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オチがあると話が面白くなるのはなぜ?
人は「起承転結」のあるストーリーに惹かれがち。そのなかでも「結」にあたる部分である“オチ”は、話の締めくくりであり、聞き手に「スッキリ感」や「笑い」「驚き」「納得」などを与えます。
一方でオチのない話は、まるで終わりのない階段を上り続けているような感覚を招き、聞き手はどこにたどり着くのかわからず疲労感だけを生むことも…。
つまりオチのある話はゴールがあるので、たとえ話が長くても「どんなオチが来るのか?」という期待が裏切られなかったことによって「面白い話だった!」と満足感を得やすいのです。
オチのある話をする人の共通点

オチのある話をする人の話し方には、共通点もあります。
無意識であれ意識的であれ、オチのある話を得意とする人ほど備えているポイントをチェックしてみましょう。
♦︎話を要点でまとめる力がある
ただダラダラと話すのではなく、必要な情報だけを選びテンポよく話を進めます。
自分の話の“核”がどこにあるかを的確に見抜いているので、余計な描写や関係のない背景説明を省きます。
言い換えると情報処理能力の高さが表れているとも言えるでしょう。
ただ長く話すだけの人との決定的な違いは、“話が長くてもダレない”点です。どんなに話が長くても要所がはっきりしているので、聞き手は飽きにくいのです。
♦︎常に聞き手を意識している
話のうまさは「対話力」にもあります。
オチのある話をする人は相手の反応を静かに観察していて、笑ったのか、驚いたのか、引いてるのか? といった空気を読みながら、話の速度や表情、言葉遣いを微調整しています。
思ったより周りからのウケが悪ければ、さっと話を切り上げて別の話題に切り替える判断も早いので、つまらない話をダラダラと続けないだけの空気を読む力にも優れています。
♦︎話に落差をつけるのが上手
面白い話は「期待」と「現実」のギャップ、つまり“落差”からも生まれます。
オチのある話をする人は、あえて最初は“普通”や“常識的”な流れを作っておきながら、それを裏切る言葉や展開を仕込むのが非常に上手。
つまり起こった出来事を一方的に淡々と伝えるだけではなく「聞き手の感情はどこで動くのか」を意識した流れを組み立てて話しているのです。
♦︎話し慣れている
オチのある話ができる人は、自分の話について「どこを膨らませれば面白くなるのか?」や「どう言えば、オチとして締まるのか?」を無意識に分析していて、過去にウケた話を別の場でも披露している例も少なくありません。
つまり、話し慣れている人ほど笑い話や“ちょっといい話”、驚く話や失敗談… と、さまざまな“引き出し”を持っていて、その場に応じて最適な話を選んでいるのです。
自分の話に「オチ」をつけるコツ

話し下手を自覚していても、円滑なコミュニケーションのためにオチのある話を披露したい場合もありますよね。
ちょっとした工夫で話が面白く聞こえやすいポイントを解説します。
♦︎比喩や例えでインパクトを出す
話にオチが思いつかないときは「たとえる力」に頼るのも効果的です。
「まるで○○のようだった」というフレーズをひとつ足すだけでも、話に厚みが出てオチにもつなげやすくなるでしょう。
比喩には聞き手が笑いや驚きを生みやすい側面があるほか、話の終盤で用いる比喩そのものに「オチ」のような効果が期待できます。共感や笑いがほしいときに積極的に使ってみたい表現です。
♦︎「オチがないこと」をオチにしてしまう
これ! というオチがない話題のときには「オチがない」という事実そのものを、ネタとして使ってしまうのもアイデアです。
話題の中盤あたりで相手が「それからどうなったの!?」と思っているであろうと感じたら、終盤で「ただ〇〇しただけって話なんだよね(笑)」などと自らオチのないことを披露すると、その流れそのものがオチのように感じやすいでしょう。
脱力系の流れでも「オチ」はつくれるのです。
♦︎感情の変化を言葉にしてみる
話にオチをつけたいけれど、“事象”としてのオチが見当たらないときには、自分の感情の変化を言葉にしてみましょう。
嬉しいと思ったのにガッカリだったという流れや、イラっとしたけれど最後は笑ってしまったなど、感情の変化を話に入れるだけで印象的な話になるでしょう。
前半の感情と後半の感情に大きなギャップがあるほど、“オチ”効果が見込めます。
これは不自然!「オチのある話」にならないNGポイント

オチのある話になるよう意識をしても、やり方を間違えると逆効果になりがち。無理にオチのある話にすべきではない場合の注意点を3つ解説します。
♦︎オチを優先しすぎる
オチをつけようとするあまりに、話の流れを無理やり作ってしまうのはNG。聞き手は話の展開についていけず、急に話が飛んだように感じて混乱してしまいます。
強引すぎる展開の話題は、話が嘘っぽく聞こえるデメリットもあるでしょう。
♦︎「オチ」を聞かせるだけになっている
「オチ」のために話をしようとするとオチだけが目立ってしまって、話の前半がおざなりになってしまいます。
オチは前提となる前半の話が適切だからこそ、活きてくるもの。適切な“土台”がないのにオチだけを強調しても、聞き手は白けがちでしょう。
話をするときには、オチにだけ意識を集中しないよう心がけて◎。
♦︎自己満足になっている
話している本人は「うまいことを言っているはず!」と思っていても、聞き手に真意が伝わっていなかったり共感してもらえなかったりすれば、ただの自己満足に終わってしまいます。
オチの目的が「自分を面白く見せること」になっていると空気の読めない展開にもなりやすいので、聞き手の感情に寄り添った展開を心がけて!
適切な「オチ」があると会話が締まる
完璧なオチを目指す必要はなくても、適切なオチがあると雑談や商談が締まります。
ビジネス上のコミュニケーションにおける「オチ」は、話を聞いてくれた相手への“サービス”の側面も。人間関係を円滑にするメリットも期待できます。
オチのある会話をしたい場面ではちょっとした「締め」を意識するだけで、場面も和みやすくなるでしょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。