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「有耶無耶」の正しい意味と読み方・語源とは?
日常生活でもビジネスシーンでも、何かハッキリしないことがあるときに「有耶無耶になっている」と感じたことのある方も少なくはないでしょう。しかし、そのようなときに使う「有耶無耶」という言葉ですが、正確な意味を問われたら、すぐに答えることができますか? ここからは、「有耶無耶」の意味や語源を見ていきましょう。
「有耶無耶」の意味と読み方は?
「有耶無耶」とは「うやむや」と読みます。物事の「有り・無し」を伝えるときにはよく「有無(うむ)」と表現される書き方でしょう。「耶(や)」はあまり使うことのない漢字ですが主に人名や疑問を表すときの漢字として使われます。
したがって、「有耶無耶」とは端的にいうと「有るのか無いのかどちらですか? 」ということ。物事の結末がハッキリしない曖昧な回答しか出てこない様子や態度でいる状態や、何かを思い悩んで気分がすっきりしない様子でいるときの心理状態を意味しています。また、心にわだかまりがあるときのことも表していますよ。
語源は?
「有耶無耶」の語源には、諸説あります。そのうちの1つに「有耶無耶の関」という秋田県と山形県の県境にある山を舞台に伝えられている、古い言い伝えが語源となっているという説があります。
この「有耶無耶の関」には、恐ろしい人喰い鬼が潜んでいて、予期せぬ大きな事態があったそう。その事態を知った山の神様が「人喰い鬼の有無」を人々に知らせるためにカラスを遣いに出し、人喰い鬼がいる(有る)ときは「有や」、人喰い鬼がいない(無い)ときは「無や」とカラスに鳴かせ、そのように鳴くカラスがいたことが「有耶無耶」の語源となったというもの。
別の説では「、ありやなしや」という問いかけの熟語が語源となったともいわれています。この熟語の意味は「あるのだろうか、ないのだろうか」とハッキリしない曖昧な様子が表現されています。
「有耶無耶」の使い方を例文でチェック
続いては、有耶無耶の具体的な使い方をチェックしていきましょう。
1:「あの人は、いつも自分のミスを有耶無耶にごまかしている」
ある特定の人がいつも何かしら、大なり小なりのミスを犯しているのに、ミスをした当本人は自分の非を認めずに曖昧な言い訳をして、ミスを隠そうとしていることが多い様子を伝えています。どこの会社にもある光景かもしれませんね。
2:「ピアノの練習をしないといけないのに、有耶無耶にして先延ばしにしている」
課題や仕事など目の前にやらなければならないことがあるのにやろうか、やるまいかと、どっちつかずの態度から、少し怠けた様子を表しています。思い悩んだり、決断がはっきりしないことからどんどん先延ばしになっている状態ですね。
3:「あの人の、有耶無耶な態度に腹が立った」
相手の隠し事などについて言及したとき、相手がとぼけた態度でごまかそうとしているのを怒ったときに使う表現です。余計に怒りが増すような状況ですね。
「有耶無耶」の類義語・言い換え表現にはどのようなものがある?
「有耶無耶」の他にも、ハッキリしない様子をいう表現はあるのか、見ていきましょう。
1:曖昧模糊
「あいまいもこ」と読みます。意味は、物事がはっきりせずに、ぼんやりとした答えしか見えていない様子。「曖昧」だけで「ハッキリしない様子」を指しているのですが「模糊」もほとんど同じ意味をもっていて「本当の姿・意味なのかハッキリしない」ということ。2つの言葉が合わさることで「より一層ハッキリしない様子」を強調している熟語です。
2:不徳要領
「ふとくようりょう」と読みます。話にまとまりがないため、話題の流れの要領が得られておらず、何が言いたいのか分からずハッキリしないことをいう言葉です。
3:あやふや
物事が確かでないことから、どちらの判断もつけられない状態であるということ。「あやふやな回答」や「あやふやな判断」のように使います。「あやふや」は、意図的に曖昧にしたというよりは「答えがハッキリしないまま結末を迎えたため、曖昧なままになってしまった」という意味合いで使う言葉です。
4:五里霧中
「ごりむちゅう」と読みます。「五里」とは距離を表しており、およそ20kmを指しています。「霧中」は霧の中ですが、このことわざは「霧のなかだと20km先の方角もわからず、手探りで道を歩いている状態」を伝えています。
したがって「見通しが分からないまま、どうしたらいいか迷うこと」を表します。
「有耶無耶」の対義語はどのようなものがある?
「有耶無耶」とは反対に、ハッキリと明確にわかることをいう場合は、どの様な言い回しをするのでしょうか? 「有耶無耶」の対義語を見ていきましょう。
1:一目瞭然
「いちもくりょうぜん」と読みます。「一目」とは1度見ること。「瞭然」とはハッキリわかることを意味しています。したがって2つの言葉が合わさると「物事を1度見ただけで、疑いなくハッキリわかること、全てが明らかになる」ことを意味します。
2:明明白白
「めいめいはくはく」と読みます。物事について少しも疑わしい点がなく、非常にハッキリした答えがあること。とても明確であることを意味する「明白」。「明明白白」と、それぞれ重ねて使い表現することで言葉の意味がより強調されます。
「有耶無耶」の英語表現とは?
「有耶無耶」の類義語や対義語の表現を見てきましたが、英語表現ではどのように使われるのでしょうか? ここからは「有耶無耶」の英語表現を解説していきます。
1:give a vague reply
「vague」は「曖昧」や「見慣れない」という意味。「give a~」は「~を与える」という意味があるので「曖昧な返事を与える」ということを伝えています。そのため「有耶無耶」の英語表現の1つとして使われ「返事をごまかして、ハッキリされない」というときに使います。
2:leave a matter unsettled
「unsettled」には「未解決・未決定」という意味があります。また「leave~unsettled」で「~を曖昧なままにする」ことをいう表現に。さらに「matter」は「物事・事項」を意味しているため「物事を未確定なままにする」「この事項について曖昧なままにする」という表現で使われます。
最後に
「有耶無耶」は、曖昧な返事をするときなどに使われる言葉です。自分の非をごまかしたりするときにも使われることがあるため、この言葉を使うときにはネガティブな意味を持つことを意識しておくといいでしょう。日常生活でも「有耶無耶」にすることもあると思いますが、相手に不信感を抱かせるような態度は取らないようにしたいですね。
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