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そもそも「諸般の事情」とは?
「諸般の事情」という言葉の意味から整理します。
「諸般」は“しょはん”と読み、「さまざま」「いろいろな」といった意味をもつ言葉。
つまり「諸般の事情」とは、複数の事情や背景があることを示します。
なお実務上では、ひとつだけでは説明できない事情があったり詳細を説明しない(できない)理由があったりするときに、よく用いられています。
「諸般の事情」がビジネスでよく使われるのには理由がある

「諸般の事情」という表現が、ビジネスシーンでよく使われるのには理由があります。
単なる言い回しとしてだけでなく、便利な役割を担う言葉でもあるのです。
詳しく見ていきましょう。
♦︎理由1:詳細をぼかせる
ビジネスでは、事情をすべて開示できないケースが多々あります。
たとえば、人事異動や契約上の問題、社内トラブルや経営判断、個人情報などがこれに当たります。
このような事情があるときに、詳しい説明はできないけれど何らかの事情があっての判断であることを伝える言葉として、詳細をぼかしておける「諸般の事情」は使いやすいのです。
♦︎理由2:関係者への配慮になる
ビジネスシーンでは、理由をストレートに言うことによって不要な摩擦が起きるリスクも伴います。
たとえば、あるイベントに「参加者が集まらなかったため中止します」というよりも「諸般の事情により中止いたします」としたほうが、角が立ちにくいのも事実。
言葉をやわらかくし人間関係を円滑にできる、つまり関係者への配慮につながるメリットもある言葉なのです。
【例文あり】「諸般の事情」の正しい使い方

「諸般の事情」を実際にどう使えばいいのか、Oggi世代によくあるビジネスシーン別に見ていきましょう。
♦︎社内連絡では、必要な情報までは隠さないが伝える必要がないときに用いる
社内のメンバーに対しては、必要な情報までは隠す必要はありませんが、細かな事情を伝える必要がないと判断できる場合に「諸般の事情」を用いると自然です。
<例文>
「諸般の事情により、来週予定しておりました会議日程を変更いたします」
♦︎取引先への連絡では、事情を説明できないときに配慮しながら用いる
取引先への連絡では、さまざまな方面への配慮が必要なシーンで用いられます。
<例文>
「誠に恐縮ではございますが、諸般の事情により商品の発売日を延期することとなりました」
♦︎イベントや告知では、定型文的に使われることもある
イベントや告知に関連する連絡では、詳細までは伝える必要がないものの開催を延期、または中止するときに定型文的に使われることもあります。
<例文>
「諸般の事情により、本イベントは開催を中止いたします」
「諸般の事情」を使うシチュエーションでの“3つの注意点”

「諸般の事情」は便利なフレーズではありますが、使い方によっては違和感や不信感を抱かせることもあります。
注意すべき点をまとめました。
♦︎注意点:なんでも隠すための言葉として使わない
「諸般の事情」は便利だからこそ、乱用しやすい言葉。
けれど「諸般の事情で、できません」「諸般の事情で変更です」ばかりになれば、不誠実な印象を醸します。
説明できる範囲ならば、できるだけ理由を補足するほうが親切でしょう。
♦︎注意点:相手が必要な情報は伝える
事情をぼかしすぎると、相手に必要な情報まで隠すことになってしまいます。
たとえば、以前筆者が関わった事例では「諸般の事情により会議延期」とだけ共有され、補足情報が一切なかったことから「いつに延期?」「資料はどうするの?」「再開するの?」などの質問が続出していました。
詳細はぼかしたとしても、相手が必要な情報は的確に添える必要があります。
♦︎注意点:カジュアルな場面には相応しくない
たとえば、親しい友人とのやり取りで「諸般の事情により今日は行けません」といえば、大げさな印象を与えかねません。
「諸般の事情」は重みのあるフレーズなので、カジュアルな会話には不適切です。
日常会話であれば「ちょっと事情があって」「都合があって」くらいが自然でしょう。
【例文あり】「諸般の事情」を言い換えるなら? 便利な表現まとめ

「諸般の事情」は、何度も使いすぎると文章が硬くなるだけでなく不自然な印象も与えます。
場面に応じて言い換えられるよう、Oggi世代が使いやすい表現をまとめました。
♦︎「各種事情により」
ビジネスシーンで、少しやわらかな表現へと変えるならば「各種事情により」が便利です。
<例文>
「各種事情により日程変更となりました」
♦︎「諸事情により」
「諸般の事情」とかなり近い意味の言葉ですが、「諸事情により」は会話でも使いやすい表現です。
<例文>
「諸事情により公開を延期いたします」
♦︎「都合により」
「都合により」は、日常的に使われている表現なので、万能な言い換えです。
ただし「諸般の事情」と比べると、少し個人的な印象を与えやすいフレーズです。
<例文>
「都合により営業時間を変更します」
♦︎「総合的に判断した結果」
「総合的に判断した結果」は、理由をぼかしすぎず、少しだけ具体性のある印象を与えたいときに使いやすいフレーズです。
<例文>
「総合的に判断した結果、計画を見直すこととなりました」
モヤモヤを解決!「諸般の事情」へのよくある疑問に専門家がアンサー

「諸般の事情」に関連するOggi世代のよくある疑問に、専門家がワンポイントで回答します。
♦︎Q1.「諸般の事情」と「諸事情」は同じですか?
A1. かなり近い意味の言葉です。
「諸般の事情」と「諸事情」は、かなり近い意味の言葉。
ただし「諸般の事情」のほうがややフォーマルで硬い印象なので、実務上ではビジネス文書は「諸般の事情」、会話では「諸事情」が使われがちです。
♦︎Q2.「諸般の事情」は言い訳っぽく聞こえますか?
A2. 状況によります。
「諸般の事情」が言い訳に聞こえるかどうかは、状況次第。
一方で、理由を一切説明しないままでは「逃げている」と受け取られかねない場面もありますから、必要な範囲での補足は常に意識して。
♦︎Q3. メールで使っても問題ありませんか?
A3. メールでも使える表現です。
「諸般の事情」は、メールでも使える表現です。
むしろ、社内外のフォーマルなメールではよく使われています。
ただし、繰り返し使いすぎると不自然になる点には注意して。
「諸般の事情」は、ビジネスにおいて非常に便利な言葉
「諸般の事情」は詳細をぼかせるので、ビジネスシーンにおいて非常に便利な言葉です。
ただし、本来であればコミュニケーションでは「理由を隠すこと」が大事なのではなく、事情を整理しながら相手へ配慮をして伝えることが大切なはず。
そのため、隠すことばかりに必死になって「諸般の事情」を乱用するのは避けたいところです。
使うときには詳細をぼかしすぎずに必要な情報は補足するよう心がけると、信頼できるコミュニケーションへとつながります。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



