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日々の仕事で自然と口にしている「お疲れ様です」の言葉。
職場でのあいさつやメールの書き出しには欠かせない表現ですが、職場や友達にも気軽に「お疲れ!」と使ったりするため、本当にビジネスシーンで使っていい言葉なのか心配になりますよね。
今回は、「お疲れ様です」の本来の意味と使い方、さらに丁寧な言い換え例についてもご紹介します。
「お疲れ様です」とは?基本的な意味と役割

あいさつとしては便利で万能に思えるこの言葉も、場面や相手によっては注意が必要なケースもあるのです。
ここでは、まず「お疲れ様です」が持つ本来の意味やビジネス上の位置づけ、そして社内と社外での使い分けについて丁寧に見ていきましょう。
「お疲れ様です」の意味とビジネスでの位置づけ
「お疲れ様です」という言葉は、相手の労をねぎらう気持ちを込めた、海外にはない日本独特のあたたかい表現です。
ビジネスでも、「お疲れ様です」は基本の挨拶として定着していますよね。出社時の「おはようございます」や退社時の「お先に失礼します」などの表現以外では、社内メールやチャットなども含めてほぼメインの挨拶上限と言っていいでしょう。
形式張った敬語でもなく、ほどよく丁寧で親しみやすい印象を与えるため、日本のビジネスシーンに根付いていると考えられます。
社内外での使い分け
ビジネスシーンに定着した挨拶とはいえ、注意したいのは、社外の人に使う場合です。プロジェクトを協働している取引先や飲食店などの独特のマナーがある業界では「お疲れ様です」を使うことに違和感がない場合もありますが、基本的には取引先や初対面の相手に対して「お疲れ様です」は使用せず、「お世話になっております」といった表現がふさわしいこともあります。
目上の人に「お疲れ様です」は失礼?知っておきたいマナー
多くの場面で便利に使える言葉ではあるものの、相手によっては「失礼」と捉えられてしまう可能性も。うっかり失礼を与えないためにも、言葉の使い方のマナーや注意点を3つの視点から身につけておきましょう。
注意点1.失礼と捉えられるケースとその理由
一部の上司や年配の方の中には、「お疲れ様です」という言葉を“目上が目下に使うもの”と考えている方もいます。特に上下関係が明確な職場や、伝統を重んじる業界などでは、そのような考えが根強いこともあるため注意が必要です。
たとえ悪気がなくても、気軽に使ってしまうことで「失礼だ」「配慮が足りない」と思われてしまい、信頼関係に影響することも。相手の世代や社風に応じて言葉を選ぶといいでしょう。
注意点2.「ご苦労様です」との違いに注意
「ご苦労様です」は、人に何かを頼んだ時や仕事を依頼したときの苦労を労う言葉なので、目上の人が目下の人に使うのが正しいとされています。そのため、ビジネスシーンでは、部下から上司に対してや取引先に対して「ご苦労様です」と言うのはNGとされています。
特に初対面や社外の目上の方との会話では、言葉の選び方に注意を払いたいところです。
注意点3.誤解を招かない表現選びのポイント
たとえば、初めて会うクライアントや、社内でもあまり面識のない年上の方に「お疲れ様です」と言う前に、「この表現で本当にいいのかな?」と一瞬立ち止まって考えてみて。
迷ったときには「お世話になっております」や「ありがとうございます」といった表現に切り替えるのもひとつの手段。状況や相手に合わせた言葉づかいができることで、信頼感や丁寧さが伝わりやすくなります。
「お疲れ様です」の言い換え例|社外の人に使う場合の表現

社内では、上司でも部下でも「お疲れ様です」が正解ですが、取引先や社外の人には、相手や場面によって「お疲れ様です」をより丁寧な表現に言い換えた方が良い場合も。メールや電話、対面など、シーンに応じた丁寧な言い換え例を身につけておきましょう。
言い換え1.「お世話になっております」など丁寧な表現
「お疲れ様です」の言い換え例は、「お世話になっております」が最もポピュラーです。多少かしこまっていますが、適度に丁寧で初対面の方にも丁寧な印象を与えることができます。
また、「いつもお世話になっております」などは、継続した関係性や信頼関係を表現することもできます。
言い換え2.メールで使える挨拶文例
文章でのあいさつでは、相手の立場や関係性に応じて
「いつもお力添えをいただき、ありがとうございます」
「平素よりお世話になっております」
などの表現が一般的。
形式的に見えますが、受け取る側にとっては「きちんとしている」「礼儀をわきまえている」という安心感につながります。
特にメールでは表情や声のトーンが伝わらないため、言葉選びがより大切です。
言い換え3.電話での言い回し
顔が見えない電話での応対の際にも、「お疲れ様です」の代わりに「いつもお世話になっております」を使いましょう。言葉だけでなくトーンにも気を配ると好印象です。
距離の近い取引先や、カジュアルな関係の場合は丁寧すぎると感じる人もいるかもしれませんが、丁寧さが伝わるので、言われた相手も気持ちのいい表現です。言葉に気持ちを込めて伝えることで、相手との距離感も縮まります。
目上の人に「お疲れ様です」を使う際の注意点
便利な言葉だからこそ、ほんの少しの言い換えや工夫が大きな印象の違いに。形式的なあいさつにとどまらず、上司との信頼を深めるためにも意識しておきたいポイントを2つご紹介します。
注意点1.「お疲れ様です」に“ひと言”添えて関係を深める
「お疲れ様です」自体は丁寧で万能な挨拶ですが、それだけで終わってしまうと少し事務的な印象になることもあります。たとえば、「お疲れ様です。本日の資料、拝見しました」と一言添えるだけで、ぐっと親しみや信頼感が増します。また、「週末はいかがでしたか?」「先週の件、どうなりましたか?」など、ちょっとした気づかいや話題を挟むことで、自然と会話が生まれることも。
ルーティンになりがちなあいさつこそ、少しだけ心を込めて。あなたらしい言葉が、ふとした瞬間に相手の心に残ることもあります。
注意点2.相手の気持ちや状況に配慮する
相手が忙しそうにしていたり、明らかに気持ちが落ち着いていないような場面では、「お疲れ様です〜」と軽く声をかけることで、かえって気を遣わせてしまう場合もあります。
そうしたときには、「お忙しいところ恐れ入りますが……」や「お時間いただきありがとうございます」など、プラスアルファの言葉を添えると良いでしょう。何気ないあいさつも言い方ひとつで相手の受け取り方が変わるので、場の空気や相手の様子を感じ取ることが信頼を築く第一歩です。
よく使う言葉だからこそ、改めて意味や使い方に気をつけて
何気なく使っている「お疲れ様です」の言葉も、相手やシーンによって印象が変わる言葉です。とくに目上の人に対しては、「失礼にならないかな?」という小さな心配りが大切。場面に応じた柔軟な対応力を身につけて、より心地よいコミュニケーションを目指しましょう。
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コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。