やりたくないこととの向き合い方に、悩んだことはありませんか? 「やりたくないことはやらない」と言いたいところですが、仕事では難しいこともあるでしょう。とはいえ、がまんしながらの仕事は辛いものですよね。
そこで、この記事では、やりたくないこととの向き合い方や、仕事でやりたくないことがあるときに気をつけたいポイント、やりたくないことリストのメリットなどを解説します。日々楽しく仕事をするためにも、ぜひチェックしてみてくださいね。
やりたくないことをやる方法は?
「やりたくない」と言っても、仕事では、やらざるを得ないこともありますよね。この時、「やりたくないな」と思いながら嫌々やると、仕事の楽しさが半減してしまうもの。せっかくなら、少しでも楽しく仕事をしたいという方も、多いのではないでしょうか? そんな時に意識すると良いことを見ていきましょう。
1:慣れるまでやってみる
まだ経験が浅い仕事では、慣れてくると、案外楽しさを感じられるようになってくるということもあり得ますよ。実際に、ある金融機関で、「私は接客が苦手なので、窓口の業務から外してほしい」と言っていた若手社員が、経験を重ねるうちに、「意外と好きな仕事かも」と気持ちが変わったというケースも。
このように、まだ慣れていない仕事を「やりたくない」と思うときは、「まずは慣れるまで、チャレンジしてみよう」と考えると良いかもしれませんね。
2:やりたいことに将来活かせると考える
やりたくないことが、「やりたいことに将来つながる」と考えるのも、おすすめです。意味づけを変えることによって、同じ業務内容でも違って見えてくることもありますよ。実際に、あるアパレル会社であった事例を見ていきましょう。新卒で入社したAさんは、店舗での販売員の仕事を希望していました。
しかし、Aさんがはじめに配属されたのは、通販サイトの運営の部署。「なんで私がこの部署なの? 希望と違うし、やりたくない…」と悩みながらも、「将来、店舗での接客に活かせることも多いはず」と考え直したと言います。その後、Aさんはサイト内で、いろいろな体形のモデルが、実際に着て動いている動画を公開するなど、新しい提案を積極的にしていきました。
さらに、「スカートの揺れ具合は、こんな感じですよ」や、「このトップスと合わせるとこんな感じ」など、店舗で実際に着ている感覚を味わってもらえるようなサイト作りを意識したそうです。すると、それが大好評。Aさんは数年後、チャレンジ精神と実績を認められ、希望していた店舗の責任者に抜擢されました。
このように、考え方を切り替えることで、「やりたくないこと」が将来の「やりたいこと」に活かせると考えると、見え方が変わってくるのではないでしょうか?
がまんしすぎは要注意
やりたくないことを前向きにとらえることにメリットがある一方、がまんし過ぎるのも要注意。というのも、ストレスを抱え込み過ぎて、精神的な不調や、病気につながってしまうこともあるからです。
性格上、「これはやりたくない」とは言い出せない人もいらっしゃることでしょう。「やりたくないと言うのは、わがままだ」という声も聞こえてきそうです。ですが、「がまんすればいい」という思いは、時に悪循環になってしまいかねません。
何か特定の仕事や場面などが特に苦手で、努力しても上手くできるようにならないようなときは、専門家へ相談することも考えてみると良いでしょう。がまんがベストな選択ではないことがあるというのも、おさえておきたいポイントです。
やりたくないことはやらないという選択肢も
やりたくないことの代わりに、自分の得意な分野で、他の人の役に立てることもありますよね。会社で働いている人は、業務分担について、上司などに相談してみるのも一つの手です。この時、「この仕事、やりたくないです」と言うと、単なる職務放棄に見えてしまいかねませんので、言い方には気をつけたいところ。
まずは「実は、この仕事が苦手で困っています」や、「〇〇の仕事は得意なのですが、業務分担を相談させていただけますか?」などと、自分の状況を詳しく説明しつつ、相談するのがおすすめです。
とはいえ、仕事ですので、どうしてもやらざるを得ないこともあるでしょう。職種によって、避けて通れない仕事もありますよね。労働契約を結んでいると、会社にも様々な義務があるように、働く側も誠実に義務を果たす必要があるということも、おさえておきたい点です。
やりたくないことリストのメリット
やりたくないことを「やりたくない」と言うことに、罪悪感があるという声もよく耳にします。真面目な人ほど、「そんなこと言うべきではない」と自分に厳しくなってしまうかもしれません。ですが、がまんし過ぎは、ストレスをため込んでしまい、心と体の健康にも影響が出てしまいかねませんよね。
そんなときにおすすめなのは、こっそりと「やりたくないことリスト」を作ってみることです。これは、人に見せる必要はありませんので、一度自分の心の声に、耳を傾けてみるのはどうでしょうか? やりたくないことリストの書き方に決まりはありませんが、次の手順を参考にしてみてください。
まず、今の仕事の中で、「本音を言うと、やりたくない」ということがないかを考えてみましょう。次に、「なんでこの仕事をやりたくないの?」という理由も、できる限り書いていきます。
そうすると、「この仕事自体が嫌というより、人と長時間作業するのが苦手」や、「締め切りがタイト過ぎて焦ってしまう」など、やりたくない原因が細かく分析しやすくなりますよ。書き出しているうちに、「私、こういうことが苦手なんだ」や、「本当はこうしたい」という気付きが生まれてくることも。
自分の本心を認めることは、怖いと感じる方もいらっしゃるでしょう。ですが、「やりたくない」ということを認めて、向き合うことで、自分の本当にしたいことや、強みが見えやすくなるというメリットもあります。まずは、もう一人の自分にこっそり打ち明ける感覚で、リストアップしてみてくださいね。
最後に
この記事では、やりたくないこととの向き合い方や、やりたくないことリストのメリット、仕事でやりたくないことがあるときに気をつけたいポイントなどを解説しました。日々の仕事に役立つことがあるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサルの傍ら、ポジティブ心理学をベースとした研修講師としても活動中。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン