日常会話や文章表現の中で、ふと見聞きすることのある「得手勝手」という言葉。その語感から、やや厳しい印象を受ける人もいるかもしれませんが、具体的な意味や使い方を理解すると、日常生活の中でも使えそうです。
本記事では、「得手勝手」の読み方や意味、言い換え表現、例文までをわかりやすく紹介します。
「得手勝手」とは? 読み方と意味を解説
まずは「得手勝手」の基本的な読み方と意味を確認していきましょう。「得手勝手」は「えてかって」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
えて‐かって【得手勝手】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]他人のことは考えず、自分に都合のよいように行動すること。また、そのさま。わがまま。「―が過ぎる」「―な注文」
「得手勝手」とは、自分にとって都合のいいように振る舞うさまを表す言葉です。他人の事情や立場に配慮せず、自分中心の行動をとる態度を指すことが多いでしょう。

「得手勝手」の使い方は? 実際の例文で確認
意味だけでは使い方があいまいなこともあります。ここでは、「得手勝手」という言葉が使われる場面を例文を通して見ていきましょう。
彼は、いつも得手勝手な行動をとる
この例文では、周囲との調和よりも自分の都合を優先して行動する様子が描かれています。やや批判的なニュアンスが含まれます。
勝手に予定を変えるだなんて、得手勝手が過ぎる
相手の一方的な都合により、予定が変更されたことへの不満を示す表現です。日常会話でも使いやすい文例です。
その発言は、あまりにも得手勝手だ
この場合、相手の言動に対して公正さや配慮が欠けていると感じたときの指摘として使われています。ビジネスの場でも目にすることがあります。
「得手勝手」の言い換え表現や類語は?
「得手勝手」と似た意味を持つ言葉はいくつかあります。それぞれに微妙なニュアンスの違いがあるため、状況に合わせて使い分けると、より伝わりやすくなります。

自己中心
物事の基準を自分に置き、他人の考えや立場に配慮しない姿勢を表します。「自己本位」や「自分本位」といった言葉で言い換えることもできます。
身勝手
自分の都合だけで行動し、他人への思いやりを欠いたふるまいを指します。感情や判断が自分本位に傾きすぎたときに使われることが多い言葉だといえるでしょう。
独善的
自分の考えを絶対視し、他者の意見を受け入れようとしない態度を表します。「得手勝手」とは異なり、「自分だけが正しい」という前提で他人に価値観を押しつけるようなニュアンスを含みます。
「得手勝手」に似た意味を持つ四字熟語
「得手勝手」と似た意味を持つ四字熟語を知っておくことで、言葉選びの幅が広がります。場面や文脈に応じて、表現を使い分けてみるのもおすすめです。
我田引水(がでんいんすい)
もともとは「自分の田んぼにだけ水を引く」という意味から、自分に都合のいいように物事を解釈したり行動したりすることを表します。自分本位な態度を批判的に表す際に使われます。

唯我独尊(ゆいがどくそん)
この言葉には、「この世で自分だけがすぐれている」と思い込む、「ひとりよがり」という意味があります。「得手勝手」と比べると、より強い自尊意識やうぬぼれのニュアンスが含まれているといえるでしょう。
最後に
「得手勝手」という言葉には、他人の都合や気持ちを顧みず、自分の考えや行動を優先してしまう様子を意味します。少しきつく聞こえることもありますが、意味を知ることで、自分やまわりの言動を見つめ直すきっかけにもなるかもしれませんよ。
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