問題と課題の違いは?
「問題解決を早急に進めよう」「課題が多くて何から手をつけていいかわからない」。「問題」も「課題」も、日常的によく聞く言葉ではないでしょうか? 実際に「問題」と「課題」について、違いを正確に理解している方は多くないかもしれません。
言葉の意味を把握することで、タスク計画の立て方や目標の決め方がクリアになり、業務効率の向上やモチベーション維持につながると言えますね。本記事では、問題と課題の違い、課題解決のステップを紹介します。
問題と課題を辞書で調べてみると、デジタル大辞泉では以下のように定義されています。
【問題】
1・解答を求める問い。試験などの問い。
2・批判・論争・研究などの対象となる事柄。解決すべき事柄。課題。
3・困った事柄。厄介な事件。
4・世間が関心をよせているもの。話題。【課題】
1・与える、または、与えられる題目や主題。
2・解決しなければならない問題。果たすべき仕事。
ビジネスにおいては、問題も課題も「2」が相当すると思われます。
ニュアンスとしては、問題は、現状と理想のレベルとの間にギャップが生じ、好ましくない状況に陥っている状態を指します。一方で課題とは、今のレベルから、さらにレベルアップした状態を目指すことです。
具体的な例を見ていきましょう。あるメーカーの問題と課題を列挙します。
1・ヒット商品の開発
2・商品の性能欠陥
3・売上高を10%アップ
4・倉庫がいっぱい
このメーカーの場合、問題は2の「商品の性能欠陥」と4の「倉庫がいっぱい」となり、課題は1の「ヒット商品の開発」と3の「売上高を10%アップ」となります。
問題を解決するには、発生の原因を突き止め、対策を講じ、実行することが考えられます。そうすることで好ましくない状況から脱することができるでしょう。
課題を解決するには、市場調査を行う、新たな発想やアイデアを生みだすといったことを試み、理想のレベルにアップしていくことが必要です。
問題と課題の違いを正確に把握するには、効果的な解決方法を見つけたり、最適な目標やアクションプランを立てたりすることが、大切なことだと言えるでしょう。
課題解決はどうすればいい?
仕事で生じる課題に、どう対処していけばいいのでしょうか? ここでは課題解決についてのステップを紹介します。
1:課題探し・確認
まずは、将来を見据えて、課題を見つけ出すことから手をつけます。レベルアップするにも、あるべき姿を定めないうちは、無駄な動きが生じてしまうでしょう。会社の方針、外部環境の変化、顧客の期待など、さまざまな観点から探っていきます。
見つけ出した課題を、市場のニーズやトップの方針、関係者のニーズなどと照らし合わせて確認します。これらのニーズに添っていることが大事です。
2:課題をテーマ化する
課題が大きいと、全体像がつかみにくく、また、解説の糸口も見つけにくいでしょう。課題を、取り組みやすい具体的な状態に細分化し、テーマに落とし込みます。課題を大木に例えると、テーマは葉、枝、幹、根といったイメージです。落とし込んだテーマに優先順位をつけて、取り組んでいきます。
3:コンセプト、構想を企画書にまとめる
課題は、当然のレベルからレベルアップを図るもの。今までと同じ発想では、結果が出ません。そこで、今までの着眼点を洗い出し、現状での捉え方、その根底となる考え方を可視化、その上で新しい方法を発想していきます。コンセプトを作るとも言えるでしょう。
出来上がったコンセプトを企画書に落とし込みます。一目見ただけで要点がわかるか、目的がはっきりしているか、具体的な方法が打ち出されているか、実現可能か、誰が見てもわかる内容にすることが重要です。
業務で起こりやすい問題
日常業務で起こりやすい問題にはどんなものがあるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
1:従業員のやる気の低下
従業員のやる気が低い状態は、業務の停滞、生産性の低下にとどまらず、会社・組織へのエンゲージメント低下・離職の増加など会社運営にも大きな影響を及ぼす可能性も…。問題を解決するためには、原因を分析し、働き方改革、人事制度・評価の見直し、待遇改善など、対策を講じる必要があります。
2:コミュニケーション不足
チームや部内のコミュニケーションが不十分な状態だと、情報共有不足や誤解が生じることが考えられます。リモートワークでは、直接会ってのコミュニケーションが少なくなったことで、従業員の孤立化や、メンタル不調、プロジェクトの遅延などの問題が生じるケースがありました。
3:期限の遅れ
タスクやプロジェクトの期限遅延は、大きな問題に発展する可能性があります。特にIT業界において、システムや製品開発の期限を守れない場合、クレームの発生や、違約金請求など会社経営に及ぼす影響も無視できません。適切なスケジュール管理が肝要となります。
問題と課題の違いを理解する効果
問題と課題を正確に理解することは、チームや個人の成功にも影響するようです。ここでは3つ紹介します。
1:優先順位をつけやすい
問題と課題をしっかり区別することで、何を優先すべきか、やるべきことが明確化。問題が発生した場合は、そこに対処することが最優先です。課題は比較的、問題より時間的な猶予があるため、優先度が異なります。
2:戦略の制度が向上する
正確な認識の上に問題と課題を区別することは、チームで目指すプロジェクトの長期的計画や戦略の策定にも効果があります。最適な目標とアクションプランを計画するためには、違いを正確に理解することが必要です。チームの役割分担も明確化できるでしょう。
3:自分の目標を定めやすい
何が問題なのか、課題をどう解決するのか。2つの言葉の意味を正確に理解していると、自分の目標を決めやすいと言えます。目標が決まれば、何をどう取り組めばいいのか、計画を立てて実行可能です。モチベーションも上がり、効率的な業務遂行が期待できるでしょう。
最後に
問題と課題、何気なく使っている言葉でも、大きな違いがあることを紹介しました。この2つの使い分けができないままだと、ビジネスシーンにおいて、最適な解決策を打つことはできません。自分の実力が十分に発揮できない可能性も起こりえます。違いをしっかり把握し、ライバルに差をつけて、大きく成長していきましょう。
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