【目次】
・「取り急ぎお礼まで」の意味とは?
・「取り急ぎお礼まで」は敬語としてふさわしくない
・「取り急ぎお礼まで」に対する返信の表現とは?
・「取り急ぎお礼まで」の言い換え表現にはどのようなものがある?
・「取り急ぎ〜まで」と表現する他の言葉とは?
・「取り急ぎお礼まで」の英語表現
・最後に
「取り急ぎお礼まで」の意味とは?
「取り急ぎお礼まで」というフレーズを簡単に使ってはいませんか? 実は使い方に注意しなければいけない表現なんです。本記事では、「取り急ぎお礼まで」の意味や使い方から、注意点まで解説していきます。
「取り急ぎ」は、「とりあえず急いで」という意味。文末にある「〜まで」は、終助詞的に用いられ、前にある言葉の意味を強め、確認する気持ちを表現します。つまり、「取り急ぎお礼まで」とメールする場合は、「かなり急いでいるので、とりあえずお礼を言います」という意味です。「かなり急いでいる」や「とりあえず間に合わせで」というニュアンスは、人によっては不快に感じる場合があるので注意しましょう。
また、「取り急ぎ〜まで」という表現は、至急連絡することが必要な場合にだけ使用するのが適切です。急ぎで伝えなくてはいけない用件のみを伝えて、他の連絡事項や用件は入れません。形式などは省略して、とりあえず用件を伝える表現であると覚えておきましょう。
「取り急ぎお礼まで」は敬語としてふさわしくない
そもそも、お礼は本来心を込めてすることですよね? 「取り急ぎお礼まで」という表現は、きちんとお礼をすべきところを省略して伝えていることになるので、相手によっては失礼な印象を与えかねません。また、「取り急ぎ」には「とりあえず」「間に合わせで」という意味も含まれていますので、失礼にあたります。感謝を伝える言葉としては不適切なため、避けるべきだとも言えますね。
例えば、仕事の相談にのってもらったあとに、お礼のメールを送りたいなど、お礼の気持ちを伝える場面があるかと思います。そんな時も、目上の人に使用することは避けたほうがいいという理由と同じく、「取り急ぎお礼まで」という表現を使用することは控えましょう。面接のお礼は「取り急ぎ」ではなく、なるべく早く、気持ちを込めて丁寧な文章で送りましょう。
◆「取り急ぎお礼まで」を使った後に改めてしたいこと
「取り急ぎお礼まで」と連絡した場合は、「本来はきちんとお伺いしてお礼を申し上げるところを、とりあえず連絡いたしました」といった意味を表します。ですので、後日改めて連絡をすることが前提です。メールを受け取った人も、詳しい連絡がくることを待っているでしょう。
必ず、「取り急ぎ」簡潔な報告や連絡のメールをした後は、詳しい内容を連絡する時間をつくりましょう。後で連絡をする予定がないのであれば、「取り急ぎ~まで」という表現は使うべきではありません。
特に、お礼を伝えたい場合は、注意が必要です。心を込めてお礼をしなければいけない場面で「取り急ぎ」という表現を、用いています。ですので、改めてお礼の気持ちをしっかりと伝える連絡をするなど、誠意のある対応がなければ、失礼。改めてお礼の連絡をすることを忘れないようにしましょうね。
「取り急ぎお礼まで」に対する返信の表現とは?
「取り急ぎ」という言葉が使用されている場合の返信は、一般的に不要とされています。相手も時間の余裕がなく「かなり急いでいるので、とりあえずお礼を言います」という意味で「取り急ぎお礼まで」と使用していると考えられるため、その都度返信する必要はないでしょう。
しかし、相手が上司や取引先相手であった場合、返信しないというのも失礼な気がしてしまいますよね? 相手が目上の人であるといった場合には、謙虚な気持ちを表現し、返信しましょう。返信をする場合は、「お気づかいありがとうございます」など、簡潔に返信することが大切です。
「取り急ぎお礼まで」の言い換え表現にはどのようなものがある?
「取り急ぎお礼まで」というフレーズを、失礼だとする考えもあるようです。言い換え表現を覚えておけば、場面によって使い分けられますよ。
1:「まずはお礼まで」
「取り急ぎ」は「まずは」に言い換えることができます。「まずは」も「取り急ぎ」と同様に、「まずは〜まで」と文末を省略してしまうと、失礼な印象を与えてしまいます。丁寧に「まずはお礼申し上げます」といったように文章を完結させた方がいいでしょう。
「まずは」は「取り急ぎ」と比べると、急いでいるというニュアンスが薄くなります。本当に急ぎの要件の場合は「取り急ぎ」を使用するのが良いでしょう。
2:「まずはお礼かたがた」
「まずはお礼かたがた」は、「最初にお礼の気持を兼ねて」という意味で用います。「かたがた」は、「〜を兼ねて」「〜がてら」という意味の接続詞。手紙などの文章で用いられることの多く、お礼の気持ちを述べる場面で使用される表現です。「まずは、お礼かたがたご報告させていただきます」などと、用いましょう。
3:「メールにて恐縮ですが、お礼かたがたご報告まで」
「メールにて恐縮ですが」は、「メールでお礼を言うのは恐れ多いですが」という意味。「恐縮です」というフレーズは基本的に相手に感謝を示すときに使う表現です。
単体でも感謝の意味がありますが、「ありがとうございます」「感謝します」などの言葉と一緒に使うことで、感謝の意味合いを強調する役割もあります。「恐縮」はかしこまった表現なので、ビジネスシーンで目上の人に対して使うのが一般的です。
「取り急ぎ〜まで」と表現する他の言葉とは?
「取り急ぎお礼まで」と同じように、「取り急ぎ〜まで」と表現する言葉をご紹介します。
1:「取り急ぎご報告まで」
「取り急ぎご報告まで」は、急を要する場合に「とりあえず報告だけさせてもらいます」という意味で用いられる表現です。本来ならば、詳細を説明する必要があるけれど、現時点で十分に対応することができないという状況であるということへの「相手への許しや理解を得たい」という意味で使用します。
<例文>
山田さんにアポが取れ次第、予定を調整することになりました。取り急ぎご報告まで。
2:「取り急ぎお返事まで」
「取り急ぎご返事まで」は、「とりあえず急ぎ返信します」という意味の言い回しです。今は、ゆっくり返信する時間はないけれど、とりあえず返信しますというニュアンスです。特にビジネスシーンでは、今は返信をしている時間がないといった場合でも、返信をしないよりは簡易的であってもリアクションは早めにしておくと相手に「返信を待つ」手間をとらせずにすみます。
<例文>
ご報告のメールを拝読しました。取り急ぎお返事まで。
3:「取り急ぎご連絡まで」
「取り急ぎご報告まで」と同様に、相手に今すぐ伝えるべきことがある場合に使います。目上の相手には「取り急ぎのご連絡失礼いたします」などと、丁寧な表現を用いましょう。
<例文>
詳細は追ってご連絡をいたします。取り急ぎご報告まで。
「取り急ぎお礼まで」の英語表現
「取り急ぎお礼まで」を英語に言い換えると「This is a quick note to thank you.」と表現することができます。しかし、英語圏では「取り急ぎお礼まで」という言い回し自体をあまりしません。よって、あまりこのような表現を使うことはないでしょう。「thank you」とお礼の返信をすれば問題ありません。
最後に
「取り急ぎお礼まで」は多くの場面で使われていますが、本来使うべきではない表現だとわかりました。特にお客様の視点から考えると、相手が急いでいるかどうかにかかわらずきちんとした対応をして欲しいと考えるのが普通です。
こちらが急いでいることを伝えても、お客様には関係のない情報ですし、とりあえず間に合わせでメールを送るようなことはすべきではありませんね。言い換えの例文を使いこなせるようにし、失礼にならない表現をするように心がけましょう。
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