった具体的な依頼内容を続けます。
「I apologize for any inconvenience this may cause you but~」
“sorry”より丁寧な“apologize”を使った表現です。こちらも「お手数をお掛けし恐れ入りますが」といったニュアンスを表すことができます。
「(I am)Sorry to bother you but~」
こちらは「迷惑をかける」といった意味を持つ“bother”を使った表現。頭の“I am”を省略した形で、口頭でも非常によく使われます。
最後に
「お手数ですが」の解説、いかがでしたでしょうか? ちょっとした依頼の時にでも使え、社内外の誰に対しても活用できる非常に便利な敬語となります。こういったクッション言葉をひとつ覚えておくと、相手とのコミュニケーションも円滑になり仕事がしやすくなりますので、ぜひ使ってみてください。
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