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「どうでしょうか」は敬語?
結論を先に言ってしまうと「どうでしょうか」は、丁寧語に分類される表現です。
「どう」は話し言葉で「どのように」を省略した形で、「でしょうか」は推量を表す助動詞としての「です」+「う」+疑問の「か」が組み合わされています。
「どうでしょうか」は比較的柔らかく丁寧な印象を与える表現ではあるものの、謙譲語や尊敬語のような敬語の最上級とは位置付けが異なります。そのため、場面や相手によって適切な言い換えが求められます。
ビジネスシーンにおける「どうでしょうか」の言い換え方

ビジネスの場では「どうでしょうか」だけでは、ややカジュアルすぎる印象を与えがちです。たとえば上司や取引先に提案や意見を求めるシーンでは、より丁寧な表現に言い換えるといいでしょう。
♦︎「いかがでしょうか」
「どうでしょうか?」をより丁寧な言い換えた表現です。
「いかが」は「どう」の丁寧語。相手の意見・感想・反応などをうかがうときに使えます。
実例としては、お客様や目上の人に対して自分の提案や案を提示するときに「こちらの資料でいかがでしょうか?」や、相手に選択肢を提示して選んでもらいたい場面で「こちらの商品はいかがでしょうか」などと用います。
「どうでしょうか」よりも、さらに丁寧な表現が必要な場面に適しています。
♦︎「見ていただけますか?」
相手に対して、軽い確認やチェックをお願いする表現。「どうでしょうか」と伝えて何かを見てもらうよりも、より丁寧な印象を与えられます。
具体的な使用シーンの例を挙げると、社内やある程度親しい関係で丁寧にお願いしたいときに「この資料、見ていただけますか?」と使ったり、指摘や確認の有無を確認したい場面で「不備がないか、見ていただけますか?」などと用います。
ただ意見を聞きたいだけのシーンだけでなく、チェックをお願いしたい場面に適しています。
♦︎「ご確認いただけますでしょうか?」
「見ていただけますか?」よりも、さらに丁寧かつフォーマルな表現。
ビジネスメールや目上の方とのやり取りで使え、実際に相手に確認をお願いする場面でよく使われています。
取引先や上司に対して丁寧に何かを見てもらいたいときや、ビジネスメールや文書での依頼で「添付の資料をご確認いただけますでしょうか」などと用います。
「どうでしょうか」の言い換えとしては、かしこまった印象を与えたいときに適切な言い方です。
「どうでしょうか」が敬語として不十分な場面

「どうでしょうか」は敬語に分類されますが、言葉としてはややカジュアルな部類です。そのため不適切と受け取られる場面もあります。
「どうでしょうか」が敬語としてふさわしくないor足りないと受け取られやすい主なケースを解説します。
♦︎目上の人や取引先に使うビジネス文書・メール
ビジネスメールや正式な書類などの丁寧さが求められる場面では「どうでしょうか」では、カジュアルすぎる印象を与えがちに。
悪い例としては、次のものが挙げられます。
NG例:「添付の書類をご確認いただければと思います。どうでしょうか?」
このような場面で使うなら「ご確認いただけますでしょうか?」や「ご査収のほど、よろしくお願いいたします」など、より丁寧で格式ある表現がふさわしいでしょう。
♦︎謝罪やお詫びの場面
謝罪やお詫びの場面で「どうでしょうか」を使うと、軽すぎる印象や他人事に聞こえる可能性が低くありません。また横柄な印象も与えがちなので、用法としては不適切です。
次の用法は悪い例です。
NG例:「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。こちらの対応でどうでしょうか?」
謝罪のシーンでは、丁寧かつ誠実さを感じさせる表現が求められますので「今回の対応にて、ご納得いただけますでしょうか。重ねましてお詫び申し上げます」などが適切でしょう。
♦︎公式なプレゼンテーション
公式のプレゼンテーションで「どうでしょうか」を使うと、話し言葉的で場にふさわしくないと受け取られかねません。
次の使い方は悪い例です。
NG例:「このプランでどうでしょうか?」
日頃からの関係性やキャラクターにもよりますが、丁寧かつフォーマルな発言を必要とする場面では「このご提案で問題ございませんでしょうか。ご賛同いただけますと幸いです」などとしたほうが好ましいでしょう。
「どうでしょうか」が適切とされるビジネス上の場面

「どうでしょうか」はライトな表現なので、フォーマルすぎる言い回しを避けたいビジネス上の場面では適しています。
ビジネスシーンで「どうでしょうか」が適切と受け取られやすい場面を解説します。
♦︎ある程度はラフな空気がある社内やり取り
社内メールや会話で「あまり堅苦しくしたくないけれど、ちゃんと丁寧には伝えたい」という場面ならば「どうでしょうか」はちょうど良い表現でしょう。
日頃からの社内での関係性次第では、上司や先輩に使っても失礼にはなりません。ただしどんなに親しい間柄でも、フォーマルな会議や重要案件では「いかがでしょうか」に置き換えたほうがベターです。
♦︎同僚との提案・相談
チーム内の会話などのフランクな場面で、何かの提案や確認をしたいときには適している表現です。
「金曜日のランチミーティング、どうでしょうか?」などと用いると、距離感を縮める表現としても効果的でしょう。
「どうでしょうか」を加えることによって、提案や意見を押し付けずにマイルドに尋ねている印象も与えられます。
♦︎カジュアルかつフレンドリーなプレゼンテーション
社内プレゼンで、聞き手の反応をうかがいたいときにも「どうでしょうか」を使えます。
「以上が新しい施策の概要です。ここまでの流れ、どうでしょうか?」などとフレンドリーかつカジュアルな表現をあえて用いることで、相手がリラックスして聞き取りやすいムードを演出できます。
「どうでしょうか」は敬語だがライトな表現
「どうでしょうか」は丁寧語ではありますが、あくまでライトな敬語です。
そのためフォーマルすぎず、それでいて失礼にならない程度の丁寧さが求められる場面に特に向いています。
相手との関係性やシチュエーションに応じて、上手に使い分けをしていきましょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。