目次Contents
この記事のサマリー
・「鶴は千年、亀は万年」は、中国の古典に由来することわざで、長寿や縁起のよさを象徴する表現です。
・実際の寿命とは異なる比喩表現です。
・類語には、「御前百までわしゃ九十九まで」、「砂長じて巌となる」、「千秋万歳」などが挙げられます。
「鶴は千年、亀は万年」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。長寿やめでたさを象徴することわざとして、祝いの席やお正月などに使われてきた縁起のいい言葉です。
この記事では、「鶴は千年、亀は万年」の意味や使い方、類語や言い換え表現について丁寧に解説していきます。
「鶴は千年、亀は万年」とは?|意味と使い方を整理
まずは基本的な意味と使われる場面について整理しましょう。
意味と語源|なぜ鶴と亀が長寿の象徴に?
「鶴は千年、亀は万年」は、長寿でめでたいことを象徴することわざです。この言葉の起源は、中国の古典『淮南子(えなんじ)』説林訓に登場する「鶴の寿は千歳」といった記述にあります。ここでは、鶴や亀が非常に長生きする存在として描かれ、人間の理想とする長寿や不老不死の象徴として扱われてきました。
日本では室町時代の御伽草子『浦嶋太郎』などにも見られ、以後、多くの文学作品に登場しています。
辞書では次のように紹介されていますよ。
鶴(つる)は千年(せんねん)亀(かめ)は万年(まんねん)
《「淮南子(えなんじ)」説林訓の「鶴の寿は千歳」などから》長寿で、めでたいことのたとえ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
ことわざとしての位置づけと使い方
「鶴は千年、亀は万年」という表現は、長寿を象徴するだけでなく、縁起のいい言葉として、日本のさまざまな祝いの場で用いられてきました。例えば、お正月や還暦祝い、結婚式などでは、「鶴亀(つるかめ)」という言葉がセットで使われることも多く、長寿や繁栄を祈る気持ちが込められています。
江戸時代の浄瑠璃や狂歌にもたびたび登場し、厄払いの口上や年越しの挨拶にも使われてきました。現代でも祝いの場でのスピーチや、和風のデザインモチーフとして目にする機会があります。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
例文で理解|会話やSNSでの使い方
「鶴は千年、亀は万年」は古典的なことわざながら、現代の会話やSNSでも使われています。
例えば、長寿祝いのメッセージで「これからも『鶴は千年、亀は万年』のごとく元気でいてくださいね」と書くと、あたたかい気持ちを伝えられます。また、健康への意識が高まっている昨今、「早寝早起き、粗食、運動… 鶴は千年、亀は万年を目指す生活!」というように投稿に添えれば、少し知的でほほえましい印象になるでしょう。

類語・言い換え表現・英語表現|「鶴亀」表現をもっと使いこなす
「鶴は千年、亀は万年」は、日本語ならではの奥深い表現。ここでは、言い換え表現や英語での言い回し、似た意味を持つ言葉について紹介します。
似た意味を持つ言葉・表現|長寿を祝う日本語
「鶴は千年、亀は万年」と同じく、長寿やめでたさを表す日本語表現はいくつかあります。例えば、「御前百までわしゃ九十九まで」は夫婦で仲よく長生きをしようという言葉です。
「砂長じて巌となる(いさごちょうじていわおとなる)」は、末長く栄えることや、長生きすることを祝っていう言葉。「千秋万歳(せんしゅうばんざい)」も千年万年を表し、長寿を祝う言葉です。
こうした語彙を知っておくと、祝いや挨拶に品のある表現を添えることができます。

英語でどう言う?|長寿・縁起を伝える表現
「鶴は千年、亀は万年」ということわざに、ぴったり一致する英語表現は存在しませんが、長寿や繁栄を願う気持ちを表す英語はいくつかあります。例えば、“Here’s to a long life!”という表現は、「長寿を祝して乾杯」という意味です。
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
「鶴は千年、亀は万年」に関するFAQ
ここでは、「鶴は千年、亀は万年」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「鶴は千年、亀は万年」は生物の寿命のことですか?
A. 実際の寿命を表すわけではありません。
中国の古典『淮南子(えなんじ)』に記された伝説がもとになっており、長寿を象徴する比喩表現です。

Q2. お祝いの席で使っても大丈夫?
A.とても縁起のいい表現なので、結婚式や還暦祝いなどで使われることが多いです。
スピーチやメッセージに添えると華やかさが増します。
Q3. SNSやカジュアルな場面でも使えますか?
A. ユーモアを交えて使う分にはOKです。
例えば「健康第一、目指せ鶴は千年、亀は万年!」のような軽い表現なら、親しみやすさが出ます。
最後に
「鶴は千年、亀は万年」は、長寿や繁栄を願う気持ちが込められた美しい表現です。その背景を知ることで、言葉に一層の深みが加わります。祝いの場や何気ない会話にそっと添えるだけで、品のある印象に。場面に応じて、知的に使いこなしてみてくださいね。
TOP画像/(c)Adobe Stock



