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「ご一報ください」がよく使われる場面3選

「一報」とは「簡単な報告」や「連絡」のこと。つまり「ご一報ください」は「(簡単な)連絡をお願いします」という趣旨のフレーズです。
ビジネスシーンだけでなく、日常生活におけるフォーマルな連絡でも使われることが多いでしょう。まずは、この言葉の一般的な使われ方を解説します。
♦︎ビジネスメール
ビジネス上のメールのやり取りで「ご一報ください」はよく使われています。
相手が取引先か社内の人物かに関わりなく「〇〇の件についてご一報いただけますと幸いです」や「詳細が決まりましたらご一報ください」などの書き方が一般的で、何らかの事柄について自分に連絡をもらいたい意思を伝える表現です。
口語で使用しても間違いではありませんが語感が硬いことも影響してか、メールなどの書き言葉で使われる頻度が多い傾向にあります。
♦︎フォーマルな会話やチャット
ビジネス上の相手だけでなく、日常的なコミュニケーションであってもフォーマルな会話が求められるシーンでは「ご一報ください」を使うことがあります。
口語だけでなくLINEなどの短いチャットで「駅に着いたらご一報ください」や「無事に到着されたらご一報をお願いたします」などと簡単な連絡に用いられやすいほか「ご都合がつき次第ご一報ください」などと出欠の返事を促すときにも使われています。
♦︎不在時の連絡
不在時の連絡にまつわるコミュニケーションでも「ご一報ください」はよく見聞きします。
「会社に戻られましたらご一報ください」や「自宅に戻った時点でご一報をお願いいたします」など、家族以外の間柄で使われるケースが一般的でしょう。
相手が不在のままだと物事が進められないときに、一報をもらうことにより中断していた事柄を再開したいという意思を伝えられます。
「ご一報ください」を状況別に言い換える3事例

「ご一報ください」はフォーマルな会話にも使える敬語的な表現です。そのためシーンを問わずに使いやすいフレーズである一方で、状況や関係性によっては別の言い方に変えたほうが好ましい場合もあります。
♦︎友人や家族に対してカジュアルな言い換えをしたいとき
友人や家族に対して「一報がほしい」という意思を伝えたいときに「ご一報ください」では、硬すぎる印象を与えがちです。
普段からタメ語で気軽に話す仲であれば「連絡してね!」や「知らせてね」といったラフな表現が自然でしょう。
♦︎目上の人に対して丁寧な言い方をしたいとき
目上の相手に対して「ご一報ください」を使っても誤りではありません。
しかしさらに丁寧な表現を用いたいときには「ご一報賜りますようお願い申し上げます」と言い換えるといいでしょう。
相手が礼儀を重んじるタイプであったり、普段からフォーマルな表現を好む人物であった場合には「ご一報ください」では不適切だと感じさせる場合もあります。
♦︎同僚に対して別の言い方をしたいとき
同僚に対して「ご一報ください」と伝えるのは、敬語としても正しい表現です。
しかしいつも同じフレーズばかりでは単調になってしまうなどの理由から別の言い方をしたいときには「お知らせください」や「ご通知をお願いします」などの言い換えができます。
「ご一報ください」がふさわしくない場面

「ご一報ください」というフレーズを用いるのに、ふさわしくないとされる場面もあります。
ビジネスシーンや日常生活における「ご一報ください」を避けたほうがいいシーンを解説します。
♦︎重大な連絡や緊急事態のとき
ビジネス上の重大な連絡や緊急事態が起きているときに「ご一報ください」では軽い印象を与えてしまう場合があります。
たとえば「契約が完了したら、ご一報ください」では正式な報告を求めているようには受け取られにくいことから、この場合には「契約が完了しましたら、ご報告をお願いいたします」などとしたほうが確実です。
また「体調が悪くなったら、ご一報ください」では不自然かつ機械的な表現だと受け取られかねず「体調が悪くなったら、すぐにお知らせください」などと言い換えたほうが丁寧でしょう。
♦︎重要な人物への連絡
重要な人物への連絡で「ご一報ください」を用いると、カジュアルすぎる印象を与えることもあります。
たとえば「お時間がありましたら、ご一報ください」は、自分が敬うべき重要人物への連絡としては不適切でしょう。この場合には「お時間がございましたら、ご一報賜れますと幸いです」としたほうが無難です。
♦︎フランクな会話
フランクな会話をしているときに「じゃあ、ご一報ください」などと使ってしまうと、違和感を招くコミュニケーションになってしまいます。
友人や普段から連絡を取り合っている仲間といった関係性では、会話の中にいきなり敬語を用いると距離を置いているようにも受け取られかねません。
フランクな間柄においてタメ語以外での表現をするなら「連絡してください」や「知らせてください」などとしたほうが自然です。
「ご一報ください」を目上に使うシーンでは要注意
「ご一報ください」は便利なフレーズで、基本的には相手を問わずに用いやすくビジネスシーンにおいては特に定型的な言い回しでもあります。
しかし目上や敬うべき相手に使うときには、相手との関係性や日頃のコミュニケーションの取り方によっては不適切な表現に受け取られかねません。
目上の相手に「連絡がほしい」という意思を伝えたいときには、その人との日頃のコミュニケーションの取り方を思い返しながら適切な表現に言い換えるといいでしょう。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。