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「雨後の筍」の意味と由来
「雨後の筍」(うごのたけのこ)の意味を辞書で調べてみると、
雨が降ったあとには、筍が続々と生えるというところから、「物事が次々に現われたり起こったりすることのたとえ(出典:精選版 日本国語大辞典精選版)とありました。
たけのこは成長が早く、雨上がりに特にたくさん生えるといった性質から、こうした言葉が生まれたようですね。
「雨後の筍」の正しい使い方と例文・会話例
あまり日常生活では使うことのない言葉ですが、言葉の意味から、ビジネスシーンで使われたりすることもあるので、知っていて損はありません。例文を二つご紹介します。
「雨後の筍」の正しい例文1
「スマートホンは新機種が次々と発売されて、まるで雨後の筍のようだ」
新機種が続々と発売される様を表す例えに「雨後の筍」を使った例文です。
「雨後の筍」の正しい例文2
「この辺りは近年開発が進み、雨後の筍の如く高層マンションが増えた」
こちらも、ただ高層マンションが増えただけでなく、開発が急速に進み人口が飛躍的に増えたことを表すために「雨後の筍」という言葉を効果的に使っています。
「雨後の筍」の間違った使い方と例文
「雨後の筍」は間違った使い方をされている場合もあります。ニュアンスが似ていることから誤解されやすい言葉もあるので、違いを理解しておきましょう。
「雨後の筍」の間違った例文
「子供の成長は、雨後の筍の如く早い」
竹や筍は成長が早いというところから間違って使われやすいのですが、「雨後の筍」はあくまでも次から次へと物事が現れてくる例えなので、この使い方は間違いです。
「雨後の筍」の類義語と言い換え表現
「雨後の筍」に似た意味を持つ言葉を5つご紹介しましょう。似た意味の言葉を知っておくと、「雨後の筍」本来の言葉がより使いやすくなります。
矢継ぎ早に
「雨後の筍」の類義語を調べてみると、「矢継ぎ早」が近い言葉として該当するようです。短期間に次々と物事が起きる様を表す言葉ですが、「雨後の筍」に比べてよりスピード感があるのが「矢継ぎ早」、次から次へと物事が起きることをより強調しているのが「雨後の筍」のようですね。
次々に
あまり間隔をおかず物事が起きることを表す「次々に」、または「次から次へと」という言葉は、情景をイメージしやすい「雨後の筍」よりも若干散文的にも感じますね。
ひっきりなしに
こちらも、感覚をおかずに物事が起きる様を表す言葉です。絶え間なく物事が起こること、続け様に物事が起きることを指すという意味では、スピード感が感じられますね。
相次いで
「相次いで」は、先にあるものに続いて次々と物事が起きる様子を表しています。自発的に新しいことがたくさん起きるよりも、前のものに続いて起きているという意味が強そうな印象を受けます。
続出
「相次いで」と似て、同じようなことがつぎつぎと出たり、起こったりすることを指す言葉です。「相次いで」と比べると、より量の多さを表している印象のある言葉です。
「雨」や「筍」を使ったことわざ・故事・慣用句
「雨後の筍」のように、「雨」や「筍」を使った言葉をご紹介します。こちらも知識の一つとして覚えておくといいかも!
「雨」を使ったことわざ・故事・慣用句
・朝雨に傘いらず
朝の雨はすぐに晴れるものだから、傘はいらないという意(出典:精選版 日本国語大辞典精選版)。
雲が西から東に動くことから、天気は変わるので朝の雨雲はそのうちどこかに行ってしまう、次の雨雲が来るまで雨は降らないという由来があるそうです。
・雨垂れ石を穿つ
小さな努力でも根気よく続けてやれば、最後には成功する。点滴石を穿つ(出典:精選版 日本国語大辞典精選版)
こちらは故事成語で、「穿つ」は「うがつ」と読みます。こつこつ努力してきた結果がようやく実ったことを表す言葉のようですね。
・雨垂れは三途の川
家から一歩出れば、どんな災難や危険が待ちかまえているかわからないということ。
軒下から落ちる雨だれを、あの世とこの世の堺である三途の川に見立てて、家から一歩出たら十分に注意せよとの戒めのことば(出典:ことわざ辞典オンライン)
家から出るところから注意すべきだという、危機感のあることわざですね。
・雨晴れて傘を忘れる
困難が去ると、その時に受けた恩をすぐに忘れてしまうことのたとえ。暑さ忘れて蔭忘る(出典:精選版 日本国語大辞典精選版)
日常生活で気を引き締めないといけないなと思わされる、戒めのような言葉ですね。
「筍」を使ったことわざ・故事・慣用句
・筍の親勝り
《たけのこは生長が早く、たちまち親竹より高くなるところから》子が親よりすぐれていることのたとえ(出典:精選版 日本国語大辞典精選版)
「雨後の筍」のように、筍の育つ様になぞらえた言葉です。
・筍医者
(筍は藪(やぶ)に至らないところから) へたな医者を称する「藪医者」にも至らない、技術がへたで未熟な若い医者をいう(出典:精選版 日本国語大辞典精選版)
藪医者ならぬ、「筍医者」という言葉もあります。藪医者以前の技術的に未熟な医者を指す言葉で、日本語の幅広さが知れる言葉ですね。
まとめ
「雨後の筍」には、近しい意味の言葉がたくさんありました。少しずつニュアンスが違うのも、日本語の面白いところ。言葉の意味としてはよく使われるものなので、使う機会があればぜひチャレンジしてみてくださいね。
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