「蛙の子は蛙」の意味とは?
「蛙の子は蛙」は誰もが耳にしたことのある言葉ではないでしょうか? 意味は理解しているという方も多いと思いますが、ここでは改めて正しい意味を確認していきましょう。
「蛙の子は蛙」には、主に2つの意味が込められています。1つめは、子は親に似るということ。幼い頃は全く似ていなくとも、成長するにつれて親と同じ道を歩んだり、性格や考え方が似てくることを言います。
蛙と、その子であるオタマジャクシは全く姿が異なりますよね。しかし、成長すれば結局はオタマジャクシも蛙になります。それと同じように我々も、結局は親がやっている仕事に興味を抱いたり、親と同じ能力を持ったりするということです。
また、もう一つの意味として「平凡な親から生まれた子供は、平凡にしかなれない」というネガティブさも込められています。元々「蛙の子は蛙」は、親の平凡さや取るに足らない能力が子に似るというネガティブな意味で、自分や身内に限定して使われていました。最近になって、ネガティブな意味でなくとも「単に子が親に似る」ことに対して使うようになりましたが、少なくとも褒め言葉として使うことはありません。
このように「蛙の子は蛙」にはネガティブなニュアンスが含まれるので、使う相手を間違えてしまうと失礼にあたります。なるべく身内以外の他人に使うことは避けた方が良いでしょう。
「蛙の子は蛙」の正しい使い方をチェック!
「蛙の子は蛙」は、時に悪口だと捉えられてしまうことがあります。間違えた使い方をしないように、正しい使い方を例文で確認していきましょう。
1:「スポーツが苦手な子供を見ていると、やはり蛙の子は蛙なのだなと思う」
親の能力が子供に似るということもよくあるでしょう。例えば、絵を描くことが上手な人の子供は美術のセンスがあったり、楽器をやっている人の子供が音楽に興味を持ったり…。しかし、このような場合に「蛙の子は蛙」を使うのは間違いです。「蛙の子は蛙」は、親が苦手なことを子供も苦手としているなどという、ネガティブなニュアンスで使います。
幼い頃はスポーツが得意かのように見えたが、成長するにつれて親と同じ運動音痴だったことが分かった、などという時に使うのが正しいでしょう。
2:「色々やってみたが、やっぱり蛙の子は蛙というように親と同じ営業の道が自分には合っている」
元々は親と違う世界に興味を持ったり、そこで働いていたりしても、結局は親と同じ業界で働くようになる。このようなケースも「蛙の子は蛙」で表現することができます。親の仕事姿を見ていたからこそ、自然と知識がついたりするのかもしれませんね。
3:「幼い頃、すぐにいらだつ父を見て嫌な思いをしていたが、最近自分も短気な性格になってしまった気がする。所詮蛙の子は蛙である」
才能や仕事以外に、性格が似るという意味で使うこともあります。ただこれも「さすが蛙の子は蛙。何事にも恐れないチャレンジ精神が、親御さんに似てますね」というような褒め言葉として使うのは間違い。かえって失礼にあたります。あくまでも、ネガティブな意味合いで使うことだと注意しておきましょう。
似ていることわざには何がある?
ここからは「蛙の子は蛙」の類似表現について見ていきましょう。「蛙の子は蛙」と似ていることわざは意外とたくさんあります。ぜひ、こちらも合わせて覚えていきましょう。
1:瓜の蔓に茄子はならぬ(うりのつるになすびはならぬ)
瓜の蔓に茄子は実りませんよね。このことから、ある原因からはそれ相応の結果しか生まれないという意味を表す言葉です。転じて「平凡な親からは平凡な子供しか生まれない、子は親に似るものだ」という意味で使うことができるでしょう。
2:親が親なら子も子
言葉の通り親と子が似ることを意味しますが、これは親子を非難する時に使います。親が悪事を働いていれば、子も同じように悪いことをするということ。「蛙の子は蛙」よりも、さらに批判的な言葉だと言えるでしょう。
3:血は争えない
血とは、血統や血筋のこと。つまり、親や先祖の持つ性質がそのまま子供に受け継がれ、よく似ているという意味です。「争えない」というのは、「抵抗できない」ということを表しており、血筋によって特質が似てしまうことは否定できないことを示しているのですね。兄妹やいとこ、親戚に対して使うことはできません。
「蛙の子は蛙」の対義語は?
次は「蛙の子は蛙」とは反対の意味を持つ言葉について解説していきます。対義語には「鳶が鷹を生む(とんびがたかをうむ)」「烏の白糞(からすのしろくそ)」「親は親、子は子(おやはおや、こはこ)」などが挙げられるでしょう。
1:鳶が鷹を生む(とんびがたかをうむ)
「蛙の子は蛙」の対義語として、よく知られるこの言葉。鳶(とんび)と鷹(たか)は同じタカ目タカ科の動物ですが、鷹(タカ)の方が高い狩猟能力を持っていることから、このような言葉が生まれたようです。平凡な親から優れた子供が生まれることを意味するでしょう。
2:烏の白糞(からすのしろくそ)
こちらも「鳶が鷹を生む」と同じ意味です。烏は真っ黒な見た目をしているのにもかかわらず、白い糞を出すのだとか。このことから、元が似ていないものが生まれる、つまり「親に似ず、優秀な子供が生まれる」という意味で使います。
3:親は親、子は子(おやはおや、こはこ)
血は繋がっているといえども、親と子供が全く似るとはかぎらない。親と子供でも、性質や才能は異なることを意味します。同じ血筋を持ち、同じ環境で育ったとはいえ、経験や人付き合いなどは人それぞれですよね。その間に培ったものが異なるため、考え方や性格が変わってくるのは自然なことでしょう。
最後に
「蛙の子は蛙」はネガティブなニュアンスを含む言葉であるため、使う相手や場面に注意する必要があります。よく使うことわざでも、実は正しい意味を理解していないまま使っていることがあるかもしれません。不安な場合は、一度意味を調べてから使うのが良いでしょう。
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