ビジネスシーンで出会う「攻撃的な人」とは?

仕事で出会う「攻撃的な人」は職場にだけに限らず、取引先やクライアントなど、さまざまな立場から登場する場合もあります。彼らの攻撃性は必ずしも“怒鳴る・罵倒する”といった分かりやすい形だけではなく、じわじわと精神を削ってくるような言動をするケースも少なくありません。
ビジネスシーンで出会う“攻撃的な人”の特徴を解説します。
♦︎常にマウントを取りたがる
彼らの目的はその場にいる人たちに「自分のほうが上だ」と思わせること。対等な関係を嫌うタイプに多く、常にマウントをとることによって、自分が優位であると確認したがります。
「そんなことも知らないの?」と知識をひけらかしてきたり、わざと専門用語やカタカナ語を使って相手を混乱させたり…。
一つひとつの言動に丁寧に向き合っていくほど、心がすり減る相手です。
♦︎高圧的で話を聞かない
会話の主導権を絶対に渡さず、打ち合わせや会議では“対話”ではなく“支配”しようとするかのような言動が目立つタイプです。
話を遮ったり、指示を押し付けたりするだけでなく、ときには他人の意見を平然と全否定します。
誰かが話しているときに腕組みをして睨みつけるケースもあり、同じ空間にいるだけで威圧感によって疲れてしまいがち。
♦︎皮肉や嫌味が多い
冗談のように見える発言でも、言われた側がモヤモヤすればそれは皮肉や嫌味と言っていいでしょう。
たとえば、上司からの「お、やっと仕事してるんだね?」や「珍しく真面目に仕事しているんだね!」といった軽口は、周囲は冗談だと感じても言われた側は不快になる典型です。
また皮肉や嫌味が多いタイプには、感謝や賞賛の言葉は口にせず部下や後輩など下の立場にいる人の欠点ばかりを指摘する人も少なくありません。
言葉のナイフで心がえぐられるたびに、かなりのエネルギーを奪われますよね。
♦︎理不尽な要求をする
無理な納期を押し付けてきたり悪びれずに急な予定変更を無理強いしてきたり。相手の状況を無視して、すべて仕事の進め方を自分中心に考えていて、“他人を支配すること”や“他人から搾取すること”への関心が高いタイプでもあります。
威圧感や屁理屈によって相手をコントロールしようとする傾向も強く、関わると振り回されるでしょう。
♦︎他人のミスを許さずに責任を押しつける
自分のミスは棚に上げて他人のミスに厳しく、小さなミスでも大袈裟に責めたり責任転嫁をしたりするタイプは、少しのミスでもまるで「人としての欠陥」とも言わんばかりに責め立てます。
ミスを見つけるといつまでもネチネチと同じ文句を言い続ける人もいるので、このタイプと関わると自信を喪失させられやすいだけでなく、萎縮してしまって本来の能力を発揮できなくなっていく場合も…。
ビジネスシーンで攻撃的な人から身を守る方法

ビジネスシーンで出会う攻撃的な人には、立場上の理由で真正面から戦えない場合も少なくありません。
そこで、せめて心の平穏だけでも保つために身を守る術を知っておきましょう。
♦︎距離を置く勇気を持つ
攻撃的な人から身を守る第一原則は、自分を守ること。
大切なのは「自分を守ることは悪いことではない」と理解することで、無理にまで今の関係を続ける必要はありません。
業務上、縁を切るわけにはいかなくても、今よりも物理的・心理的に距離を取ることはできます。連絡の頻度を減らす、必要な時以外は関わらないなど、できる範囲で境界線を引きましょう。
♦︎反応しすぎない
攻撃的な人は、相手の反応を見てさらに優位に立とうとしてくる場合も少なくありません。
そのため、彼らの言動に対して「感情的に反応しないこと」もとても大切な心がけ。何を言われたとしても、動じずに冷静かつ静かに対応ができると、相手の攻撃熱を冷ます最善策にもつながります。
彼らの言動の内容によっては、必要に応じて無視をする勇気も必要です。
♦︎相手の内面における問題に巻き込まれない
攻撃的な人の多くは、自分のなかにある怒りや不安を他人にぶつけているだけ。つまりそれは、あなたが悪いからではなく、攻撃的な態度をとっている本人の内面における問題です。
そのため攻撃的な人に対しては相手の機嫌を取ろうとするよりも「これは、私の問題ではなくその人の問題」と心の中でスッパリと割り切ってしまいましょう。
彼らの感情に巻き込まれないように、自分の心に線を引くのがベストな対処です。
♦︎信頼できる人に相談をする
攻撃的な人との関わりで悩んでいるならば、ひとりで抱え込まないようにしましょう。
友人や家族、カウンセラーなどの第三者に話を聞いてもらうことで、自分の気持ちが整理されたり客観的な視点を得られたりします。
マウントや威圧的言動などに繰り返しさらされていると自信を喪失していきがちですが、誰かと話すことを通じて「自分が感じていることは間違っていなかった」と安心感が得られるだけでなく、自信を取り戻しやすくなるでしょう。
♦︎必要に応じて専門機関に助けを求める
相手の攻撃が度を超えていると感じたならば、ためらわずに助けを求めましょう。
自分では「まだ我慢できる」と思っていても、パワハラやDV、ストーカーなど法的な保護が必要なケースもあります。
職場や取引先などビジネス上の人間関係だと「波風を立てたくない」という心理も強く働きがちですが、自分の安全と心の健康を最優先に考えましょう。
攻撃的なタイプには不安や劣等感が強い人も多い
攻撃的な人には「不安」や「劣等感」を抱えているタイプも少なくなく、自分で言っているほどには実力や実績が伴っていないケースも散見されます。こういったタイプに真面目に向き合いすぎると不必要に疲弊させられてしまうので、仕事に悪い影響が及びやすいのも確かです。
彼らは攻撃を通じて相手を支配して自分を大きく見せ心のバランスを保とうとしているだけなので、できるだけ巻き込まれないように心をガードしていきましょう。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。