【目次】
・「仰る」の読み方、意味とは?
・「仰る」の使い方は? 例文でチェック
・「仰る」の類語は?
・「仰る」の英語表現
・最後に
「仰る」の読み方、意味とは?
敬語としてよく耳にする「仰る」という言葉ですが、尊敬語? 謙譲語? とこんがらがってしまった事ってありませんか? ビジネスシーンでは特に、使う相手を注意しなければなりません。間違った使い方をして恥ずかしい思いをしないように、本記事では具体的な例文を用いて丁寧に説明していきますので、今一度「仰る」という言葉について整理していきましょう。
◆「仰る」の読み方、意味?
「仰る」は<おっしゃる>と読み、「言う」の尊敬語にあたります。尊敬語とはつまり、相手の行為や状態などに関して、敬意を表する言葉になりますので、「仰る」は自分より目上の相手が主語の場合に使うことが可能です。
一般的には、漢字表記もひらがな表記もどちらも正しいですが、新聞や雑誌記事などでは、読みやすさからひらがな表記で見かけることが多いかもしれませんね。メールで使う場合も、読みやすさを重視し、全体のバランスを見ながら使い分けましょう。
◆敬語として正しい?「仰られる」、「仰りました」はNG?
上述したように、「仰る」は尊敬語になりますのできちんとした敬語表現です。目上の相手や取引先など、敬意を表すべき相手の行為に対し使われます。
中には、「仰られる」という言葉も聞いたことがある方もいるかもしれませんが、実はこれは間違った使い方。「られる」とは、尊敬の意を含んだ助動詞なので“二重敬語”となってしまいます。意外と無意識に“二重敬語”が出てしまうことってありませんか? くどくどとした言い回しになり、相手によっては常識を欠いた印象を与えかねませんので、十分気を付けましょう。
また「仰りました」も誤った使い方です。文法上、「仰る」に「ました」や「ます」をくっつける際は、文末の「り」を「い」に変換し、「仰いました」、「仰います」が正解となります。これは、「いらっしゃる」や「なさる」も同様で、「いらっしゃいました」、「なさいました」が正しい使い方になりますので、ぜひ覚えておきましょう。
「仰る」の使い方は? 例文でチェック
では、実際にどのように使われるのか、例文と一緒に見ていきましょう。
1:「○○さんの仰る通りですね。昨今の情勢を鑑みるとわたしもA案に賛成です」
「仰る通り」というフレーズは、上司や顧客の意見を「ごもっとも」と思える際に使える表現です。もし反対の意見を言いたい場合でも、「○○さんの仰る通りだとは思いますが、しかし~という側面もあるかと思います」といったように、クッション言葉としての役割を果たすことも可能になります。
2:「もしご不明な点などございましたら、ご遠慮なく仰ってください」
例えば、誰かに何か依頼をした際や、資料を送付した際など、メールの最後に一言このフレーズを添えるととても丁寧な印象になり、受け手の心証もよくなるのでオススメです。
3:「先日の役員会議で、○○会社の社長はこちらの提案通りで進めてよいとおっしゃったそうです」
相手がその場にいなくても、目上の相手が主語であれば「仰る」は使うことができます。ここで注意しなければいけない点がひとつあります。それは、社外において、社内の人が主語の場合です。
例えば、上司と同行し取引先と打合せをしている時に、上司が言ったことに対し、「○○(上司)が仰ったように」と言いたくなりますが、ここではNG。社外における自分や身内の言動に対しては、謙譲語の「申す」を使い、「○○(上司)が申したように」が正しい言い回しです。
「仰る」の類語は?
以下は、「仰る」の類似表現です。ただしどれも、自分がへりくだって使う謙譲語ですので、目上の相手に対し使うことは可能ですが、主語は自分あるいは目下の人になります。混同しないように注意して使いましょう。
1:「申し上げる」
「言う」の謙譲語。「感謝申し上げます」、「ご挨拶申し上げます」、「お詫び申し上げます」、「お願い申し上げます」など、目上の相手に対し「~申し上げます」の形で幅広く使われるフレーズです。
・この度はお忙しい中お時間を頂戴し、感謝申し上げます
・ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
2:「申し伝える」
「伝える」の謙譲語です。電話応対のシーンで、伝言を承った際などによく使われる表現になります。
・承知いたしました。戻り次第、○○に申し伝えます。
3:「申し述べる」
こちらは「述べる」の謙譲語になります。会議で発言する際などに使われることがあります。
・では、本件の経緯について、詳細申し述べます。
「仰る」の英語表現
英語には、大まかにいうと敬語表現は存在しないため、ここでは“say”や“mean”、“contact”など、状況に応じて使い分けが必要です。
・I see what you’re saying. / I know what you mean.
(あなたの仰っている事は理解できます)
・Please contact me if you have any questions.
(何かご質問がございましたら、仰ってください)
最後に
いかがでしたでしょうか? 皆さんは日頃から「仰る」という言葉を正しく使えていましたでしょうか? 日本語の敬語表現は、尊敬語、謙譲語と主語によって使い分けが必要となり、特にビジネスにおいてはこの二種類の言葉が多種多様なシーンで使われます。
「仰る」は、目上の相手が主語となる場合に使われ、社外において身内が主語の場合には「申す」という謙譲語を使う、というルールを頭に入れ、実際に活用してみてください! 敬語は、習うより慣れろとよく言いますが、自分の口でたくさん話すことで自然と身につくようになります。日頃からきれいな言葉遣いができる社会人になりたいですね! これからも一緒に頑張りましょう!
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