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一文に目を留めて、じっくりと読み込むことで、不思議と気持ちが整ったり、心が静かになることってありますよね。
慌ただしい日常のなかで、私たちはつい情報を「消費」するように読んでしまいがちです。SNSやニュースが絶え間なく流れる今、文章と丁寧に向き合う時間は、意識しないと失われてしまいますよね。そんな今だからこそ、「熟読玩味」という四字熟語に注目し、意味や使い方を紹介します。
本と向き合うひとときが、心を整えるヒントになりますように。
読むことで味わう「熟読玩味」の意味とは?
「熟読玩味」は、読書好きなら、一度は触れておきたい四字熟語です。意味がわかれば、詩や文章をじっくり読んで、言葉の余韻に目を向けるような読書がしたくなるかもしれません。
「熟読玩味」の読み方と意味
「熟読玩味」は「じゅくどくがんみ」と読みます。辞書では、次のように説明されています。
じゅくどく‐がんみ〔‐グワンミ〕【熟読玩味】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)詩文をよく読み、その意味を十分に味わうこと。
「熟読玩味」とは、読書を単なる情報収集ではなく、文章の内面にある感情や思想を丁寧に受け取る姿勢を表す言葉です。

「熟読玩味」の成り立ちと構成
「熟読玩味」は、「熟読(じゅくどく)」と「玩味(がんみ)」という二語から成り立っています。それぞれの意味を見ていきましょう。
「熟読」とは、文章の意味をよく考えながらじっくり読むことです。一方の「玩味」は、言葉や文章の意味、内容をよく理解しながら、味わうように読むことを意味します。
この二つが合わさった「熟読玩味」には、深く読み込む読書の姿が反映されています。
参考:『角川類語新辞典』(小学館)
「熟読玩味」はどんな場面で使う? 例文で確認
「熟読玩味」は、日常会話やビジネスではあまり見かけませんが、深い学びの場面で生きる言葉です。古典文学や詩、思想書など、何度も読み返しながら向き合いたい文章に対して使うことが多いです。具体的な例文とともに確認していきましょう。
「この一節を熟読玩味したい」
日々忙しく働く人にとって、ふと立ち止まるような文章に出会ったとき、丁寧に味わうことこそが「熟読玩味」にあたります。
例文では、読み飛ばさず、あえて時間をかけて読むことを表しています。読むことで気持ちを整えたり、自分の感性を再確認したりする、そんな読書の楽しみ方を伝える使い方です。
「彼は古典を熟読玩味している最中です」
この例文では、古典作品を深く味わっている様子が伝わります。こうした時間が、感性や思考を整える大切なスイッチになるのかもしれませんね。
読書にもいろんなスタイルがある|「熟読玩味」の類語
読書には、速く読むことが求められるときもあれば、じっくり味わいたいときもありますよね。「熟読玩味」もその一つですが、似た言葉とどう違うのかを知ると、自分の読書スタイルが見えてくるかもしれません。

「精読(せいどく)」
「精読」は、細かいところまで丁寧に読むことを指し、学術的な文章や資料を読む場面にも使います。
「熟読玩味」が感性や余韻も含めた読書姿勢であるのに対し、「精読」は論理や正確さに重きを置く表現といえます。
「味読(みどく)」
「味読」とは、表現の美しさや言葉の響きに注目して、心で感じるように読み進める姿勢です。論理よりも感性に軸を置き、情緒を大切にした読み方といえるでしょう。
英語で表すとどうなる? 「熟読玩味」の英語表現
「熟読玩味」は、読書が情報処理ではなく、心を向ける営みであることを再認識させてくれますね。英語にも、深く読む行為を表す言い方があります。では、英語でどんな表現をするのか、見ていきましょう。

“read with appreciation”
「熟読玩味」に近い読書の姿勢を英語で表すとすれば、このような言い回しがぴったりです。“appreciation”は、「意味を深く考え味わうこと」を意味します。
【例文】“He read the letter with appreciation, savoring every word.”
(彼はその手紙をじっくりと読み、一語一語を味わっていた。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
最後に
「熟読玩味」は、読み進めるうちに意味や余韻をじっくり味わい、考えを深めていくような読書の姿勢を表す言葉です。文章に向き合いながら、自分の内側にある感情や思考とも向き合う。そんな時間にこそ、「熟読玩味」はぴったり合うのかもしれませんね。
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