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この記事のサマリー
・「留意」と「注意」はどちらも「気をつける」という点で共通しています。
・「注意」は瞬間的・具体的な事柄に使われ、「留意」は抽象的で時間をかけて意識し続けるような事柄に使われることが多いです。
・英語表現はどちらも“attention”で表せます。
職場のメールや報告書で「気をつけてほしい」ことを伝えるとき、「ご留意ください」と「ご注意ください」のどちらを使ったらいいか、迷った経験はありませんか?
この記事では、辞書に基づき、「留意」と「注意」の意味の違いをわかりやすく整理。言い換え表現や英語表現も紹介します。
「留意」と「注意」の意味と違いは?
まずは、それぞれの意味を確認していきましょう。
「留意」の意味と使い方
「留意」は「心にとどめて意識すること」を意味します。
辞書では、次のように定義されていますよ。
りゅう‐い〔リウ‐〕【留意】
[名](スル)ある物事に心をとどめて、気をつけること。「健康に―する」「―点」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
例えば「健康管理には十分ご留意ください」などというように、使います。
「注意」の意味と使い方
一方、「注意(ちゅうい)」は「気をつけること」全般を指す表現です。辞書では、次のように定義されています。
ちゅう‐い【注意】
[名](スル)
1 気をつけること。気をくばること。「よく―して観察する」「日々健康に―する」
2 悪いことが起こらないように警戒すること。用心すること。「交通事故に―する」
3 気をつけるように傍らから言うこと。忠告。「過ちを―する」
4 ある一つの対象を選択し、認知・明瞭化しようと意識を集中する心的活動。同時に、その他のものは抑制・排斥される。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「火の元にご注意ください」「足元に注意してお進みください」など、事故やトラブルを避けるために具体的な行動を促す場面で使います。
また、「注意」は人に対しての指摘・指導という意味でも使い、「部下を注意する」のような使い方もあります。
「留意」と「注意」の違いを比較|例文つきで解説
『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)によると、「注意」は瞬間的・具体的な事柄に使われ、「留意」は抽象的で時間をかけて意識し続けるような事柄に使われることが多いとされています。
例えば、
「段差に注意してください」(=今この瞬間に気をつけて)
「健康には留意してください」(=日ごろから意識して)
このように、「注意」は「その場の危険やミスを防ぐための警告」に使われるのに対し、「留意」は「長期的・継続的に意識しておく配慮」を表す言葉だといえます。

「ご留意ください」と「ご注意ください」の使い分け
先述した意味の違いを踏まえ、「ご留意ください」と「ご注意ください」の使い方を例文とともに確認していきましょう。
「ご留意ください」の例文と解説
まずは、「ご留意ください」から見ていきましょう。
「個人情報の取り扱いには十分ご留意ください」
日常的に守るべき規則や姿勢を求める場面で使われます。コンプライアンスに関わる文書でも多用されていますよ。
「企画書作成時には、これらの点についてご留意ください」
「マナーや方針、意図を踏まえた上で対応してほしい」と伝えるときに適した言葉です。
「ご注意ください」の例文と解説
続いて、「ご注意ください」についても見ていきましょう。
「メール送信先の誤りにご注意ください」
ミス防止など、具体的な行動の確認を求めるビジネスメールで使われます。
「この製品は高温になりますので取り扱いにご注意ください」
製品ラベル・説明書などで使われる定型表現。安全面への注意喚起でよく使用されます。
「配慮」「用心」との違い|似た言葉の線引き
「留意」や「注意」と似た意味を持つ言葉に、「配慮」や「用心」があります。ここでは、それぞれの意味と違いを見ていきましょう。
「配慮」
「配慮」は「心遣い」を指します。「留意」や「注意」は気をつけることを意味するのに対し、「配慮」は「相手の立場や気持ちに目を向ける」ことを意味します。
「用心」
「用心」は「気をつけること」という意味を持つ点では「注意」や「留意」と共通しています。さらに「用心」は「悪い事態にならないようあらかじめ気をつけておく」といった意味を持ちます。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)

「留意」と「注意」の英語表現
「留意」と「注意」の英語では、どちらも“attention”で表せます。
このほか、“keep A in mind”とすると「留意する」という意味がより伝わりやすくなるでしょう。
例文:Please keep the deadline in mind when making your plan.
(計画を立てる際は、締め切りに留意してください。)
「注意する」は“pay attention to”で表現できます。
例文:Please pay attention to the traffic signals.
(信号に注意してください。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「留意」と「注意」の違いに関するFAQ
ここでは、「留意」と「注意」の違いに関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「留意」と「注意」の違いは何ですか?
A. 「注意」は瞬間的・具体的な事柄に使われ、「留意」は抽象的で時間をかけて意識し続けるような事柄に使われることが多いでしょう。
Q2. 「ご留意ください」は、やや回りくどい印象になりますか?
A. そんなことはありません。
「健康にご留意ください」というようによく使われる表現です。
Q3. NGな使い方はありますか?
A.例えば「飲酒運転にご留意ください」は不適切でしょう。
この場合は具体的な事柄に対して使われているので、「ご注意ください」とするのがいいでしょう。
最後に
「留意」と「注意」はどちらも「気をつける」という意味を持ちますが、その使い方には違いがあります。言葉の伝わり方を意識することで、より的確でスマートな表現が可能になりますよ。
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