【目次】
・「ご苦労様です」の意味と使える相手とは?
・「ご苦労様です」と「お疲れ様です」の違い
・「ご苦労様です」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・最後に
「ご苦労様です」の意味と使える相手とは?
みなさん、一度は「ご苦労様です」と声をかけられた経験があるのではないでしょうか? ビジネスシーンでよく使われている言葉ですが、実は、相手を選ぶ言葉でもあります。せっかくの相手への労いや感謝の気持ちが失礼に当たらないよう、「ご苦労様です」の正しい使い方を覚えていきましょう。
まずは、「ご苦労様です」の意味から確認していきます。
◆「ご苦労様です」の意味
「ご苦労」は、他者を敬い、その人の「苦労」をいう語。他人に仕事を依頼したときなどに、その苦労をねぎらって使う言葉です。同輩以下の者に対して用いると辞書に記してある通り、「上の者から下の者へ」掛ける言葉です。「ご苦労様」は、「ご苦労」を丁寧に表現した言葉です。つまり、苦しい思いをしている人や世話を掛けた人の苦労に対して告げる言葉が「ご苦労様」です。
◆「ご苦労様です」を使える相手
明治時代初期までは目下の者から目上の者に対して使われることのほうが多かったそうですが、それ以降形勢が逆転しました。大正時代には、目上の者が使う言葉として主流になったそうです。また「ご苦労さま」が目上から目下の者に対する挨拶であると定着したのは1980年以降のこと。その時代に、多くの辞典で「目上の人に言うのは失礼とされる」という説明書きが追加されたことからも分かるように、現代と同じようなイメージが定着していきました。
現代では、目上の人が使うことが主流とされていることが分かりましたね。では、なぜ失礼とされるのでしょうか? 「労る(いたわる)」は、「弱い立場にある人などに同情の気持ちをもって親切に接する」という意味。「労う(ねぎらう)」は、「同等または下の人に対して、苦労や骨折りに感謝し、いたわる」という意味です。ともに言葉をかける対象が目下の人である言葉であるため、目上の人に使うと失礼に当たってしまいます。
目上の人に、このような気持ちを伝えたい場合は、「ありがとうございました」などの表現に言い換え、感謝を伝えると良いでしょう。
「ご苦労様です」と「お疲れ様です」の違い
「ご苦労様です」と「お疲れ様です」には、どのような違いがあるのでしょうか? 「ご苦労様」も「お疲れ様」も、相手に労いの気持ちを投げかける言葉です。「お疲れ様です」は、一般的に、先に退社する人への挨拶としても使われており、日常的に「お疲れ様」と声を掛け合うような、カジュアルな職場もありますね。
例えば、社内メールの書き出しや、社内電話の冒頭に「お疲れ様です」はよく使われています。「ご苦労様」と違って、「ありがとうございます」や「お先に失礼します」などの挨拶として使われることが多い言葉です。
「お世話様です」は、「ご苦労様です」と同様に、目上から目下の者に対してかける労いの言葉です。「お世話様です」は、労いの気持ちだけでなく、力を尽くしてくれたことに「ありがとう」という気持ちを伝える表現。文語ではなく、口語として用いられ、挨拶代わりに「お世話様です」と用いることができます。
「ご苦労様です」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「ご苦労様です」のように、他にも労いの気持ちを伝えられる言葉があります。相手や様々な場面にあわせて使えるよう言い換え表現についても覚えておきましょう。
1:「お先に失礼いたします」
一般的に、先に退社する際の挨拶として「お疲れ様です」は使われていいます。ただし、目下の者から目上の方に向けて「お疲れ様」と用いることは、失礼だと受け取られる場合があります。また、当然「ご苦労様です」は使えませんね。そんな時は、「お先に失礼いたします」を使いましょう。
2:「ありがとうございます」
「ご苦労様です」は、目上の人から目下の者に対してかける労いの言葉です。目下の者から目上の方に向けて労いの言葉を使いたい場合は、「感謝」を伝えることが目的ですよね? その場合は、「ありがとうございました」などの感謝の表現に言い換えると良いでしょう。
3:「お疲れ様でございます」
先述した通り、目下の者から目上の方に向けて「ご苦労様です」は、用いることができません。目下の者から目上の方に挨拶しなければならないとき、「お疲れ様でございます」を用います。
しかし、取引先や顧客など社外の方に対しては使いません。労いの意味合いが含まれており、社内のカジュアルな挨拶としての印象が強いです。社外のオフィシャルなシーンで用いると失礼にあたるため、気をつけましょう。
最後に
「ご苦労様」は、ビジネスシーンでよく使われている言葉です。相手を労う思いやりや感謝の気持ちがこめられた言葉ですが、目上の相手に使ってしまうと、失礼に当たることが分かりましたね。場面や相手に適した表現で、思いを伝えられるようになりましょう。
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