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「邁進(まいしん)」の意味とは?

「邁進(まいしん)」とは、恐れることなく突き進むことを意味します(出典:デジタル大辞泉/小学館)。
つまり「努力する」よりも、強い意志やスピード感を持って進むニュアンスです。
なお「まい進」は「邁」の字を使うのが正式で、「迷進」や「埋進」などと記されているのは誤記です。
♦︎「邁進してまいります」は二重敬語にあたる?
「邁進してまいります」は、一部で“重ね敬語”(二重敬語)とされることがあります。
「邁進」に“進む”という意味が含まれているのに、さらに「してまいります(=進んでいく)」を足すと、“意味が二重になる”という指摘があるためです。
近年ではビジネス文書やスピーチでも「邁進してまいります」は一般的な定型表現として定着しているので、完全に間違いとは言い切れませんが「過剰に敬語を重ねた印象」や「くどい印象」を与える場合もある点は覚えておくと良いでしょう。
アラサーが「邁進してまいります」を自然に使える場面

アラサー世代が「邁進してまいります」を、自然に使える場面をまとめていきましょう。
♦︎ビジネスメールの結び
仕事での挨拶や報告メール、取引先への連絡において、結びの一文として使えます。
例文:「今後とも、チーム一丸となり邁進してまいります」
フォーマルで前向きな印象を与える表現で、社外メールだけでなく上司へのメールにも使いやすいでしょう。
♦︎入社・退職の挨拶
退職時の挨拶メールやスピーチのほか、新しく配属された部署での挨拶でも使えます。
前向きな印象や誠意を伝えやすい言葉です。
例文:
「これから業務改善に邁進してまいります」
「今後も自己研鑽に邁進してまいります」
丁寧な挨拶になると同時に、謙虚な印象を与えやすいでしょう。
♦︎スピーチ・公式の場での締め言葉
社内プレゼンや表彰式、セミナーなどのフォーマルな場での締め言葉としても適しています。
例文:「今後も皆さまと力を合わせ、業務に邁進してまいります」
言葉自体に前向きな意思を感じさせるため、信頼感を与えやすいフレーズでもあります。
「邁進してまいります」で赤っ恥? “あるある”NG

「邁進してまいります」は格を感じさせる言い回しですが、使う場面や相手によってはふさわしくない場合もあります。
アラサーが経験した失敗談をもとに、赤っ恥をかきやすい“あるある”をまとめました。
♦︎赤っ恥NG!:商談で連呼して違和感
商談の場で、相手に“やる気”を感じさせたいからと「邁進してまいります」を連呼するのはNG。
仮に連呼をすることでやる気が伝わったとしても、表現が硬すぎる印象を与えるだけでなく、意味を理解せずに定型文として使っているようにも聞こえがちです。
「全力で取り組みます」「誠実に努力いたします」など、場面に応じて別の言い換えができるとスマートでしょう。
♦︎赤っ恥NG!:前向きすぎて自己中な印象に
転職をする際の挨拶メールで、上司など会社に残る相手に対して「今後もさらに成長に邁進してまいります!」と記してしまうと、関係性によっては違和感を生じさせる場合も。
本人にはそのつもりがなくても「この会社を退職してから、成長に向けて突き進みます!」などと、嫌味や自分勝手な自己PRだとも受け取られかねません。
「今後も努力を重ねてまいります」や「引き続き成長を目指してまいります」など、柔らかい言い方を用いたほうが適切な場合も少なくありません。
「邁進してまいります」を使うときの注意点と言い換え方

「邁進してまいります」は、ビジネスシーンで日常的に見聞きする言葉ではありますが、使うにあたっては注意すべき点もあります。
アラサー向けに注意点をまとめました。
♦︎注意点1:「かしこまりすぎ」は避ける
「邁進してまいります」は非常に丁寧でフォーマルな表現なので、カジュアルな場面や社内チャットなどで使うと、堅苦しく感じられる面も。
たとえば、同僚へのメッセージに「今後も邁進してまいります!」と送れば「そんなに気合い入ってるの!?」とギョッとされると同時に、少し浮いてしまうことも。
日常のやりとりでは「引き続き頑張ります」や「精進します」に言い換えるのが自然でしょう。
♦︎注意点2:「方向性」を明確にする
「邁進」とは、“目的に向かって突き進む”という意味。
そのため何に対して邁進するのかが具体的な場面で用いるほうが、スマートです。
メールでも、ただ「今後も邁進してまいります」と書くより「チーム目標の達成に向けて邁進してまいります」などと、対象を明示したほうが誠実な印象に。
漠然と使ってしまうと、定型文として用いているだけで心がこもっていない印象を与えがちです。
♦︎注意点3:「自分だけの成果アピール」にしない
「邁進してまいります」は、努力や熱意をアピールできる言葉である一方で、一人で突っ走る印象を与える場合もしばしば起こります。
特にチームで仕事をしている場合には、要注意。
「邁進してまいります」だけだと、自分だけが頑張りますといった自己主張が強いニュアンスにも受け取られかねないので「皆さんと力を合わせて邁進してまいります」や「チーム一丸となって邁進してまいります」などと言い方を変えることで、協調性を感じさせる言葉になるでしょう。
「邁進してまいります」は言葉の温度感に注意を
「邁進」は“目的に向かって突き進む”という強い意志を表す言葉なので、言葉の温度感に注意を払って用いたいもの。フォーマルすぎたり自己主張が強く見えたりする場合もあるため、使う場面や相手を見極めて用いるのがベターです。
意味とニュアンスを正しく理解し、相手の心情にも寄り添いながら使うことができれば、自然で誠実な印象を与えやすいでしょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



