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「ご相談させてください」は敬語として正しい?
結論から言ってしまうと「ご相談させてください」は二重敬語にあたるという指摘もあり、不自然と受け取られる場面が多々あります。
理由として「相談する」+「させていただく」で「相談させていただく」となり、そこにさらに「ご」をつけて「ご相談させてください」とすると、過剰に丁寧な印象になってしまうためです。
また相談をするのは自分であるにも関わらず、自分の行動について「ご」を付けていることに違和感を覚える人もいます。
一方で「ご相談させてください」は尊敬語として正しい敬語だと認識する考え方もあり、意見が割れている表現です。
優れたコミュニケーションは相手を不快にさせないことが基本だと考えると、相手の性格や状況に応じて使用の可否を判断をすべきフレーズでしょう。
【シーン別】「ご相談させてください」の言い換え例

「ご相談させてください」は相手との関係性や相手の受け取り方によっては、違和感のない表現です。
しかし「ご相談させてください」を好まない相手もいることから、言い換え例のバリエーションを把握しておきましょう。
♦︎対面や電話での言い換え
対面や電話で「相談したい」という意思を伝えるときには、文章で伝えるよりもカジュアルな言い回しでも問題ないでしょう。
言い換え例
「少し相談したいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか?」
「お手すきの際に、相談できればと思っております」
♦︎上司や取引先への言い換え
上司や取引先など、失礼があってはいけない相手に言い換える際には、より丁寧な言い回しが好まれます。
言い換え例
「ご相談の機会を頂戴できますと幸いです」
「相談をさせていただきたく、お時間をいただければありがたく存じます」
♦︎メールでの言い換え
メールで言い換えるときには、より具体的な言い方や相手に配慮をした言い回しを用いると丁寧な印象を与えられます。
言い換え例
「折り入って相談をさせていただきたく、メールいたしました」
「恐れ入りますが、○○について一度ご意見を伺えますと幸いです」
「ご相談させてください」が誤用になりやすい場面

ビジネスシーンでは「ご相談させてください」を用いると、誤用になりやすい場面もあります。
NGとされやすい代表的な相手を解説します。
♦︎形式を重んじる相手にはNG
「ご相談させてください」は、自分が相談をしたいという意思を一方的に突きつけている印象も与えかねない言葉です。
そのため、相手の都合を考慮せずに自分が相談したい気持ちを押し付けているように受け取られる可能性も低くありません。
相手が形式を重んじる場合には、より丁寧な言い回しを用いたほうが賢明でしょう。
♦︎関係が浅い相手にはNG
日頃の関係性が浅く形式的な付き合いしかない相手に「ご相談させてください」を使ってしまうと、一方的で自分勝手な印象を与えてしまう場合もあります。
相談を受けるほど親密な間柄でもなければ信頼関係もない段階では、より相手に配慮をした言い回しが好まれます。
♦︎友人など近しい相手にもNG
日頃からフランクな会話で話している相手に、突如として「ご相談させてください」と伝えれば、相手は困惑します。
込み入った相談があるときほど相談の申し出は敬語的な表現になりがちですが、友人に対していきなり「ご相談させてください」を使ってしまうと、一方的に冷たく言い放っている印象が強まるので避けたほうがいいでしょう。
「ご相談させてください」の類似表現

相手に相談をしたいときに使える「ご相談させてください」の類似表現をチェック!
場の雰囲気や関係性に応じて、柔軟に言い換えていきましょう。
♦︎「相談させていただけますでしょうか」
「相談する」という自分の動作に「させていただく」をつけ、さらに「〜でしょうか」を用いると、かなり丁寧な依頼表現になりますので、丁寧さを特に強調したい場面に使える言い方です。
相手に許可をあおぐ必要があるときに使いやすく、フォーマルなビジネスメールや取引先への口語にも適しています。
♦︎「お時間を頂戴し、相談をできればと考えております」
「お時間を頂戴し」は、相手の時間をもらうことへの配慮につながります。
一方的に相談を申し出るのではなく「〜できればと考えております」を用いることで、控えめで柔らかい依頼にも受け取られやすい表現です。
社内外を問わず、丁寧ながらもソフトな言い回しをしたいシチュエーションに適しています。
♦︎「少し相談したいことがあるのですが…、今よろしいでしょうか?」
会話調で使える社内向けのソフトな言い回しです。
上司や同僚など日常的にコミュニケーションをとっている相手に対して、フレンドリーな雰囲気を出しつつも相手への敬意を忘れない表現として用いやすいでしょう。
「ご相談させてください」は万能な敬語ではない
「ご相談させてください」は、万能な敬語ではありません。
相手の性格や関係性、シチュエーションによっては不適切または不十分だと受け取られてしまう可能性もある表現です。
相手に時間をとってもらってこちらの相談を聞いてもらうスタンスの場面で用いる言葉だけに、使うときには失礼だと感じさせないよう上手に使っていきましょう。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。