この記事のサマリー
・「常套手段」は、同じような場面でいつも決まって使われる、ありふれた方法を表す言葉です。
・読み方は「じょうとうしゅだん」です。
・言葉自体に善悪の意味はありませんが、文脈によっては「いつもの手口」という批判的な響きになります。
「常套手段」という言葉に、どこかずるさや古めかしさを感じる人もいるかもしれません。けれど、会話やビジネスの場で目にしたとき、その意味を正しくつかめているでしょうか?
身近な例から、意外に奥深い「常套手段」の使われ方をひもといていきましょう。
常套手段とは?
まずは「常套手段」の意味から確認します。
読み方と意味
「常套手段」は、「じょうとうしゅだん」と読みます。「決まりきったやり方」「ありふれたやり方」という意味を持つ言葉です。
辞書では次のように説明されていますよ。
じょうとう‐しゅだん〔ジヤウタウ‐〕【常×套手段】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
同じような場合にいつもきまって使う手段。常用手段。
なお、「上等手段」や「常手段」と書くのは誤りなので注意しましょう。
「常套手段」は本当に悪い意味?
「常套手段」とは、同じような場合にいつも決まって使われる手段や、ありふれたやり方のことです。簡単にいえば、「その人や組織が、同じような場面で繰り返し使う、いつもの方法」を表します。
言葉そのものに、いい・悪いという評価が含まれているわけではありません。ただし、「詐欺の常套手段」「責任逃れの常套手段」のように、好ましくない行為とともに使われることが多いため、「いつもの手口」という否定的な印象を伴う場合があります。
反対に、「交渉を円滑に進めるための常套手段」のように、一般的な方法や定番の手法という中立的な意味でも使えます。

使い方を例文でチェック!
「常套手段」は、一般的な方法を表す中立的な文脈でも、「いつもの手口」を表す批判的な文脈でも使われます。ここでは、それぞれの使い方を例文で確認しましょう。
「今回は新しい方法を試すより、従来の常套手段を選ぶほうがよさそうだ」
この例文は、「新しい方法を試すよりも、これまで繰り返し用いられてきた方法を選ぶほうが適切な場合もある」という意味です。
ただし、「常套手段」は「最善の手段」を意味する言葉ではありません。いつも使われている方法が、その場面でもっとも適している場合はありますが、慣習や惰性によって続けられている場合もあるでしょう。
「ビジネスがうまくいく常套手段などありません」
顧客、商品、市場環境などが異なれば、求められる対応も変わります。この例文は、「どのようなビジネスにも必ず通用する、決まりきった成功法則はない」という意味です。
ここでの「常套手段」は、いい方法や悪い方法を指すのではなく、繰り返し使われる定番の方法という中立的な意味で用いられています。
「リードしているときの時間稼ぎは常套手段だ」
サッカーなどでは、リードしているチームがボールを保持し、相手に攻撃の機会を与えないように試合を進めることがあります。このような定番の戦術を「常套手段」と表現できます。

「わざと冷たくするのは彼の常套手段だから」
この例文は、相手の関心を引くために、あえて距離を置いた態度を見せることが、彼のいつものやり方だと話している場面です。
「自分の手を汚さないのは、あの人の常套手段だ」
この例文では、問題のある行為を他人に実行させ、自分は関与していないように装うことが、その人のいつものやり方になっていると批判しています。
類語や言い換え表現は?
常套手段をわかりやすく言い換えるとすれば、「いつものやり方」「いつもの手口」「いつもの手段」などがありますね。ここでは「常用手段」、「通例」、「ワンパターン」、「お約束」を紹介します。
常用手段(じょうようしゅだん)
「常用手段」は、「常套手段」と同じ意味を持つ言葉です。「同じような場合に、いつも決まって用いる手段」を表します。
ただし、一般的には「常套手段」のほうが広く使われているでしょう。
(例文)
「問い合わせを受けたら、まず利用状況を確認するのが担当者の常用手段になっている」
通例(つうれい)
「通例」は、その社会や集団における一般的な習わし、通常のやり方を表します。
「常套手段」は個人だけでなく、企業や組織にも使える言葉です。「通例」との違いは、使われる対象ではなく、表している内容にあります。
「常套手段」は、ある場面や目的において繰り返し使われる具体的な方法を指します。一方、「通例」は、社会や集団で一般的とされる習慣や扱いを表しますよ。
(例文)
「そのような場合はこちらから出向くのが通例です」

ワンパターン
「ワンパターン」は、同じことの繰り返しで代わり映えがしないこと、またはそのような様子を表します。
「常套手段」とは、同じやり方が繰り返されるという点で意味が重なります。ただし、「ワンパターン」には、「新鮮味がない」「工夫がない」という否定的な評価が含まれやすい点が特徴です。
(例文)
「デートの場所がワンパターンで、少し飽きてしまった」
お約束
「お約束」は、約束の尊敬語・謙譲語ですが、「定番の状況設定や典型的な物語の展開」という意味もあります。簡単に予想がつく、というイメージです。
(例文)
「ここで拍手をするのがお約束です」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「常套手段」の対義語は?
「常套手段」の明確な対義語はありません。しかし、文脈によっては次のような言葉が反対の意味を持つ表現になります。
・「奇策」:普通では思いつかないような作戦を表します。
・「新手」:これまでにない新しい方法や手段を表します。
・「型破りな方法」:一般的な形式や慣習にとらわれない方法を表します。
・「臨機応変な対応」:決まった方法を繰り返すのではなく、その場の状況に応じて対応を変えることを表します。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
英語表現
「常套手段」は、 “one’s usual practice”や“one’s usual device”が使えます。
一方、「いつもの手口」「毎回使う策略」という批判的な意味では、“an old trick”や“a favorite ploy”などが適しているでしょう。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「常套手段」に関するFAQ
ここでは、「常套手段」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「常套手段」とは簡単にいうと、どのような意味ですか?
A.同じような場面で、いつも決まって使われる手段や、ありふれたやり方を意味します。個人だけでなく、企業や組織が繰り返し用いる方法についても使える言葉です。
Q2.「常套手段」の正しい読み方は何ですか?
A.「じょうとうしゅだん」と読みます。
Q3.「常套手段」は悪い意味で使う言葉ですか?
A.言葉自体に、いい・悪いという評価は含まれていません。ただし、「詐欺の常套手段」「責任逃れの常套手段」のように使うと、「いつもの手口」という批判的な意味合いになります。
最後に
「常套手段」は、同じような場面で繰り返し使われる、いつもの方法を表す言葉です。中立的にも批判的にも使えるため、前後の文脈によって印象が変わります。
意味を知っておくと、「いつものやり方」「定番の手法」「昔からの手口」など、場面に合った言葉へと言い換えられますね。
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