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2024.02.10

「河童の川流れ」とはどんな意味? ことわざの使い方や類語を解説

「河童の川流れ」とは、「その道の名人でも。時には失敗することがあるというたとえ」です。泳ぎの上手い河童でも川に流されることがあることから作られました。本記事では、ことわざの意味や使い方、類語などを解説します。

「河童の川流れ」ということわざを聞いたことはありますか? 国語の教科書で読んだことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。水辺に住んでいるイメージのある河童ですが、川に流されていることは何を意味しているのでしょうか。そこで本記事では、「河童の川流れ」の意味や使い方、類語となることわざを解説します。

「河童の川流れ」とは?

「河童の川流れ」は、「かっぱのかわながれ」と読みます。意味は辞書にこのように記載されています。

泳ぎのうまい河童でも、水に押し流されることがある。その道の名人でも、時には失敗することがあることのたとえ。弘法にも筆の誤り。猿も木から落ちる。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「河童の川流れ」は、どんなに泳ぎが得意な河童でも、川に流されることもある、ということから、「どんな名人でも、時には失敗する」というたとえとして用いられます。会話の中では、「誰でも失敗をするものだから、落ち込んでも仕方ないよ」と励ます時などに使われるようです。

(c) Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「河童の川流れ」は、どのようなシチュエーションで使うのでしょうか? 例文を交えて紹介します。

1:いつも成績優秀な田中くんが、赤点を取るなんて信じられない。河童の川流れとはこのことだね。

成績優秀で非の打ちどころもないような人が、失敗したのを見た時に、「河童の川流れとはこのことだ」と表現します。普段完璧に見える人でもミスをするんだと、驚きながら言うことが多いでしょう。「河童の川流れ」は、その道のプロが失敗することを指すので、元から得意でない人が失敗した時には使うことはできません。

2:河童の川流れということわざもあるし、失敗するのは当たり前だよ。

自分が得意なことを失敗した時ほど、「どうして大事な場面でミスをしたんだろう」と落ち込んでしまうかもしれません。しかし、どんなにプロフェッショナルでも人は人。「人間である以上、失敗することは仕方ないよ」と励ますこともあるでしょう。

3:空手の師匠が、型を間違ってしまうなんて思ってもみなかった。これが河童の川流れというやつか。

「河童の川流れ」はその道のプロでも失敗するという意味から、上司や師匠などに対して使われることもあります。相手によっては「ミスを指摘された」「馬鹿にしているのでは」と気を悪くする可能性も…。特に目上の人に直接伝えるのは、控えた方が無難と言えるかもしれません。

(c) Adobe Stock

そもそも河童とはどんな生き物?

「河童」とは、日本でよく知られる妖怪であり、空想上の生き物とされています。見た目の特徴といえば、頭には皿が乗っていて、口先が尖り、背中には甲羅があること。水辺を好み、川や池などに住んでいると言われています。指の間には水かきが付いていて、泳ぎがとても得意だとか。

川に来た子供や動物を引きずりこむなどの悪さをする反面、助けてもらったお礼に薬の作り方を教えるなど、どこか憎めないいたずら者でもあるようです。

河童はとりわけきゅうりが大好物で、お寿司でも親しまれているきゅうりを巻いた「かっぱ巻き」は、河童の好物であることから名付けられたとか。河童は、地域によって「エンコウ」「スイジン」など呼ばれ方や見た目の特徴などが異なります。昔話や漫画、アニメーションなどの物語に、数多く登場していることからも、日本で昔から親しまれてきた存在だったのですね。

「河童の川流れ」と似た意味を持つことわざ

「河童の川流れ」のように、その道の名人でもたまに失敗することがあるという意味を表すことわざはいくつかあります。ここでは、「猿も木から落ちる」「弘法にも筆の誤り」を紹介します。

1:猿も木から落ちる

「猿も木から落ちる」の意味は、以下の通りです。

木登りがじょうずな猿でも時には誤って落ちる。その道にすぐれた者でも、時には失敗することがあるということのたとえ。弘法にも筆の誤り。上手(じょうず)の手から水が漏れる。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

木の実を取って食べる習性がある猿は、当然木登りが得意。そんな猿でもたまには木から落ちることもあります。そんな姿から、その道を極めた人でも時には失敗することのたとえとして使われますね。「河童」が「猿」に置き換えられたことわざで、意味はほぼ同じと考えていいでしょう。

(例文)
・猿も木から落ちるというが、まさか棟梁が釘打ちを失敗するとは思わなかったね。
・どんなに慣れた作業でも、猿も木から落ちるということわざの通りにならないように、気を引き締めた。

(c) Adobe Stock

2:弘法にも筆の誤り

「弘法にも筆の誤り」は、「こうぼうにもふでのあやまり」と読みます。

弘法大師のような書の名人でも、書き損じることがある。その道に長じた人でも時には失敗をすることがあるというたとえ。猿も木から落ちる。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「弘法」とは、「弘法大師」の略で、真言宗の開祖・空海のこと。空海は、仏道だけでなく、書の才能もあり、三筆(日本の書道史上、能書で優れた3人を表す言葉)にも数えられています。そんな歴史に名を残すほどの天才でも、時には失敗することがあるという意味で使われますね。

(例文)
・弘法にも筆の誤りという言葉もあることだし、時には失敗しても仕方ない。
・あの師匠でも間違うことがあるんだね。弘法にも筆の誤りとはこのことだ。

3:上手の手から水が漏れる

「上手(じょうず)の手から水が漏れる」とは、どんな意味でしょうか。

どんなに上手な人でも、ときには失敗することがあるというたとえ。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

名人と呼ばれる人でも、稀にしくじることがあることを「上手(じょうず)の手から水が漏れる」と言います。得意であるはずの人が、たまたま失敗した時に「上手の手から水が漏れることもあるものだ」というように使いますね。

(例文)
・まさか、上手の手から水が漏れることがあるなんて思いもしなかったよ。
・上手の手から水が漏れるというように、先生は実験に失敗した。

最後に

「河童の川流れ」は、空想上の生き物である河童の習性から生まれました。どんなに泳ぎの得意な河童でも、時には失敗して川に流されることもあるということから、どんなに熟練した人でもおのれを過信せず、油断しないことが大切だということを教えてくれますね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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