「目の上の瘤」の意味と読み方
「目の上の瘤」は「どうしても邪魔に感じる存在」という意味の言葉。瘤は「こぶ」と読みます。
目のすぐ上に瘤があると嫌でも目に入りますし、視界が妨げられるためとてもうっとうしいですよね。
皆さんの身の回りにも、「あの人にはどうしても気を遣っちゃうな」、「あの人がいなければ物事がスムーズに進むんだけどな」と思う人はいませんか?「目の上の瘤」とはまさにそういう人を例える言葉。集団やプロジェクトで妨げになる存在を言い表す慣用句です。
「目の上の瘤」はどういうときに使う?由来は?
「目の上の瘤」は身近にいる邪魔な人や、仕事や計画の妨げになるような存在に対して使われます。どちらかといえば目上の人(年齢的・立場的)に対して用いられることが多く、ほとんどはネガティブな意味を持つ言葉です。具体的には、「あの人がいなければ~がうまく進むのに……」という文脈で使われます。
また、「目の上の瘤」は人以外にもあてはまります。たとえば、日程面や予算上の問題など、計画成功の妨げになるハードル・障害を「目の上の瘤」と表す場合も。
「目の上の瘤」とよく似た言葉に「目の上のたん瘤」があります。どちらも「身近にいる邪魔な存在」という意味は同じですが、ニュアンスや使い方は若干異なります。「目の上のたん瘤」はより直接的な表現で、目障りな存在に対して「邪魔者」というニュアンスがより強く表れています。その点、「目の上の瘤」はやや柔らかい表現として用いられます。
細かい使い分けを知っておくことで語彙力が広がるでしょう。
正しい使い方
(1)課長は何かにつけて横槍を入れてくる。立場が上というだけで、本当に目の上の瘤だ。
(2)若い世代をサポートする際、目の上の瘤にはならないように気をつけないといけない。
(3)若いうちは目の上の瘤だと思っていても、あとから振り返ってみればためになる教えも多いものだ。
「目の上の瘤」の由来
「目の上の瘤」という言葉の由来は中国にあります。
中国の「韻府群玉(いんふぐんぎょく)」という書物に「目の上の瘤」と思われる記述があり、さらにそれが室町時代の書物「玉塵抄(ぎょくじんしょう)」の中で日本語に訳されています。
その一文とは、「目の上の瘤をとってのけたと云たようなことぞ」というもので、意味も現代と同じであると考えられています。
「目の上の瘤」の類義語はある?
「目の上の瘤」の類義語としては「邪魔者」、「お荷物」、「鼻の上のいぼいぼ」、「老害」が挙げられます。それぞれの意味と使い方をご紹介します。
類義語1:邪魔者
「目の上の瘤」よりも直接的なニュアンスの言葉です。ただ、ストレートに邪魔者と言うとほとんどの場合ケンカになるため、オブラートに包むのが得策です。
類義語2:お荷物
「邪魔者」よりもやや間接的で、皮肉を込めた表現です。ただ、こちらも「邪魔者」と同様、本人には直接伝えず、気の合う仲間内だけで言い合うほうが無難でしょう。
類義語3:鼻の上のいぼいぼ
「目の上の瘤」と同じ意味の慣用句で、「鼻の上のいぼ」とも使われます。鼻の上にいぼができるとそれが小さいものでも目障りなことから、「どうしても邪魔に感じる存在」を表す言葉として使われます。
「目の上の瘤」は英語で表現できる?できない?
最近では本格的な日本語を学ぶ外国人も増えてきました。外国人とのコミュニケーションで緊張しないためにも、「目の上の瘤」の英語表現を見ておきましょう。
「目の上の瘤」の英語表現
「目の上の瘤」の直接的な英語表現としては、「a bone in (my)throat」があります。throatは喉のことで、直訳すると「喉に刺さった小骨」になります。これに派生して、「pain in the neck(首の痛み)」という表現も英語圏では使われます。また、neckを体の他の部位に置き換えた表現も慣用句として定着しています。
まとめ
「目の上の瘤」は邪魔者やお荷物などの言葉に置き換えられるネガティブな慣用句です。比較的狭いコミュニティでは特に「目の上の瘤」と言いたくなるような人が出てくるかもしれません。
ただ、その気持ちをストレートに伝えてしまうと全体の雰囲気が悪くなりますし、問題解消にはつながりません。「目の上の瘤」的な存在の人を上手にあしらう方法を身につけておきたいですね。
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コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。