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「ブレイクスルー」って?
「ブレイクスルー」という言葉を聞いて、「どういう意味があるの?」と思った人もいるでしょう。
ビジネスシーンでもよく用いられる「ブレイクスルー」は、困難を突破することを表す言葉。困難が生じた際に役立つ「ブレイクスルー」について見ていきましょう。
意味
「ブレイクスルー」を辞書で調べたところ、「ブレークスルー」と同義であることがわかりました。「ブレークスルー」は、次のような意味を持ちます。
ブレークスルー【breakthrough】
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
困難や障害を突破すること。また、その突破口。
ビジネスシーンで「ブレイクスルー」を使う場合は、行き詰まっている状況を打開することや、社員が成長すること、組織や人間関係の改善という意味で用いることが多いでしょう。
また、技術や科学の分野では、技術などが飛躍的に進歩することや、革新的な発見といった意味で使うこともあります。
ブレイクスルーの使い方
ブレイクスルーの言葉の使い方を見ていきましょう。ビジネス用語として使う場合に絞り、例文とあわせて紹介します。
《例1》販路拡大に行き詰まっていたが、若手社員が出したアイデアによってブレイクスルーが起こり、より多くの顧客にアプローチできるようになった
販売経路の拡大は、どの企業にとっても大きな課題です。例文は、若手社員の活躍により、販路拡大の課題が解決したことを表します。
《例2》当時の状況を打破すべく、ビジネスプロセスを改変したことが、ブレイクスルーにつながった
売上が伸びないなどの困難を打破するには、何かしらを変えなければならないことが多いですよね。例文は、工程や作業、業務などのビジネスプロセスを改変したことが、状況の突破口になったことを表しています。
《例3》伸び悩む中堅社員のブレイクスルーには、これまでとは異なるアプローチ策が有効かもしれない
人材育成施策も、企業にとっては大きな課題の一つです。特に、中堅社員やリーダークラスの育成や教育は、難しいことが多いもの。この層の成長に、企業の未来が左右されるといってもいいでしょう。例文が示すのはまさしくそのことです。
「ブレイクスルー」と似たイメージの言葉
「ブレイクスルー」と似た言葉に「イノベーション」があります。この2つの言葉の違いを探ってみましょう。
「イノベーション」
「革新」「刷新」を意味する英語の「innovation」が由来のカタカナ語として、ビジネスシーンに根付いている「イノベーション」。辞書で意味を確認しましょう。
1 新機軸。革新。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
2 新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念。シュンペーターの用語。また、狭義には技術革新の意に用いる。
商品やサービス、ビジネスモデルなどに、従来とは違った仕組みや技術を組み合わせることで、今までにない革新的な価値を生み出し、社会に大きなインパクトをもたらすことを意味する言葉だとわかりました。
技術革新や新機軸、新しい切り口といった意味で使われることが多く、幅広い領域で用いられています。
二つの言葉の違いは
ブレイクスルーとイノベーションは似ていますが、根本的な意味合いは異なります。イノベーションには、「困難や障壁を突破する」という意味が必ず含まれるわけではありません。
困難や障壁を突破し、変化や進展をすることを表す際はブレイクスルー、新しい技術やアイデアにより、革新を起こして社会にインパクトをもたらすことを表現する場合はイノベーションを用いるのが適しているといえるでしょう。
ブレイクスルーを起こすには? ブレイクスルー思考について
仕事などで行き詰まった時、ブレイクスルーを起こせたらいいのに、と思うことは多いはず。ここからは、誰もが持てる「ブレイクスルー思考」について紹介します。
「ブレイクスルー思考」とは
「ブレイクスルー思考」は、ジェラルド・ナドラー氏(南カリフォルニア大学名誉教授)や日比野省三氏(中京大学名誉教授)が提唱した、新しい思考方法です。
単に現状を改善し、問題解決をするのではなく、目指したいゴールを具体的に設定し、逆算して思考するというアプローチをとるので、突破口が見つかりやすいとされています。
知っておきたい基礎原理3つ
ブレイクスルー思考には、実践するために必要とされている基礎原理があります。次のことをヒントに、思考するといいでしょう。
《目的情報の原則》目的達成のために必要な情報のこと
多くの情報を集める必要はなく、解決に必要と考えられるものだけを収集します。最小限の範囲でOK。
《ユニークさの原則》すべての物事には、ユニークな差があると考えること
「人や文化、出来事などにはユニークな差がある」と考え、その違いを認識することが大切です。また、過去の事例から問題解決法を探り当てるのには限界があると認識することも、重要であると説いています。
《システムの原則》万物はシステムであると考えること
それぞれの出来事は独立して存在しているように見えるが、そうではなく、それぞれの出来事はお互いに影響し合い、つながりがあると考えます。
知っておきたい4つのフェーズ
次に、ブレイクスルー思考にある4つのフェーズを見ていきましょう。
《人間フェーズ》
人との関わり方を考える段階。解決を実現するには、さまざまな関係者を巻き込み、協働しながら進むことが大切です。自分ひとりでできることは少ないからこそ、みんなで取り組むことがブレイクスルーへの近道となるのです。
《目的フェーズ》
目的の本質を捉え、解決策を考える段階。本来の目的は何か、取り組むことにはどのような意味があるのかを考えることが大切です。手段が目的化しないようにしながら、解決策を考えます。
《未来解フェーズ》
目的を踏まえた上で、本来あるべき姿をデザインする段階。「どうあるべきか」と逆算的に思考しながら、現状を変えていきます。
《生解フェーズ》
解決策は、状況や環境により変化するものと考え、常時、改善・改革していく段階。社会情勢や人の動き、市場などの変化に対応しながら、解決策を考え改善します。
ブレイクスルー思考のメリット
ブレイクスルー思考をマスターすると、次のようなメリットがあると考えられます。
・実現したい未来から逆算し、物事に取り組めるので視野が広くなる
・多角的な視点から、改善策やアイデアを生み出す習慣が得られる
・何か問題が起こったとしても、前向きに捉えることができる
・時代変化に合わせ、柔軟な対応ができる
ブレイクスルー思考は、個人の成長を促すだけでなく、企業や組織の発展も促してくれるでしょう。
最後に
「ブレイクスルー」について紹介しました。「ブレイクスルー」は、個人や企業が成長し、発展するには欠かせないことだといえるでしょう。スピーディーに変化する時代において、既存の手法や慣例にとらわれることなく、困難や障壁を乗り越えていくことはとても重要です。ブレイクスルー思考は、困難打開の有効な武器の一つになるかもしれません。
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