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2024.04.01

「言う」の謙譲語「申す」の正しい使い方は? ビジネスで使える敬語表現もおさらい

結婚式などのかしこまったシーンやビジネスにおいて「言う」という動詞はよく使われます。そこで「言う」の「謙譲語」である「申す」の正しい使い方や「丁寧語」、「尊敬語」についてまとめました。他にもビジネスで使える敬語表現を合わせて紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

「言う」の「謙譲語」とは?

(c)Shutterstock.com

「言う」の謙譲語は何?と改めて問われても、日頃から当たり前のように使っているため、いまさら…と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ところが、意外と反射的に使える人は少なかったりします。そこで、今一度「言う」の謙譲語を一緒におさらいしておきましょう。

「言う」の謙譲語は「申す」

「言う」の「謙譲語」は「申す」です。また、「申し上げる」ということもありますね。そもそも「謙譲語」は、自分がへりくだることで相手の敬意を高める表現方法のことです。つまり、「謙譲語」を使う時の主語は主に「自分」になります。ですから、「Aさんが申す」とは言いません。

しかし、例外もあります。例外に関しては、後述の例文で確認してみてください。

敬語表現の種類

敬語表現には、「謙譲語」の他に「丁寧語」と「尊敬語」の二種類があります。「言う」の「丁寧語」、「尊敬語」もそれぞれ確認しましょう。

「言う」の丁寧語「言います」

「丁寧語」は、単語のはじめに「お」や「ご」をつけたり語尾が「ます」や「です」に変化したりする敬語表現です。敬語表現のなかで最も日常的に使われる表現なのではないでしょうか?

「言う」の「丁寧語」は「言います」。語尾に「ます」をつけて変化させるというわけですね。

「言う」の尊敬語「おっしゃる」

次に「尊敬語」バージョンです。「尊敬語」は動作する人の敬意を高める敬語表現となります。そのため「謙譲語」と異なり、主語は「相手(動作する人)」になります。

尊敬語で「言う」は「おっしゃる」です。漢字の「仰る」を使うこともできますが、堅苦しさもあるため平仮名の「おっしゃる」を使うことが多そうです。

「申す」の正しい使い方を例文で紹介

(c)Shutterstock.com

続いては、「申す」の具体的な使い方に移ります。

「弊社の社長がそのように申しておりました」

「謙譲語」は、自分がへりくだることで相手の敬意を高めるため、主語は基本的に「自分」であると先ほど説明しましたが、この例文はその原則の例外になります。

この例文では主語が「社長」になっていますよね。しかし、これは間違った使い方ではありません。ビジネスシーンでは、社外の人と会話する際の「自分」の中に「自分の勤めている会社」も含んで考えるため、同じ会社の上司の行動であれば「謙譲語」を使って表します。

「私が部長へ申し伝えておきます」

「申し伝える」は、「申す」の類語になります。「申し伝える」は「言い伝える」の謙譲語。物語や神話、伝説など他者に伝えることも「言い伝える」といいますが、ここでの「言い伝える」は、「自分と相手以外の第三者に物事を伝える」という意味で使います。

例えば、社外の人に対して、会社の人間に要件を伝える際に使える謙譲語です。

「今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます」

「申す」よりも、さらに丁寧な謙譲語が「申し上げる」です。目上の人に対して自分の考えを述べるときや、よりかしこまった場面で使える表現になります。「よろしくお願い申し上げます」は、特にメールや文章で使われることが多いです。

「申す」の間違った使い方

敬語は日本語の中でも、特に難しい部分です。それゆえ、「申す」も間違って使ってしまう人が多いので、しっかりと振り返っておきましょう。

「このようにお客様が申しておりました」

「お客様」は、会社や家族など身内に含まれません。つまり、この使い方は誤用です。この場合は「言う」の尊敬語「おっしゃる」を使いましょう。正しくは、「このようにお客様がおっしゃっておりました」です。

「この会議の内容を社長に申し上げておきます」

この使い方も誤りです。社長に対して敬意の方向が向いていますよね。正しくは、「社長に申し伝えておきます」となります。ややこしく、難しいため「申す」をビジネスシーンで使う際は気をつけましょう。

ビジネスで使える敬語表現

(c)Shutterstock.com

最後に、「申す」以外でビジネスシーンに応用できる敬語表現を挙げておきます。実際に役立つ表現ですので、ぜひ参考にしてくださいね。

ご健勝

「ご健勝」は、文章やスピーチの冒頭、締めによく用いられるフレーズです。「ご健勝」は「ごけんしょう」と読みます。「健康なこと」や「元気なこと」を表す「健勝」に丁寧な印象をもたらす「お」の接頭語を組み合わせた単語です。

ビジネスシーンにおいては、「皆さまのこれからのご活躍とご健勝をお祈り申し上げます」などと使うことができます。「自分」が「相手」に対して「ご健勝」を祈るため、ここでは、「申し上げます」を使いましょう。

ご容赦ください

「ご容赦ください」もよく使われる表現です。「ご容赦」は「ごようしゃ」と読み、「相手の許しを請う」という意味があります。例えば、相手の申し出を断るときに使いやすい表現です。「ご期待に沿うことができず申し訳ありません。何卒ご容赦のほどお願い申し上げます」というように、「ご容赦」と「お願い申し上げます」をセットにして使うことで、丁寧な印象で断ることができます。

ただし、「ご容赦」は使い方によって、相手に不快感を与えてしまう場合があります。「ご容赦」には「譲歩する」というニュアンスが含まれているため、例えばこちら側に不手際やミスがあった場合には使いません。

「この度は、弊社の不手際でご迷惑をおかけし、申し訳ありません。何卒ご容赦ください」と「ご容赦」を使ってしまうと相手側は違和感を覚えます。こちら側に非がある場合は使わないようにしましょう。

僭越

「僭越」は「せんえつ」と読みます。「僭越」とは、「自分の立場や身分を逸脱した言動をしてしまうこと」です。上司や取引先の相手に意見を述べたい際に使うことのできる便利な表現です。「自分の立場で恐縮ですが」というニュアンスで「僭越ながら」と使います。

例えば、「僭越ながら、私の意見を述べさせていただきます」とすることで「私の意見を述べさせていただきます」よりも丁重に意見を述べるニュアンスが強くなりますよね。

最後に

「申す」は、ビジネスシーンにおいて非常によく使われる言葉です。しかし、尊敬語と謙譲語を混同してしまったり、使う相手を間違えてしまったりと、誤用の多い言葉でもあることがおわかりいただけたことと思います。

本記事が、日頃の敬語の使い方を見直すきっかけになれば幸いです。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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