人生の岐路の意味は?
「人生の岐路」とは、将来の方向性を決めるために選択を迫られる状況を指します。今までのことを思い返してみると、「あれが人生の岐路だった! 」と思えることはいくつも浮かんできませんか?
「良い選択ができた!」と思えることもあれば、「他の道もあったのでは…?」と後悔の気持ちが残ることも 。これからもやってくる「人生の岐路」を、上手く乗り越えてチャンスに変えるポイントを、5万人以上のキャリアをサポートしてきた、キャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんにお話を伺いました。
「人生の岐路の意味を、『ライフイベント』『トランジション』という言葉で説明することがあります。これは、キャリアデザインのキーワードです。
ライフイベントとは、人生の節目になる大きな出来事です。入学・卒業・転居・就職・昇進・転職・退職・結婚・離婚・出産・親しい人との別れなど。喜ばしいこともネガティブに思えてしまうことも合わせて、環境や役割が大きく変わるようなタイミングです。
そしてトランジションは、ライフイベントに伴って起こる、変化やその過程です。例えば、進学や就職、結婚をした時に、新しい環境に馴染むまでに様々な経験をし、これまでとは違う価値観を獲得したり、今までとは優先順位が変わったりすることがあります。
人生の岐路では、ライフイベントがキッカケとなり、トランジションが始まります。
これは、自分の人生をより豊かにするためのチャンスです。 新しいことに挑戦したり、試練だと感じることを乗り越えることで、自分自身を成長させ、新たな可能性を見つけることができます」(キャリアコーチ・菊池さん)
人生の岐路に立つ時の心構えは?
人生の岐路は、自分の選択で積極的につくりだすこともあれば、自分では意図しない形で起こることも。
自分のキャリアを見据えて大学院に進学し、転職を果たすという人がいます。パートナーの転勤が急に決まり、自分のキャリアを中断する決意をする人も。特に女性は、出産・育児に関係するライフイベントで、様々な決断を迫られるケースが多くあります。
人生の岐路を選ぶ時に大切なのは、「自分自身がどのような変化を求めているか」「自分が何を心地よいと思うのか」を明確にすること。それが、自分にとって最適な決断をすることにつながります。
実は、人生の岐路で何を選んでも良いのです。失敗だと感じてしまう大きな原因は、「自分で決断をしたという実感を持てない」から。
そこで、人生の岐路に立った時のために、「失敗した」と思わなくて済む、3つの心構えを準備しておきましょう。
1:感情に振り回されない
人生の岐路は、思わぬ変化をともなうことが多いので、大きく感情を揺さぶられます。ここで気をつけなければならないのは、感情に振り回されないように、自分を律すること。直観は大事ですが、感情的な判断をしないように。
特に、「怖い! 」「嫌だ! 」「無理! 」といったネガティブな感情から「早く解放されたい! 」という判断は要注意。客観的に自分自身を見つめることを心掛けましょう。
2:周りの意見に流されない
大きな決断をしなければいけない時は、周囲の人からのアドバイスがほしくなるものです。ただ、それはあくまでも「参考意見」。どんなに近しく信頼がおける人の言葉だったとしても、それは他人の意見です。何かあったとしても、その人が責任をとってくれるわけではありません。「自分自身が決めた」という覚悟を持った選択を貫くことが重要です。
3:失敗を恐れない
人生の岐路で突き付けられる選択は、未知のことなので失敗を恐れる気持ちが出てくるのは仕方のないことです。
でも、ちょっと考えてみてください。失敗とは、具体的にどんな状態になることでしょうか? その状態になった時、具体的にどんなことが起こりそうでしょうか? そして、それは本当に起こるのでしょうか?
実は、不安や恐れは、ぼんやりとした「思い込み」であることがほとんどです。具体化してみると、それほど大したことではないものなのです。また、何が起こりそうなのかが具体的にわかっていれば、そのための準備をしてうまく乗り越えることができます。
人生の岐路を上手に使うための3つのポイントは?
人生の岐路は、チャンスです。
だから、望む状態を設定して、計画的に岐路を設定することが大切。でも実は、思いがけず巻き込まれてしまったことの方が、大きな飛躍につながることがあります。それは、「自分の想定を超える」ことだから。想定外の大きなチャンスは、思いもよらない成長や新しい世界へのきっかけになります。
そのためにも普段から、自分や周囲に興味を持ち、好奇心をもって過ごせると、たくさんの情報や刺激にふれ、自分のことがクリアになってきます。人生の岐路を飛躍のチャンスにするために、日常で心がける3つのポイントを知っておきましょう。
1:自分自身と向き合う
普段から、自分自身の価値観や優先順位を明確にしておきましょう。人生の岐路では、この価値観や優先順位を見直すことになります。そのままを貫くのか、新しく出てきたものを選ぶのか。じっくりと自分自身と向き合い、腑に落ちる選択をしましょう。
2:選択肢を探す
実は選択肢や可能性は、思いのほかたくさんあるものです。普段から、自分の視野や可能性を広げておくために、多くの人の話を聞いたり、さまざまな情報に触れるように心掛けましょう。その時にはピンとこないものでも、人生の岐路に立った時に、「あの時のあれが! 」と意外な突破口に結びつくことがあります。
3:チャレンジする
新しいことにチャレンジすることは、いつでもどんなことでも成長に結びつきます。そして、人生の岐路に立った時に、チャレンジを選ぶことでその後の満足度が高まる傾向があります。
そこで、普段から、ちょっとした「チャレンジ癖」を自分につけておきましょう。「ランチの時に、行ったことのない店を選ぶ」「いつもなら買わない色の服を買ってみる」「初対面の人に自分から声をかけてみる」など。
そんな小さなチャレンジを積み重ねていくことで、ここぞ! の時に臆することなく、チャレンジを選べる自分を作っていくことができます。
おわりに
「人生の岐路」とは、将来に対する方向性を決めるために、選択を迫られている状況。「良い選択ができた! 」と自分で納得ができるように、好奇心をもって日々を過ごしていきたいですね。
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キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン