目次Contents
この記事のサマリー
・お礼メールは信頼関係を築くビジネスマナーの基本。
・取引先・接待側・社内の上下関係などで表現を工夫する必要があります。
・相手の立場に配慮しつつ、件名や文量にもスマートな工夫が求められます。
会食の翌日、「お礼メールはどう書けばいいのだろう?」と迷った経験はありませんか? 誰から送るべきか、件名はどうすれば失礼にならないか、複数人のときはどう宛てるのか——実は多くの社会人が直面する悩みです。
お礼は、信頼関係を深める大切なビジネスマナー。この記事では、立場や状況に合わせた最適なお礼の方法を、実務で役立つ文例とともに整理しました。明日から迷わず実践できる「正しい一通」を一緒に学んでいきましょう。
会食後のお礼はなぜ重要? 基本マナーの全体像
会食後に送るお礼は、「感謝の気持ち」を伝えるだけではなく、その後の関係性を円滑にするための橋渡しでもあります。ここでは「なぜ必要なのか」「怠るとどう見られるか」を具体的に解説します。
会食後にお礼が求められる理由
まずは社会的慣習の側面があるでしょう。日本社会には「互酬性(与えられたら返す)」という文化が根付いており、お礼はその最も基本的な表現です。
さらに実務面では、会食中に話した業務内容や次のアクションに軽く触れておくことで、会話の余韻を残しながら業務をスムーズに進められる利点があります。お礼は礼儀であると同時に、信頼形成の実務ツールでもあるのです。
お礼を怠るとどう見られるか?
お礼をしない、あるいは遅れることは「配慮が欠けている」と受け取られるリスクがあります。実際に、後日フォローを忘れたことが原因で、次の商談の機会が流れてしまったケースも耳にします。
お礼は小さな一手ですが、その積み重ねが次のビジネスチャンスを左右します。だからこそ、怠ることは「信頼残高」を減らしてしまう行為になってしまうのです。

ケース別・会食お礼メールの送り方
同じ会食でも、送る相手が取引先か上司か、自社が接待した側かされた側かで、表現やトーンは微妙に変わってきます。また、複数人に送る場合や、社内の上下関係によっても対応が分かれるでしょう。
ここでは3つのケースに分けて、具体的な文例とともに解説します。すぐ使える「実務対応力」を、ケース別にしっかり身につけましょう。
取引先に送る場合の例文と注意点
取引先へのメールは、丁寧かつ簡潔さが鉄則です。相手の時間を尊重しつつ、自社の誠意と今後の展開への期待感を伝えましょう。以下のような文面が一例です。
件名:会食の御礼(株式会社□□・鈴木)
○○株式会社 △△部 △△様
昨日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
今後の協業の方向性について、直接お話できたことを大変うれしく思っております。
ご指摘いただいた内容を社内でも共有し、近日中に改めてご連絡差し上げます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
要点は、「相手の時間・話・配慮」への感謝を明確にし、次の一手をほのめかすこと。社内の確認が必要な場合も、その旨を明記しておくと丁寧です。
接待した側が送る場合
会食を「お招きする側」だった場合は、相手への敬意と感謝を二重に伝えることが大切です。「足を運んでいただいたこと」「時間を割いていただいたこと」へのお礼を明記しましょう。例えば…
・昨日はご多忙のなかご足労いただき、誠にありがとうございました。
・お話しいただいた内容は、今後の施策にも活かせる気づきばかりで、大変有意義なお時間となりました。
・また何かお気づきの点がございましたら、お聞かせいただけますと幸いです。
「接待=お願い」ではないからこそ、相手の時間に敬意を払い、「いただいたご意見」を真摯に受け止める姿勢を示すことが信頼へとつながります。
上司より先に送っていいか問題
多くの人が悩むのが、「上司より先に送ってもいいのか?」というマナーの問題です。できれば直属の上司や会食の主催者が先にお礼を伝えるのが望ましいところですが、ビジネスのスピード感が求められる現代では、柔軟な対応も必要です。
例えば、
・上司の送信をCcで確認済み → 安心して自分も送ることができる
・上司より先に送りたいとき → 上司をCcに入れ「先に失礼します」などの一文を添える
実務的には、「誰が先に送るか」よりも「相手に失礼がないか」が重要。序列より、連携を意識するのがポイントです。

会食お礼メールの返信・二次対応
お礼メールを送って終わり… ではなく、相手から返信があった場合、あるいは「返信は不要です」と記載があった場合の対応にも、ビジネスマナーが問われます。
特に、返信の返信や「無視していいのか?」の判断は、多くのビジネスパーソンが戸惑うポイント。気持ちの行き違いや、かえって気を遣わせてしまうリスクを避けるためにも、ここではメール送信後の「次の一手」を整理しておきましょう。
お礼メールに返信する場合の文例
相手からお礼メールを受け取った際の返信には、「こちらこそ、ありがとうございました」といった軽やかなフレーズを基本にしながらも、何か一言、会話の続きになるような内容を添えると印象がよくなります。以下のような形が目安です。
件名:Re:会食の御礼(株式会社□□・鈴木)
○○様
ご丁寧なご連絡をありがとうございます。
こちらこそ、有意義なお時間を共有させていただき感謝申し上げます。
お話しいただいた○○の件、社内でも検討を進めてまいります。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
ポイントは、「お礼の返信に対するお礼」で終わらせず、相手の言葉を一部拾いながら、会話を閉じるか次につなげる一文を含めること。引用文は最小限にとどめ、読みやすさを心がけましょう。
返信不要と書かれていたら?
メールに「返信不要です」や「ご返信には及びません」といった文言が添えられていた場合は、その意図を尊重するのがマナーです。実際、「返信がこないことで不快に感じる」というより、「返信があることで恐縮する」というケースのほうが多いもの。
ただし、相手のメールに確認が必要な事項や依頼事項が含まれていた場合は、短くても返信したほうが丁寧です。その際は以下のように一言添えましょう。
「ご配慮いただき、ありがとうございます。
ご連絡事項について一点のみ確認させていただきます」
こうすることで、相手の意図(返信不要)を尊重しながらも、業務上の抜け漏れを防ぐことができます。返信の判断に迷ったら、「感謝」と「配慮」の両方を表現するフレーズを使うのが最善です。
メール以外のお礼手段|お礼状・電話・手土産
ビジネスシーンでは、メール以外にも「お礼状(手紙)」「電話」「手土産へのお礼」といった選択肢が考えられます。どれが適切かは、相手との関係性や会食の目的、相手の役職や場のフォーマル度合いによって変わります。形式を選ぶこともマナーの一つ。ここではそれぞれの手段の使いどころと、印象をよくする文面の工夫を紹介します。
お礼状・手紙を送るべきケース
お礼状は、次のようなケースで特に効果的です。
・社外の目上の方(役員・顧問など)との会食
・節目の会食(初顔合わせ、プロジェクト完了記念など)
・紹介を受けての会食や、格式ある場(ホテルの個室など)
手紙では、感謝の気持ちを丁寧な言葉で伝えつつ、当日の印象に残った話題に一言触れると温かみが増します。
拝啓 〇〇の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
先日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
直接お話を伺えたことで、貴社のご方針に対する理解がより深まり、大変有意義なひとときとなりました。
今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
お礼状は会食後、2〜3日以内に届くよう送るのが基本です。便箋は白無地、封筒もシンプルなものを選びましょう。
電話でお礼を伝える場合
急ぎで感謝を伝えたいときや、親しい関係の相手には電話も効果的です。特に、メールを送っても返事がなかったときや、感謝とともに一言だけ確認したいことがあるときなどに便利です。
電話の際は、以下の3点に注意しましょう。
・タイミング:午前10時〜11時、または午後2時〜4時がベター
・時間:1〜2分程度に留め、長話にならないようにする
・言い方:はじめに「少しだけお時間よろしいでしょうか?」と断りを入れる
留守番電話の場合は、「会食の御礼を申し上げたく、お電話差し上げました。詳細はメールにてお送りいたしました」と残すと丁寧です。
手土産へのお礼メール・お礼状
会食時に手土産をいただいた場合、そのことに対しても感謝を示すのがマナーです。たとえ小さな品でも、お返しよりもまず先に「いただいた気持ち」への感謝を言葉で返すことが大切です。
メールでの一例は以下の通りです。
「昨日はお忙しいなか、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。
また、心のこもった品まで頂戴し、恐縮しております。
皆で美味しくいただきました。お気遣いに深く感謝申し上げます」
高価な贈答品や、特別な意図が感じられる場合には、お礼状で丁寧に返すと一層好印象につながります。いただいたものに対して、どのように感じたか・どう活用したかを一言添えると、相手も喜んでくれるでしょう。

「会食のお礼」に関するFAQ
ここでは、「会食のお礼」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. お礼メールはいつまでに送るのが正解?
A1. ベストなタイミングは、会食の翌朝〜翌営業日午前中までです。
感謝の気持ちが新しいうちに伝えることで誠実さが伝わり、相手にも好印象を残します。
Q2. 会食でいただいた手土産へのお礼は必要?
A2. はい、手土産へのお礼は必ず明記すべきです。
お礼メールの中に、「また、心のこもったお品まで頂戴し、誠にありがとうございました」と一文を添えると丁寧です。高価な品や特別な贈り物には、お礼状で返すのも好印象です。
最後に
会食後のお礼は、その後の信頼関係や仕事の進行にも影響する、大切なコミュニケーションの一環です。メールひとつにも、立場やタイミング、表現の選び方など、気を配るべき点が多くありますが、それは相手への敬意を表すことでもあります。
大切なのは、「正しさ」だけでなく、「相手にどう届くか」を想像すること。型を覚えたあとは、あなたの言葉で少しだけ気持ちを添えてみてください。きっと、相手の心に残るお礼になります。
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