「玉石混交」という四字熟語、聞いたことはありませんか? 日常生活でたまに聞く表現ではありますが、間違って「玉石混合」と覚えていないでしょうか。正しくは、「玉石混交」と覚えてみてください。本記事では、「玉石混交」の意味や使い方、注意点、類語などを解説します。
「玉石混交」とは?
「玉石混交」の正しい読み方は、「ぎょくせきこんこう」。「ぎょくせきこんごう」ではありませんので、注意してください。意味を辞書で確認してみましょう。
[名](スル)《「抱朴子」外篇・尚博から》価値のあるものとないものとが、入りまじっていること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
[補説]「玉石混合」とするのは誤り。
「玉石混交」とは、「価値のあるものと価値のないもの」「優れているものと劣っているもの」が入り混じっている状態を指す言葉です。「玉」は、「宝石」。「石」は、「とるにたりないもの、石ころ」を表します。宝石と石ころが混ざり合っていることから、優れているものとそうでないものが、ごちゃごちゃに入り混じっていることを意味する言葉になりました。
「玉石混淆」が正しい表記
実は「玉石混交」の正しい表記は、「玉石混淆」です。「淆」という文字が、常用外漢字に当たるため、よりシンプルな「交」が代わりに使われる機会が増えました。「淆」には、「みだす、入り混じる」という意味があります。
ちなみに、「玉石混交」にありがちなのが、誤って「玉石混合」と覚えてしまうこと。響きは似ていますが、正しくは「玉石混交」なので気をつけてくださいね。
使い方を例文でチェック!
「玉石混交」は、同じ場所や空間にいろんなものが集まっているような状況で、使われることが特徴です。例文を見ていきましょう。
1:そのリサイクルショップには、玉石混交さまざまなものが売られている。
お店に、高価なものとそうでないものが、一緒くたになって売られているということですね。ブランドものでお店に出した途端すぐに売れてしまう、高級な腕時計もあれば、B品のおもちゃやぬいぐるみなど、いろんなものが売られているお店であることが想像できます。
2:ネット上の情報は玉石混交だから、何でもかんでも鵜呑みにしてはいけない。
ネット上には、さまざまな情報が溢れています。中には、信憑性に乏しいものやデマなども含まれているため、自分の目で正しい情報を取捨選択する必要がありますね。
「玉石混交」の注意点
「玉石混交」は、良いものと悪いものが入り混じっていることを指します。そのため人に対して使う場合、注意が必要です。例えば、「今年の広報部は玉石混交、いろんな人がいる」と表現する場合、優秀な人もいればそうではない人もいるというようなニュアンスになります。
聞いた人からすれば、「自分はどちらなのだろう?」と不信感を抱く可能性も。使い方によっては失礼に当たることもあるため、気をつけたいですね。
類語や言い換え表現は?
「玉石混交」の類語には、「玉石同架」「玉石同匱」などがあります。意味を1つずつ確認していきましょう。
1:玉石同架
「玉石同架」は、「ぎょくせきどうか」と読み、意味はほぼ「玉石混交」と同じです。価値あるものとそうでないものが入り混じっていることを表したい時に、使ってみましょう。
(例文)
・父のフィギュアのコレクションは玉石同架なので、整理するのに苦労した。
2:玉石同匱
「玉石同匱」は、「ぎょくせきどうき」と読みます。意味は以下の通りです。
玉も石も同じ匱(ひつ)にあること。善悪、賢愚が一所に入りまじっていることのたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「匱(ひつ)」とは、「箱や容器」のこと。同じ容器に、いいものと悪いものが混じって入っていることを意味する言葉です。ほぼ、「玉石混交」と同じ意味と考えて良いでしょう。
(例文)
・彼の家には玉石同匱、いろいろなものが置かれている。
3:魚目燕石
「魚目燕石」は「ぎょもくえんせき」と読みます。「魚の目と燕石(えんざん)で採れた石」のことで、どちらも見た目が宝石に似ていることから、「本物にそっくりな偽物」という意味になりました。
良いものと悪いものが入り混じっている「玉石混交」に対して、「魚目燕石」は、見た目はいいけれど中身は全て価値のないもの。若干意味合いが異なる点を理解しておきたいですね。
(例文)
・祖父が外国の市場で買った宝石は、魚目燕石。つまり全て偽物だった。
英語表現は?
「玉石混交」と同じようなニュアンスを持つ表現として「good and bad」があります。「good and bad」は、「良し悪し、善悪」という意味。良いものも悪いものもあるというようなニュアンスで用いられます。「玉石混交」も、優れたものと劣ったもの両方があるという意味なので、文脈によっては同じような意味合いで使うことができるでしょう。
(例文)
・Some books are good and some bad.(中には、良い本も悪い本もある)
・The good and bad are indiscriminately intermixed.(良いものと悪いものとが入り混じっている)
・It’s hard to distinguish the good and bad.(良いものと悪いものを区別することは難しい)
・My father’s antique shop is a mix of the good and bad.(父の営む骨董屋は、良いものと悪いものが入り混じっている)
最後に
「玉石混交」とは、「価値のあるものとないものとが、入りまじっていること」。たまに聞く言葉ではありますが、間違えて「玉石混合」と覚えていたり、意味を勘違いしやすい四字熟語でもあります。人に対して使うことも誤りではありませんが、悪いものも含まれることから嫌味に聞こえてしまう恐れも…。特にビジネスシーンでは、使うのを控えた方が賢明と言えるでしょう。
TOP画像/(c) Adobe Stock