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誠心誠意とは、どんな意味?
「誠心誠意」とは、「うそいつわりなく、真心をもって物事に当たること」。迷いや疑いがなく、まっすぐに向き合う態度といえます。日常生活ではもちろん、仕事をする上でも大切な要素です。
それはなんとなくわかっているけど、実際にはどのようなことを指すのでしょうか。これまで、5万人のキャリアサポートをしてきた、キャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんに、「誠心誠意」の言葉の使い方や、ビジネスシーンでの振る舞いについてお話を伺いました。
「ビジネスシーンではもちろん、日常生活においても誠心誠意に対応するのは大切なこと。誠心誠意は、信頼や真摯さを表す言葉です。うそをつくことなく、真面目でひたむきに取り組む様子から、周囲の人の信頼を得られるということになります」(キャリアコーチ・菊池さん)
ビジネスシーンでの使い方は? 例文を解説
誠心誠意という言葉を使う時には、ふたつのシチュエーションが想定されます。それは、「意気込みを伝える」時と、「謝罪をする」時。例文を交えながら、それぞれのシチュエーションを見ていきましょう。
1:意気込みを伝える時
意気込みとは、積極的に何かに取り組もうという前向きな気持ちです。「誠心誠意」という言葉は、信頼の構築や真摯さ・プロ意識の表示に有効。例えば、以下のようなシチュエーションです。
・プレゼンテーションや提案の時
「私たちはお客様のニーズを理解し、誠心誠意努めることで、最適なサービスを提案いたします。」
こちらの情報を伝えながら、相手に納得と決断を迫るような時です。相手は自分達のメリットを考えています。損得ということも、もちろんですが、「騙されたりしないだろうか」「丁寧に扱ってもらえるだろうか」というような不安もあるわけです。そこで、このようにお伝えするとこで、信頼と安心を得てもらいましょう。
・上司やチームメンバーに対して
「このチームに参加できたことがうれしいです。仕事に誠心誠意取り組んでいくことで成果を出していきます!」
一緒に仕事をしていく上で、熱意をもって働いていることを伝えます。チームの一員として、積極的に行動して、チームに貢献する意欲を示すことは、業務を円滑に進めることにも。
・採用面接やクライアント先への初回訪問の時
「私は自分の持てる力を発揮し、この仕事に誠心誠意取り組む所存です。」
まだ、あなたの人柄や実力がわからないような時には、言葉でアピールをして、相手に期待を持たせる必要があります。初対面だとしても臆することなく、しっかりと意気込みを伝えておきましょう。
2:謝罪の時
仕事を進めていく上で、失敗やミスが起きることもあるでしょう。「誠心誠意」の言葉を使って真摯な対応や解決への努力を表現し、信頼回復を目指す意思表示をします。
・こちらが原因の謝罪
「こちらの都合で大変ご迷惑をおかけしております。誠心誠意お詫び申し上げます。今後は改善策を講じ、信頼を取り戻す努力をいたします」
例えば、一度確約を出したことがこちらの都合で白紙になってしまった時などに、関係者や顧客に対して謝罪をする場面です。
・先方からクレームが入った場合
「ご指摘ありがとうございます。ご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。再発防止策を実施し、誠心誠意努めてまいりますので、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。」
相手側からの指摘によって問題が発覚した状況です。謝罪とともに、今後の再発防止策や改善案を合わせて伝える必要があります。
「誠心誠意」を相手に感じてもらえる態度は?
「誠心誠意」と言っても、態度が伴わないようであれば、相手に不信や不安を与えてしまいます。誠心誠意を相手に感じてもらうためには、以下の態度を心掛けましょう。
1:曖昧な表現を避ける
どうにでも解釈ができる曖昧な表現は、相手に誤解を与えます。ともすると「本当のことを言いたくないのか」「責任を放棄しているのか」というような疑心暗鬼を生むことにも。わからないことは、ごまかすことなく「わかりません。確認をしてお伝えします」でOK。具体的な表現をするクセをつけていきましょう。
2:期日や時間を守る
期日や時間は、関わる人との大切な約束事。ここが守られないと、後工程にも滞りが発生します。期日や時間を守れないことは、自己中心的な態度なのです。とはいえ、不可抗力でどうしても時間が守れないということも発生します。スケジュールの変更は、わかった時点で速やかに、代替案とともに関係各所に連絡を取りましょう。
3:適切な情報開示をする
隠し事をされていると感じると、人は不信感や警戒心を持つものです。適切な範囲での情報開示は、こちらの誠心誠意の気持ちを伝える上で重要なポイントになります。
4:他者とのコミュニケーションを積極的にとる
他の人とのコミュニケーションを大切にし、協力関係を築いていきましょう。ひとりで仕事を抱え込むことは、周囲に対しては不誠実な態度に見られることも。仕事の経過なども周囲に伝えていくことで、新たな視点や自分では思いつかない解決法なども見つかります。
相手の意見やフィードバックに対して真摯に耳を傾け、協力し合いながら仕事を進めることで、より良い成果を生み出すことができます。
「誠心誠意」を言い換えると、どんな表現がある?
「誠心誠意」の言葉を言い換えると、こんな表現もあります。状況に応じて使い分けてみるのもいいですね。
1:一生懸命
「命がけで物事に取り組むこと」や「必死に挑戦する」などの意味があります。慣れ親しんだ表現として、一般的に使われやすい言葉です。
2:精一杯
「持っている力のすべてを出すこと」「力のかぎり」「できるかぎり」という意味があります。「精一杯」の表現には、気持ちを込める事も含まれているニュアンスです。
3:全力で
「出せるかぎりの力」「すべての力」「ありったけの力」を込めて取り組む、という意味があります。すべての能力をなげうって向き合う、というような表現です。
終わりに
「誠心誠意」とは、「うそいつわりなく、真心をもって物事に当たること」。言葉だけではなく、それにともなう態度も、重要だということですね。誠心誠意、仕事に取り組むことで、周囲からの信頼も得られて充実した毎日になりそうです。
TOP 画像/(c)Shutterstock.com
キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン