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2025.11.28

「石橋を叩いて渡る」は褒め言葉? 注意したい使い方と例文

「石橋を叩いて渡る」とは、用心に用心を重ねて物事に取り組む様子を表しています。この記事では、「石橋を叩いて渡る」の意味や背景、使い方、該当する人の特徴、言い換え表現。反対語、英語表現、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「石橋を叩いて渡る」は、用心深い態度を示すことわざです。
・「石橋を叩いて渡る」は、褒め言葉にも皮肉にもなります。

・「転ばぬ先の杖」などが類語として挙げられます。
・“look before you leap”などが近い表現として使えます。

「石橋を叩いて渡る」という言葉、日常会話やビジネスシーンでもよく耳にします。慎重な人を表す言い回しとして知られていますが、意味や背景を正しく説明できる人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、「石橋を叩いて渡る」を辞書に基づいた信頼性のある情報をもとに、使い方を具体例とともに解説します。

「石橋を叩いて渡る」の意味と背景を整理

まずは、「石橋を叩いて渡る」の意味と背景から整理していきましょう。

「石橋を叩いて渡る」の由来と意味

「石橋を叩いて渡る」は、頑丈に見える石橋であっても、渡る前に叩いて安全を確かめるという行動から生まれたことわざです。つまり、用心に用心を重ねて物事に取り組む様子を表しています。

辞書では次のように記載されていますよ。

石橋(いしばし)を叩(たた)いて渡(わた)る
堅固に見える石橋でも、なお、安全を確かめてから渡る。用心の上にも用心深く物事を行うことのたとえ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

この表現は、江戸時代中期の『譬喩尽』(1786)や、歌舞伎『五大力恋緘』(1793)などの文献にも登場し、古くから慎重な行動を象徴することばとして親しまれてきました。

「石橋を叩いて渡る」は慎重すぎる? それとも堅実? ポジティブ・ネガティブ両面のニュアンス

「石橋を叩いて渡る」は基本的には「慎重で堅実な人」を評価する場面で使われますが、その慎重さが度を超えると、「臆病」「行動力がない」といった否定的なニュアンスを帯びることもあります。

例えば、「チャンスを逃した」「決断に時間がかかる」などの場面では、「石橋を叩いてばかりいて前に進まない」と皮肉を込めて使われることもあります。文脈に応じてニュアンスが変化する言葉なので、好意的にも批判的にもどちらにもなり得る点に注意が必要です。

参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

石橋
(c)Adobe Stock

「石橋を叩いて渡る」の使い方と具体例

ただ意味を知っているだけでは、ことわざを自然に使いこなすことはできません。ここでは、具体的な使い方を例文とともに紹介します。

「リーダーが石橋を叩いて渡るタイプなので、プロジェクトは堅実に進んでいます」

リーダーの慎重な性格が、仕事の進行に反映されている例です。慎重さが結果として「堅実さ」や「信頼感」につながっているポジティブな使い方です。

「彼女は石橋を叩いて渡る性格だから、衝動買いなんて絶対にしない」

性格を描写する文脈での使用例です。買い物の場面を通じて、「用心深く決断する人柄」が具体的に伝わります。会話でも使いやすい表現です。

「石橋を叩いて渡るように準備を重ねたおかげで、発表はスムーズにいきました」

事前の準備に慎重さを発揮した例です。努力や計画性を評価する文脈で「石橋を叩いて渡る」が使われており、好意的な表現として自然です。

「この件は慎重に進めた方がいい。石橋を叩いて渡るくらいがちょうどいいよ」

相手に慎重な対応を促す場面での用法です。「ちょうどいいよ」という言い回しから、ややカジュアルな助言表現として受け取れます。

下から覗く猫
(c)Adobe Stock

「石橋を叩いて渡る人」の特徴とは? 性格分析風に紹介

このことわざが表すのは、慎重で用心深い性格です。仕事では計画を綿密に立て、トラブルを未然に防ぐなど信頼されやすい一方、スピードや柔軟さを求められる場面では「腰が重い」と見られることもあります。

恋愛では、相手の人柄や価値観をじっくり観察してから距離を縮める傾向があり、勢いよりも安心感を重視するタイプだといえるでしょう。

性格の表現としては、「慎重」「用心深い」「手堅い」などが近いですが、使い方によっては「臆病」「優柔不断」といった否定的な評価につながることもあるため、配慮が必要です。

「石橋を叩いて渡る」の言い換え表現や類語・反対語を押さえる

「石橋を叩いて渡る」と同様に、慎重さや備えの重要性を表すことわざや対義語には以下のようなものがあります。

類語|「備えあれば患いなし」(そなえあればうれいなし)

「備えあれば患いなし」は、準備があれば心配がないという考えを示すことわざです。

類語|「転ばぬ先の杖」(ころばぬさきのつえ)

「転ばぬ先の杖」は、何か起きる前に備えておくという慎重な姿勢を表す表現です。

反対語|「一か八か」「猪突猛進」

「一か八か」:成功するかどうか分からないまま思いきってやってみる態度。

「猪突猛進」:周囲の状況を顧みずに突き進む姿勢。

「一か八か」と「猪突猛進」は、リスクを避けて慎重に行動する「石橋を叩いて渡る」とは正反対の行動を表す言葉です。

参考:『デジタル大辞泉』、『故事俗信ことわざ大辞典』(ともに小学館)

英語ではどう言う? 「石橋を叩いて渡る」の翻訳表現

「石橋を叩いて渡る」を英語で表すなら、ことわざ “look before you leap” が当てはまるでしょう。「よく見てから飛べ」という意味を表し、「石橋を叩いて渡る」に近い意味を持ちます。

参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

ノートのメモする女性
(c)Adobe Stock

「石橋を叩いて渡る」に関するFAQ

ここでは、「石橋を叩いて渡る」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1. 「石橋を叩いて渡る」の反対語には何がありますか?

A. 「一か八か」「猪突猛進」などがあります。

上記はリスクを顧みずに大胆に行動する様子を表し、「石橋を叩いて渡る」とは対照的です。

Q2. このことわざはどんな性格を表すときに使われますか?

A. 慎重で堅実な性格を示すときに使います。

事前準備を怠らず、リスクを最小限に抑えようとする人物に対してよく使われます。

Q3. 類語にはどんな表現がありますか?

A. 「備えあれば患いなし」「転ばぬ先の杖」などが挙げられます。

どちらも用心深い態度を表す表現です。

最後に

「石橋を叩いて渡る」ということわざには、慎重さを重んじる日本人の価値観が反映されています。失敗を避けるための備えは信頼につながる一方、慎重すぎる態度が機会を逃すこともあるでしょう。この記事で得た知識をもとに、言葉の使い方だけでなく、自分自身の行動スタイルについても考えるきっかけにしてみてください。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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