「梯子を外される」の正しい意味と読み方・由来は?
「信頼していた仲間に、梯子を外された」とか「あの辛い時期に、梯子を外されたことは今でも忘れていない」などというように、ネガティブな意味で使われる「梯子を外される」という言葉。
日常での会話やビジネスシーンで使われるる言葉ですが、言葉の正確な意味を聞かれたら、すぐに解説することはできますか? 本記事では「梯子を外される」の正しい意味や由来などを確認していきます。さらりと使える言葉にしていきましょう。
「梯子を外される」の意味と読み方は?
「梯子を外される」は「はしごをはずされる」と読みます。意味は、「ともに事に当たっていた仲間が手を引くなどして、孤立する」こと。
例えば、チームでプロジェクトを進めていたが、意見が対立したことで仲間が手を引き、自分が孤立してしまうというのは、梯子を外された状態です。
「梯子を外される」の由来とは?
「梯子」は屋根の上など高いところに登るときに使われる道具です。しかし、その梯子が無ければ下に降りられなくなりますよね。このことからもわかるように、「高いところに登ったものの、誰かに梯子を外されてしまい置き去りにされてしまう」ということが由来となっています。なお、「梯子が外される」と表現しても、同じ意味になります。
「梯子を外される」の使い方
「梯子を外される」は日常会話でも普通に使われます。ただし、使われる場面はあまり良い状況とは言えません。どの様な使い方がされるのか、具体的な例文とともに見ていきましょう。
1:「みんなで悪いことをしてしまったので謝りに行ったところ、代表して謝罪をした私だけのせいにされて梯子を外されてしまった…」
日常シーンで使われる例文です。複数人で迷惑をかけてしまった時。その行為について後から反省をし、皆で謝りに行くケースもあるでしょう。にも関わらず、謝罪をした一人のせいにされてしまった場合の例文になります。
2:「上司に承認を得た会議の資料だったのに、不備を指摘された途端、梯子を外された」
ビジネスシーンでの例文です。大切な会議の資料は、上司の確認を得ながら作り上げるもの。そうしたプロセスを経て承認を得た会議資料なのに、不備を問いただされた途端、「私は関係ありません」と知らん顔をする上司ってあなたの周りにもいませんか? この例文では、そうした上司によってフォローすらされずに孤立した状態を表しています。
3:「親友から梯子を外された経験のある彼は、人を簡単には信用しない」
梯子を外される経験は、辛いものです。そうした苦い経験を経た人は、なかなか周囲を信用しにくくなります。そのことを表す例文です。
4:「決して梯子を外すようなことはしませんから、ご安心ください」
物事を進めていく時、問題が生じることはよくあります。問題が発生した途端、離れていく人もいるものです。反対に、この発言をする人は逆境でも支えてくれる人だと言えるでしょう。
「梯子を外される」の言い換え表現は?
「梯子を外される」の意味や使い方を確認すると、日常でも使える言葉であることが理解できます。そうした言葉であるならば、「梯子を外される」の言い換え表現もチェックし、使えるようにしておきたいですね。続いては、類語を紹介します。
1:「煮湯を飲まされる」
「煮湯(にえゆ)を飲まされる」とは、信用していたのに裏切られて、ひどい目に遭うということ。「梯子を外される」の場合は「手を引く」ことで孤立させますが、それよりも強い裏切りのニュアンスが込められています。
例文:幼なじみに恋人を奪われて、煮湯を飲まされた。
2:「飼い犬に手を噛まれる」
日ごろから世話をやき、目をかけていた人に裏切られ、ひどい仕打ちを受けることを指します。日常生活でもビジネスシーンでも、使われることの多い表現ですね。
例文:新入社員の頃から目をかけていた部下に、裏切られた。飼い犬に手を噛まれるとは、このことだ。
「梯子を外される」の英語表現とは?
「梯子を外される」は日本の慣用句ですが、英語ではどのように表現したらいいのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
1:be left high and dry
直訳すると「高く持ち上げられて、干される」という面白い表現ですが、「梯子を外される」と同様に「置き去りにされる・見捨てられる」という意味になります。「They left him high and dry when he failed in business.」(彼が事業で失敗した時、皆、彼を見捨てた)というように使いますよ。
2:wash one’s hands of
直訳すると「手を洗う」ですが、意味は、「〜から手を引く」となります。「She washed her hands of the group.」(彼女はそのグループから一切手を引いた)というように使いますよ。
最後に
「梯子を外される」という表現は、日常生活でもよく使われる表現だということがわかりました。梯子を外されるのも嫌なものですが、梯子を外す人間にもなりたくないもの。
この言葉を使うときは、「梯子を外すようなことは決してしませんので、一緒に頑張りましょう!」と前向きな形で使いたいですね。
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