質素倹約の意味とは?
「質素倹約(しっそけんやく)」とは、「飾り気がなく、慎ましく暮らすこと」。「質素」は、「飾り気がなく、生活が贅沢でないこと」。「倹約」は、「無駄を省いて、出費を少なくすること」です。洋服や食べ物に過度なお金を使わず、節約しながら暮らすことを「質素倹約」と表現することが多いようですね。
使い方を例文でチェック!
質素倹約は、普段の会話の中でどのように使うのが正しいのでしょうか? 主な例文を3つみていきましょう。
1:留学する資金を貯めるために、しばらく質素倹約を心がけた。
留学や旅行など、何かやりたいことがあるときに「節約してお金をためたい」と思うことが多いではないでしょうか? 目標のために、今は我慢して食費を削ったり、余計なものを買わないようにしているときに「質素倹約」は使われますね。
2:妻は質素倹約する生活を重視しているので、なかなか趣味にお金を使わせてくれない。
自分は慎ましく暮らすつもりがなくても、家族や友人が倹約家なパターンもあるでしょう。倹約家は、生活に必要なもの以外はなかなか買わない傾向があるので、趣味にお金を使わせてもらえないこともあるようです。
3:父は歳をとってから、古民家で質素倹約な暮らしをするようになった。
中には、無駄なものを買わずあるもので済ます、質素な暮らしに憧れる人も。今までは、贅沢な暮らしを満喫し、老後はつつましやかに暮らす人もいるようです。ものに依存しない生活は余計なストレスから解放されるかもしれません。
倹約家の特徴やお金の使い方とは?
質素倹約をして暮らしている人のことを「倹約家」と呼ぶことも。「倹約家」とは、「無駄を省いて、余計な出費をしないようにする人」のこと。余計な出費をしないと聞くと、ケチだというようなイメージを持ちますが異なります。
ケチな人は、他人にお金を使ったり、高額なものを購入するのを渋ったりしますが、倹約家は自分がお金を使いたいと思ったものに対してはお金を惜しみません。家を建てることや家族への誕生日プレゼントなど、大切なことにお金を使えるようにするために、無駄な費用を削るようにしているのです。
自分の中で、お金を使う優先順位をきちんと考えている人ほど、無駄な出費を倹約する傾向があるかもしれませんね。
類語や言い換え表現は?
「質素倹約」のように、飾り気がなく、慎ましいさまを表す言葉はいくつかあります。ここでは3つの言葉をみていきましょう。
1:質実剛健
「質実剛健(しつじつごうけん)」とは、「飾り気がなく、真面目でたくましいこと」。「質実」は、「質素で誠実なこと」。「剛健」は、「強くたくましいこと」です。質素倹約のように、節約するというような意味合いはありませんが、飾り気がない点は似ていますね。また、質素倹約は暮らしぶりを表現する際に使われますが、こちらは、人柄を表すときに使用します。
・彼はスポーツもできる上に勤勉家で、まさに質実剛健だ。
・父の母校は質実剛健の精神を重視していたようだ。
2:財布の紐を締める
無駄なお金を使わないようにすることを、「財布の紐を締める」と表現します。節約生活を送っている時や、給料日がまだ先の場合、自分を戒める気持ちで、財布の紐を締める人も多いでしょう。誘惑に負けて、娯楽や賭け事にお金を使わないように注意が必要です。
・海外旅行に行くために、しばらく財布の紐を締めるつもりだ。
・うっかりお金を使わないように、財布の紐を締めた。
3:財布の紐が堅い
「財布の紐が堅い」は、「簡単にお金を使わないこと」。先述した、「財布の紐を締める」とほぼ同じ意味を持ちますが、こちらの方がより断固としてお金を使わないようなニュアンスが感じとれます。また、全く無駄なお金を使わない人を指して、「姉は財布の紐が堅い」と表現することもあります。
・円安により市民の財布の紐が堅くなったようだ。
・妻は財布の紐が堅く、全く趣味にお金を使わない。
対義語は?
「質素倹約」と正反対の意味を持つ言葉には、「華美」や「贅沢」「奢侈」などがあります。それぞれの意味を詳しくみていきましょう。
1:華美
「華美(かび)」とは、「はなやかで美しいこと。また、はなやかすぎて不相応なこと」。空間や服装に装飾が多く派手な様子を表します。飾り気がなくシンプルな質素倹約とは正反対ですね。また、はなやかすぎて身分やシチュエーションに合っていない場合にも使われることがあります。
・バロック建築を模倣した邸宅は華美を極めた。
・華美な服装は慎みなさい。
2:贅沢
「贅沢」は、「必要な程度を超えて、物事に金銭やものなどを使うこと」。必要以上に高価なものを買ったり、高級なものを食べたりすることを「贅沢を尽くす」「贅沢な暮らし」と表現します。必要以上にものを買わない「質素倹約」とは全く異なりますね。
・高級なサテンの布地を贅沢に使用しました。
・たまには贅沢したいと母は愚痴をこぼした。
3:奢侈
「奢侈(しゃし)」とは、「度を過ぎて贅沢なこと」。単に贅沢をするのではなく、身分不相応にお金を使うことに対して使うことがポイントです。調子に乗って大きな買い物をしてしまった時などあまり良い意味では使いません。
・お金持ちの男性と結婚して、彼女はすっかり奢侈に流れてしまった。
・莫大な退職金のおかげで、彼は奢侈な生活を送っているようだ。
最後に
「質素倹約」とは、「飾り気がなく、慎ましく暮らすこと」。「飾り気がなく、生活が贅沢でないこと」を表す「質素」と、「無駄を省いて、出費を少なくすること」を意味する「倹約」を組み合わせた熟語です。自分の暮らしぶりを指すときに使う分には問題ありませんが、相手に対して使うと誤解される可能性も。言い換え表現も合わせて覚えて、場面によってうまく使い分けてみてくださいね。
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