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感謝を伝えてもたらされる効果
人から「ありがとう」と言われると、温かい気持ちが、心に広がりますよね。感謝の言葉は、言われた方が嬉しくなるのはもちろんのこと、言った本人まで、幸せな気持ちになる効果があるようです。人をやる気にさせる魔法の言葉とも言えますね。
キャリアコンサルタントの櫻井宏美さんと一緒に、感謝の言葉や名言、ことわざについて見ていきましょう。
今回は、職場において人に対する気遣いに少し苦労されている、Oggiブレーンの方から、お悩みをいただきました。
「人間関係は良い職場ではありますが、気遣いが出来ない(周りを見て動けない)人が、同じ立場の人に多いと感じており、残念に思っています」(Oさん・24歳・女性/北海道)
人間関係が良いというのは、働きやすそうな環境ですね。一方で、気遣いが出来ない人が多い職場だと、お互いに干渉せず、感謝しあえる関係性が薄いとも言えそうですね。Oさんの職場について、キャリアコンサルタントの櫻井さんに、お話をおうかがいしました。
「人間関係が良い職場であるにもかかわらず、周りを見て動けない人が多いことを、Oさんは残念と感じていらっしゃるのですね。Oさんは、きっと、チーム思いで、自律的に行動できる方だからこそ、周りの態度をもどかしいと、思われているのではないでしょうか。
まずは、Oさんが率先して声をかけて、動いてみることから始めてみませんか。『この仕事をやってくれて、ありがとう』『ここを助けてもらえると、ありがたいのですが、お願いできますか』など、感謝の気持ちを表して相手に関わります。
以前、同じような悩みを持った方から話を伺いました。その方の職場では、周りが言われたことしかせず、動かない状況でした。そこで、まずは仕事を依頼するときや、終わったあとには、常に感謝の気持ちを伝えるようにされました。直接伝えることもあれば、メールで伝えたり、メモを机に置いておいたり。それを続けていくうちに、少しずつですが、同僚や部下が主体的に行動をとるように、変わっていったそうです。
即効性は期待できないかもしれません。しかしながら、感謝の言葉は人をやる気にさせると、信じて、ぜひ、試してほしいと思います」(櫻井さん)
人を動かすには教えて諭すことも必要ですが、相手を信じて感謝の気持ちをもって接することが、やる気にさせるには効果的な場合もあります。ここからは、感謝の言葉について、名言やことわざ、心に響く短いフレーズを見ていきましょう。
感謝の言葉とは?
感謝とは、ありがたいと感じてお礼を言うこと、また、ありがたいと感じる気持ちを言います。日常的に使う言葉では「ありがとう」がその代表格と言えるでしょう。形容詞の「有り難い」(あることがむずかしい)が元となります。誰かに助けてもらったり、親切にしてもらったとき、感謝の気持ちを表したり、お礼を言うときに用いますね。
また、虹が見えたり、美味しいものを食べたり、運がついてると思ったときにも、何か大きな存在を感じて、「ありがとう」の気持ちが沸き起こることもあるでしょう。
感謝は人との関係性や信頼性を築くものであり、感じることで、その人自身の心を豊かに満たし、幸せへ導く道しるべにもなり得ると言えます。今、自分が元気でいることは「当たり前」ではなく、「有り難い」ことだ、と感謝する気持ちを持つと、自分のことを、より大切にできそうですね。
感謝の言葉を伝える名言を紹介
感謝に関する名言や格言にはどのようなものがあるのでしょうか。偉人や著名人が遺した言葉を一緒に見ていきましょう。ぜひ、お気に入りのフレーズを探してみてくださいね。
1:「『うまくできた』という褒め言葉ではなく、『ありがとう、助かった』と感謝の気持ちを伝えます。感謝の喜びを体験すれば、人は自発的に貢献を繰り返します」
アルフレッド・アドラー(オーストリアの精神科医、精神分析学者、心理学者。1870~1937)
2:「人と人の間に絆を築くことができる唯一のものがあります。それは感謝です」
シャルル・ド・モンテスキュー(フランスの哲学者。1689~1755)
3:「すべての美しい芸術、すべての偉大な芸術の本質は感謝である」
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(ドイツ・プロイセン王国の思想家。1844~1900)
感謝の言葉の使い方を紹介
感謝の気持ちを表す言葉は、さまざまありますよね。ここでは、ビジネスから日常生活で使える表現を紹介します。これを機会にマスターしておきましょう。
1:平素は格段のご厚情を賜り、深謝申し上げます。
ビジネスシーンでよく使われる表現ですね。取引先や目上の人に対して用います。「厚情」は、心からの深い思いやりの気持ち、「深謝」は、心から感謝することを表します。このまま定型文として覚えておくといいでしょう。
2:いつもお心遣いをいただき、恐縮しております。
「恐縮」は、ありがたさを感じて、身がすくむ思いがすることを表しています。恩師やお世話になった人といった、ある程度人間関係が構築できている相手に対して、用いるといいでしょう。人間関係が構築できている相手に、型通りの表現を用いると、かえって失礼にあたる場合も。また、相手が心の距離を感じてしまうことも考えられます。
3:いつも支えてくれて、本当に幸せです。
友人や家族など、プライベートで日常的に関わる人に用いるといいでしょう。面と向かって言えない感謝の気持ちも、メールやSNSの最後に書き添えると、照れずに伝えられますね。受け取った相手も、温かい気持ちになります。
感謝の言葉にまつわることわざは?
感謝の気持ちを表すことわざには、どのようなものがあるのでしょうか。知っていると、人に教えたくなるかもしれませんね。ぜひ、覚えておきましょう。
1:大恩(だいおん)は報ぜず
小さな恩だと、すぐに気づいて恩返しができますが、大きな恩は、その大きさのために、かえって気づくことができず、報いることなく、終わってしまうということを表しています。日頃お世話になっている方だけではなく、広く関わっている方を思い浮かべると、中には思い当たる人がいるかもしれませんね。
2:礼も過ぐれば無礼になる
礼儀正しさは大事ですが、あまり度を越すと、かえって相手に失礼になるという意味です。感謝の気持ちをいくら言っても足りない、ということはありますよね。言いすぎて、相手が不快な気持ちにならないように、気をつけましょう。
3:足を向けて寝られない
恩人に足を向けると失礼にあたることから、恩を受けた人への、感謝の気持ちを忘れないことの例えです。「こんなにご恩を受けて、これからは、○○さんに対して足を向けて寝られません」という言い方をします。
短いけれど心に響く感謝の言葉
「ありがとう」という言葉は、一番身近で、伝えやすい感謝の気持ちですね。その他にも、シンプルだけど、短い文章で伝える感謝の言葉を、3つ紹介します。
1:助かりました
「助かる」は、相手が自分を助けるという意味の言葉になります。「助かりました」は、相手から助けを受けた際に、「力を貸してくれてありがとう」という気持ちを込めた、お礼の言葉です。友人や同僚に対して使うには問題ありません。しかしながら、「補助する」という意味合いがあるため、目上の人や上司、取引先には使えません。
2:心強い
何か行動を起こす際に、一人で起こすより、誰かがそばにいてくれると、やる気が出るもの。「心強い」は、頼りになるものがあって、安心した気持でいられることを意味します。周りから「心強い」と言われる人は、日頃から周囲に安心感、信頼感を与える人と言えるでしょう。
3:安心する
「あなたがいると、安心するわ」と言われると、嬉しい気持ちになりますよね。同時に、「任せたよ」という、信頼感の気持ちも伝わってきます。「安心する」は、気にかかることがなく、心が落ち着いていることを表す言葉。相手からそんな風に言ってもらえると、こちらも「信頼してくれてありがとう」と、その気持ちに応えたくなりますね。
最後に
感謝の言葉は、人間関係を円滑に築いていく上での潤滑油と言えます。仕事でもプライベートでも、生活する上で欠かせない、必須アイテムのようなものですね。常に感謝の気持ちを持ち、相手に伝えることで、人生が大きく変わる可能性があります。
就寝前にその日の感謝を書き留めるだけで、幸福感が高まるそうです。幸せへのファーストステップに、試してみてはいかがでしょうか。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
※本記事はOggiブレーン会員に対して2022年10月に行った「働き方アンケート」に回答いただいたOggi読者の回答をもとにしています。
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キャリアコンサルタント 櫻井 宏美さん
2017年国家資格キャリアコンサルタント取得。保険薬局・薬剤師の新卒採用を担当。Well-beingが高まる働き方を模索&実践中。