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2023.06.29

「誠に恐縮ですが」を上手に使えていますか? 言葉の意味や注意点を解説

文書やメールでよく使われる「誠に恐縮ですが」は、相手に依頼や要求をする際に添える言い回し。上手く使うと、話を切り出しやすくしてくれます。この記事では、「誠に恐縮ですが」を上手に使う方法や注意点を解説。

「誠に恐縮ですが」の意味とは?

取引先に対して、文書やメールで依頼をする時、「誠に恐縮ですが」という言い回しをよく使いますよね。何気なく使っている人もいると思いますが、この言い回しの意味を正しく把握していますか?

何となく使っている言葉や言い回しは、意外と誤用が多いもの。「誠に恐縮ですが」は、コミュニケーションを円滑にしてくれる優れた言い回しです。意味を正しく理解し、上手く使いこなせるようにしたいですね。

「誠に恐縮ですが」の意味を確認

「誠に恐縮ですが」の「恐縮」には、次のような意味があります。

・おそれて身がすくむこと
・相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。
おそれいること。また、そのさま
《デジタル大辞典》©SHOGAKUKAN Inc.より引用

上記から、「誠に恐縮ですが」には、「迷惑をかけたり、厚意を受けたりして本当に申し訳なく思いますが」という意味合いがあることがわかりますよね。

「誠に恐縮ですが」は、丁寧な敬語表現と認識されています。相手に用件を伝える前に添えることで、相手への配慮を感じさせ、コミュニケーションをスムーズにしてくれるわけですね。

「誠に恐縮ですが」の使い方とは?

「誠に恐縮ですが」の使い方を見ていきましょう。この言い回しは、大きく分けて4つのパターンで活用することができます。

パターン1:依頼や要求で使う

相手に依頼や要求をする際、「誠に恐縮ですが」を冒頭に添えるというパターン。文全体の印象を和らげてくれるので、相手に丁寧さや誠実さを感じさせる効果があります。また、相手に配慮するニュアンスがあるため、後に続く用件を伝えやすくしてくれるということも。

・誠に恐縮ですが、夏の展示会の概要について、今月末までにお知らせいただけますと幸いです
・誠に恐縮ですが、○○の件につきまして、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます
・誠に恐縮ですが、このメールにご返信いただきますようお願いいたします

相手がどのような状況にあるかがわからない状態で依頼や要求をするため、「誠に恐縮ですが」を、クッション言葉として使います。丁寧に、低姿勢でお願いしているということをアピールすることができますよ。

パターン2:相手に許可を求める場合

相手に許可を求める際も、「誠に恐縮ですが」を添えて伝えます。

・誠に恐縮ですが、来週の水曜日、御社(貴社)にお伺いしてもよろしいでしょうか?
・誠に恐縮ですが、後ほど改めてご連絡させていただいてもよろしいでしょうか?
・誠に恐縮ですが、再度資料をお送りいただいてもよろしいでしょうか?

「誠に恐縮ですが」を冒頭につけることで、その後の要件をスムーズに伝えることができます。

YESかNOにチェックを書く
(c)Shutterstock.com

パターン3:相手の申し出を断る場合

断りの意向を相手に伝える際、言いにくいと感じることもありますよね。おそらく、普段以上に言葉を慎重に選んで伝えるのではないでしょうか? 「誠に恐縮ですが」は、相手に言いにくいことを伝える際にも活用できます。

・誠に恐縮ですが、今回の展示会は参加を見送らせていただきます
・誠に恐縮ですが、この度ご依頼いただいた件はお引き受けいたしかねます
・誠に恐縮ですが、今回はご期待に添いかねます

上記の例文で言うなら、「参加を見送ります」だけ伝えてしまうと、冷たくあしらわれたような気になり、相手が気分を害してしまうかもしれません。断りを伝える文だけに、それは避けたいですよね。

「誠に恐縮ですが」を入れると、相手に対する配慮を表すことができ、言い回し自体も柔らかくなります。

パターン4:感謝の気持ちを伝える場合

感謝の気持ちを伝える場合も、「誠に恐縮ですが」を使うといいですね。

・誠に恐縮ですが、お申し出に甘えさせていただきます。
・誠に恐縮ですが、ご厚意に甘えさせていただきます。

「誠に恐縮ですが」を入れると、相手に恐縮しながらも、感謝しているということが伝わりやすくなります。

このように、「誠に恐縮ですが」をクッション言葉として上手く使うと、そのまま伝えると支障が出そうな内容でも、印象を和らげてくれるメリットがあります。

両手を合わせた手のひらにTHANKYOU
(c)Shutterstock.com

「誠に恐縮ですが」を使う場合に、注意したいこと

「誠に恐縮ですが」は、さまざまなメリットをもたらしてくれますが、次の場合は使うのを避ける方が無難です。

深く謝罪する場合はNG

「誠に恐縮ですが」は、「恐縮」という言葉があるため、謝罪の際も使えると思われがちです。しかし、謝罪の言葉としては非常に弱く、相応しくないとされているため、使うのは避ける方が無難。「誠に恐縮ですが」は、あくまでもクッション言葉と認識し、謝罪のシーンで安易に使わないようにしてください。

もし、相手に迷惑をかけたり、怒らせてしまったりした場合は、「大変申し訳ございません」「心よりお詫び申し上げます」を使うのがいいですね。謝罪の際は、クッション言葉を使うのではなく、ストレートな表現を用いる方がいいでしょう。

語尾を「~存じます」にするのはNG

時々、「誠に恐縮に存じます」と使われることがありますが、この表現は誤用。一見丁寧に思えますが、誤った使い方になるので注意してください。

「存じます」は「思います」の敬語表現にあたります。「恐縮」に「思う」の意味が含まれているため、「恐縮に存じます」は、同じ意味を使う二重表現に該当してしまうのです。

「誠に恐縮ですが」は、さまざまなパターンで使えるため、1件のメールや1通の手紙で多用する人もいます。しかし、過度に使うと、かえって不誠実な印象を与えてしまうことも。また、言いたいことをわかりにくくさせる可能性もあるため、程よく使うのが大切です。

「誠に恐縮ですが」を上手く使えば、コミュニケーションが円滑になりますが、そのためには、正しい意味や使い方を知る必要があります。この言い回しを上手に使いこなし、仕事や日常に役立ててくださいね。

デスクで微笑む女性
(c)Shutterstock.com

最後に

「誠に恐縮ですが」は、相手に対して依頼や要求、お断りをする際にクッション言葉としてよく使われています。「誠に恐縮ですが」を使うことで、文全体の印象が和らぎ、用件を率直に伝えることができるため、何かと重宝されているようです。あらゆることに使える言い回しと思いがちですが、使うのを避ける方がいいことも。特に、深刻な謝罪が必要な場合は、使わないようにしてください。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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