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この記事のサマリー
・「平身低頭」はひたすら謝ることを意味。
・「平身低頭」は軽い謝罪に使うには不自然です。
・類語には「ひれ伏す」「土下座」「三拝九拝」があります。
「平身低頭」という言葉を耳にすると、多くの人は「深く謝っている様子」を思い浮かべるでしょう。しかし、辞書の定義に目を向けると、単なる謝罪にとどまらず、体全体で恐縮の姿勢を示す、非常に強いへりくだりの表現であることがわかります。
本記事では、辞書に基づいた定義とともに、適切な使い方を整理しながら、場面に応じた言い換え表現や注意点も紹介します。
「平身低頭」とは?|意味・成り立ちを整理
まずは、「平身低頭」の意味と言葉の成り立ちから確認し、理解を深めましょう。
「平身低頭」の読み方と辞書の定義
「平身低頭」は、「へいしんていとう」と読みます。意味は、ひたすら謝ること。恐縮したり、懇願する場面で使われます。多くはペコペコと頭を下げる様子を指しますよ。
辞書では次のように定義されています。
へいしん‐ていとう【平身低頭】
[名](スル)ひれ伏して頭を下げ、恐れ入ること。また、ひたすらわびること。「―して謝る」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「平身低頭」の成り立ち
「平身低頭」は「平身」と「低頭」の2語から成り立っています。それぞれの持つ意味は以下のとおりです。
・「平身」
身をかがめること。平伏すること。
・「低頭」
頭を低く下げて礼をすること。
この2語を重ねた「平身低頭」は、軽い謝罪やあいさつの域を超え、全身で恐縮したり、謝罪をする重みのある言葉です。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』、『使い方の分かる 類語例解辞典』(すべて小学館)

「平身低頭」の使い方を例文でチェック
「平身低頭」は軽い謝罪には不向きなため、使いどころを誤ると大げさに響くこともあります。ここでは、自然な使い方を具体例を交えて解説します。
「納期を守れず取引先に損害を出した担当者は、取引先に平身低頭して謝罪した」
重大なミスをしたとき、相手に対して深く謝罪する状況を表す用法。「ひたすらわびる」という辞書の定義に最も忠実な使い方です。
「頭を地面にこすりつけながら、平身低頭してお願いをした」
恐縮しながら依頼をすることを表しています。謝罪だけでなく、深い恐縮にも用いられますよ。
「普段は強気な彼も、上司の前では平身低頭で下手に出ている」
普段は強気で堂々としている人物が、上司の前では態度を大きく変え、恐縮してへりくだる様子が対比的に描いています。

「平身低頭」の言い換え表現と対義語
ここでは、類語と反対の意味を持つ対義語を紹介します。
類語:「ひれ伏す」
「ひれ伏す」は、「顔が地面に付きそうになるほど身を低くして頭を下げること」と定義されており、平伏の動作を強調する語です。神仏や権威ある相手に対する礼として使われたり、疲労や悲しみから身をうつぶせにするときにも使われます。
例文:「彼に別れを告げられ、ひれ伏して泣いた」
類語:「土下座」
謝罪の意を表すために、地面や床にひざまずいて謝ることを意味します。
例文:「土下座してお詫びをした」
類語:「三拝九拝(さんぱいきゅうはい)」
「三拝九拝」は、何度も頭を下げることを意味します。依頼ごとがあるときに頭をペコペコと下げる際に使われますよ。
例文:「三拝九拝してご協力をお願いした」
対義語:「威張る(いばる)」
「威張る」は、「威勢を張って偉そうにすること」と定義されており、他者より優位に立とうとする態度を表します。相手に対して頭を下げる「平身低頭」とは対極にある姿勢といえるでしょう。
例文:「新任の課長は部下に対して常に威張っている」
対義語:「傲岸不遜(ごうがんふそん)」
「傲岸不遜」は、「威張り返って人を見下すこと」を意味します。ふんぞり返ったような姿は、「平身低頭」とは反対の姿だといえますね。
例文:「彼女の傲岸不遜な態度は、多くの人から反感を買っている」
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』、『使い方の分かる類語例解辞典』(すべて小学館)
「平身低頭」の英語表現
「平身低頭」を表す英語表現には、“bow to the ground”が挙げられます。深く頭を下げて謝罪したり、へりくだる態度を示したりするニュアンスに近いフレーズです。
例文:He bowed to the ground and apologized for the trouble he had caused.
(彼は平身低頭して、迷惑をかけたことを謝罪した。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「平身低頭」に関するFAQ
ここでは、「平身低頭」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「平身低頭」は謝罪以外の場面でも使えますか?
A. 懇願する場面などでも使えます。
Q2. ビジネスメールで「平身低頭」を使っても問題ありませんか?
A. 問題ありません。
重大なミスを犯した場合は、「平身低頭してお詫び申し上げます」などというように使うといいでしょう。
Q3. 「平身低頭」の使い方で注意すべきことはありますか?
A. 言葉の持つ重みを理解し、謝罪の深さにふさわしい場面で使用することが大切です。
軽い謝罪の場面で使うと、相手は違和感を覚えるでしょう。
最後に
「平身低頭」とは、「ひれ伏して頭を下げ、恐れ入ること」。深く謝罪する場面で覚えておきたい四字熟語です。
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