人付き合いが疲れる原因とは?
「人付き合いって、めんどくさい… 」と、思ったことはありませんか?
人付き合いが得意! という人もいれば、苦手という人もいます。グループでうまく立ち回らなければと気を遣ったり、以前は楽しく過ごせたけど、なんだか波長が合わなくなってくるということも…。
人付き合いに疲れを感じるのは、誰にでもあること。ムリなく疲れず人付き合いをするコツを、コミュニケーションの専門家でもあるキャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんにお聞きしました。
「そもそも、『人付き合い』って何をしていることなのか。当たり前すぎて振り返ることもなかったかと思います。
人付き合いの意味するところは、ふたつ。他人と言葉を交わしたり、顔を合わせたり行き来をすることによって親しい関係を作ること。そして、義理や損得などの必要から、他人と関わること。人付き合いに疲れを感じた時には、まずどちらのことで行き詰まりを感じているのかを、ひも解いてみましょう。親しく過ごすことがうまくいかずに疲れているのか。本当は関わりたくないのに、必要に駆られて仕方なく過ごしているのか。
『この人』や『この人たち』と、どのような距離感でどのような付き合いをしたいと思っているのか。自分が何を望んでいるのかを、自覚ができると関わり方も見えてきます。」(キャリアコーチ・菊池さん)
昔は楽しく過ごせていたのに、ぎくしゃくしてしまうこともありませんか?
「人付き合いは、『なまもの』です。時間が経つにつれて関係性が変化していくもの。関わり方の距離感は、定期的に見直しをしておく必要もあります。
また、気疲れの原因として、自分や相手のコンディション変化もあげられます。体調の変化や、ライフイベントなどで自分のことで精一杯になっている時などは、他人との関わりが煩わしくなることもあります。これまでは平気だったのに… と思った時には、身体やメンタルのコンディションに気を配るのも大事なことです。」(キャリアコーチ・菊池さん)
人付き合いの気疲れの原因として、3つのことがあげられます。
1:本当の自分が出せていない
親しくなる過程で、「ちょっとでもいい人だと思われたい」なんて思ってしまうことも、ありますよね。偽りとまではいかなくても、いつもの自分と違う状態を演じていると緊張が続き、疲れてしまいます。
2:必要以上に気を遣いすぎている
仕事でもプライベートでも、つい機嫌を伺ってしまうような関係性はありませんか? 気配りは大切ですが、必要以上に気を遣いすぎていると、心も体も消耗してしまいます。
3:相手に振り回されてしまう
他人の都合よりも自分の都合を優先するタイプに、振り回されていませんか? 他人の都合を優先していると、自分のことが後回しになり、調整作業も増えるので、疲れてしまうのです。
あなたが感じる「人付き合いのめんどくささ」をチェック!
人付き合いの疲れにも、種類があります。めんどうに感じたり苦手だと思うパターンを見ていきましょう。
1:大勢の人に囲まれるのが苦手
人数が増えるほどに、気を向ける先や注意の配分が増えていきます。一度にどのくらいの人数と関われるのか、キャパシティーは人それぞれです。自分を入れて3人で手一杯という人もいれば、100人くらいに囲まれても平気という人も。自分にとっての「大勢」はどのくらいなのかを把握しておき、なるべく自分が楽でいられる人数で活動するように調整しましょう。
2:頼まれごとが苦手
「頼まれると断れない。断らないからまた頼まれる」というループにはまってしまうケースも。
まず、頼まれごとは相手の都合。言葉は悪いですが「あわよくば… 」と思って声をかけているのです。ここで断られたら、その人は別の人に頼みに行くので大丈夫。「相手が困るのは申し訳ない… 」と思うかもしれませんが、そこまでこちらが責任を持つ必要はありません。
そして、断るのに理由はいりません。断りセリフのテンプレートを用意しておき、ちょっぴり心苦しそうな表情で「お力になれなくてごめんなさいね」と言えばOK。「やんわり断れる」ようになれば、人付き合いの疲れは激減します。
3:他人に興味がない
他人に興味がなかったり、フレンドリーな対応が苦手ということも。また、特定のコミュニティ以外では、深く関わりたくないということもありますよね。大切なことや優先順位は人それぞれ。関わりの濃度や頻度は自分で決めておきましょう。
疲れるつきあいを調整するための3つの方法
人付き合いに疲れてしまう気持ちをリセットするのに役立つ、3つの方法があります。
1:相手との関係性に名前をつける
例えば、「仕事上での義理のお付き合い」「一緒に仕事をするチーム」「推し活仲間」「ベストフレンド」など、関わる相手との関係性に名前をつけ、どのような関わり方をするのかを決めてしまいます。一定期間で見直しをして、関わり方を変えていくのもOK。無理せずつきあっていくために、何を優先するのかを自覚しておきましょう。
2:苦手な人とは物理的に距離を取る
苦手な人と同じ空間にいる時には、物理的な距離をとることも有効です。40cmだと落ち着かないけど、50cmだと大丈夫、ということもあります。また、物理的な距離を置くのが難しい場合は、間に人や物をはさむのも効果があります。相手との間にペンやスマートフォンを置くなどして、自分の安心できる境界線を作ることで、気疲れを減らすことにつながります。
3:自分事と他人事を仕分けする
人付き合いに疲れを感じる時は、往々にして他人事に巻き込まれてしまっています。例えば、グループ内の人間関係の「仲裁」に入ったり、「サポート」の立場のはずなのにメインで動かされていたり。実は自分事でないことを、知らず知らずのうちに請け負ってしまっているということも…。自分事でないことからは、手を引くことも必要です。
最後に
人付き合いに疲れを感じた時は、「自分は、本当はどうしたい? 」「この人たちと付き合っていたいと思えるのか? 」と、自分に問いかけてみましょう。疲れ果ててまで一緒にいなければいけないような人間関係は不健全です。すべての人と親密になる必要はありません。疲れることなく良い関係を築ける人付き合いを、優先していけると良いですね。
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キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン