「千変万化」という言葉、使ったことはありますか? なんとなく見たことがある言葉のようで、使ったことはないという方が多いかもしれませんね。よく似た言葉に、「千差万別」「変幻自在」などがありますが、どんな違いがあるのでしょうか? そこで本記事では、「千変万化」の意味や使い方、類語、英語表現を解説します。
「千変万化」とは?
「千変万化」は、「せんぺんばんか」と読みます。意味を辞書で確認していきましょう。
[名](スル)さまざまに変化すること。「世情が―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「千変万化」とは、「さまざまに変化すること」。場面や事態、状況などが次々と変化していくことを表します。「千変万化」は、「千変」と「万化」という言葉から構成されており、どちらも「いろいろに変わる」という意味があります。同じ意味の言葉を組み合わせることによって、「変化する」という意味を強調しているのです。
使い方を例文でチェック!
「千変万化」は、「千変万化する」「千変万化する〇〇」という形で使います。物理的に見える景色以外にも、情報や心理など目に見えないものにも使うことができますよ。さっそく例文でチェックしていきましょう。
1:千変万化する時代の流れについていけない。
「千変万化」は主に、目まぐるしく変わる時代の流れや世論などに対して使います。世の中の流行や価値観は常に変化し、止まることがありません。変化のスピードが早く、先の予測がつかない現代は、まさに「千変万化」な社会といえますね。
2:常に形を変える雲を見ていると、千変万化は自然の摂理だと思えてくる。
空を見上げると、風によって雲は流れ、晴れ間が見えるなど常に変化しています。時には、雨が降ったり、雪が降ることもあり、全く同じ空であることは一度もありません。刻々と変わりゆく空を見ていると、千変万化することは自然の法則なのだということに気づくでしょう。
3:祖母は列車から見える、千変万化の景色を楽しんだ。
目の前の景色が、さまざまに変化することにも、「千変万化」は使えます。列車の車窓から見える、木々の色合いや川の流れは、先へ進むたびに刻々と変化します。春には桜、初夏は新緑、秋は紅葉など、季節によっても見える景色は変わりますね。常に変化する自然の光景は、私たちの目を楽しませてくれます。
類語や言い換え表現は?
「千変万化」とよく似た言葉に、「千差万別」「変幻自在」「千変百様」があります。意味を混同しがちですが、よく見ていくと細かなニュアンスや意味合いは異なりますので、詳しく見ていきましょう。
1:千差万別
「千差万別(せんさばんべつ)」の意味を見ていきましょう。
[名・形動]種々さまざまの違いがあること。また、そのさま。千種万様。せんさまんべつ。「―な(の)意見」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
多くのものに、さまざまな違いがあることを「千差万別」と言います。例えば、同じ人であっても性格も違えば、外見も異なるように、さまざまな個性や違いがあることを指します。例えば、「千差万別な意見」「性格は千差万別だ」というように。「千変万化」のように、目まぐるしく変わる時代や、自然の摂理には使えないため注意しましょう。
(例文)
・人の考えは千差万別、いろんな意見があったっていいじゃないか。
・人の好みは千差万別だから、きっといいパートナーが見つかるよ。
2:変幻自在
「変幻自在(へんげんじざい)」の意味は、以下の通りです。
[名・形動]思うままに姿を変えて、現れ消えること。また、そのさま。「―な怪盗」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「自在」には、「意のままになる」という意味があることから、自分の好きなように姿を変えるというニュアンスがあります。「千変万化」が、時代などの自力ではどうにもならない世界の流れを指すのに対して、「変幻自在」は変化を自ら操ることができる点が違いと言えるでしょう。
(例文)
・マジシャンは変幻自在にトランプを消したり、表したりした。
・その泥棒はいろんな人に変装できる。まさに変幻自在だ。
3:千変百様
「千変百様」は「せんぺんひゃくよう」もしくは「せんぺんはくよう」と読み、「さまざまな様子や状態」のことを表します。「百様」とは、「さまざまな様子や姿」のことなので、めくるめくように目の前の状態が変化する場面で使われますね。
(例文)
・サーカス団のメンバーは千変百様であった。
・千変百様というように、街の光景は変化している。
対義語は?
「千変万化」の対義語としては、「不変」「千古不易」などが当てはまります。意味をチェックしていきましょう。
1:不変
「不変(ふへん)」とは、「変わらないことや、そのさま」。「不変の真理」というように、決して変わることのない考えや物事を表します。
(例文)
・2人の絆は不変であることを誓った。
・この世に不変のものなんてあるだろうか。
2:千古不易
「千古不易」は、「せんこふえき」と読みます。意味は以下の通りです。
[名・形動]永遠に変わらないこと。また、そのさま。万代不易。千古不変。「―の理想」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
長年にわたって変わらないことを「千古不易」と言います。永遠に様子や状況が変わらないことなので、常に目まぐるしく変化する「千変万化」とは正反対であると言えるでしょう。
(例文)
・起業家は、千古不易の理想を語った。
・できることならば、国家の安寧が千古不易であることを祈りたい。
最後に
「千変万化」は字面から想像できる通り、「さまざまに変化すること」。情報や流行などの目に見えないものから、自然の景色や人の表情など目に見えるものが変化する時に使います。世の中は常に変化するものだと理解して、急な変化が来た時でも、落ち着いて対応できるようにしておきたいですね。「千差万別」「変幻自在」なども、この機会に併せて覚えてみてはいかがでしょうか。
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