赤の他人の意味は?
赤の他人は、「あかのたにん」と読みます。縁もゆかりもなく、完全に無関係な人のことです。赤の他人の「赤」は色を表しているのではなく、「明らかな」「まったくの」という意味があります。単なる他人ではなく、「赤の」という言葉を加えることで、無関係な人であることをより強調しているのです。
ここでは、赤の他人の「赤」の意味や使い方、例文を紹介します。
なぜ「赤」なのか
赤の他人は、「赤の」をつけることで他人であることを強調した言葉です。赤には「明らかな」という意味があり、古くは「明い(あかい)」という表記をしていたものに「赤」という漢字があてられ、「赤の他人」という言葉になったという説があります。
強調する役割の「赤」には、赤の他人のほかに「真っ赤な嘘」や「赤裸々(せきらら)」などがあり、どれも言葉の意味をより強めています。
赤の他人の使い方と例文
赤の他人は、単なる「他人」という言葉よりも強調して関係のない人であることを伝えたいときに使われることがほとんど。相手を突き放したり、無関係であることを主張したりする際にも使われます。
例文をいくつかみてみましょう。
・彼とは確かに親しい間柄だったが、今では赤の他人で連絡を取ることもない。
・赤の他人であるあなたには何の関係もないことで、これ以上口を挟まないでほしい。
・赤の他人のために、そこまで犠牲になることはない。
・彼女は幼い頃から知っているので、赤の他人とは思えない。
赤の他人の類義語
赤の他人の類義語・言い換え表現には、次のような言葉が挙げられます。
・部外者(ぶがいしゃ)
・縁(えん)もゆかりもない
・見ず知らずの人(みずしらずのひと)
・よそ者(よそもの)
どの言葉も、単なる「他人」よりも無関係であることを強めるニュアンスがあるという点で、赤の他人と共通しています。
このうち、特に赤の他人によく似たふたつの言葉についてみていきましょう。
部外者
部外者とは、組織・集団と関係のない外部の人という意味です。「事柄に関係のない人」という意味でも使われます。特定の場所や物事と関わりもない人を排除するニュアンスになることもあり、使い方には注意が必要です。
(例文)
・そのビルは「部外者立ち入り禁止」という看板が掲げられている。
・この問題は組織内部の複雑な事情が絡んでいるため、部外者は口を挟まないほうがいい。
・自分はこの件に関しては部外者なので、あまり関わり合いたくない。
縁もゆかりもない
縁(えん)もゆかりもないとは、何の関わりもないという意味です。
「縁」には、血縁関係や間柄という意味があります。ゆかりは漢字で「縁」や「所縁」と書き、縁(えん)とほぼ同じ意味です。類似した意味の言葉を重ねることで、関係がないということを強調しています。
(例文)
・彼は縁もゆかりもない土地に移住して事業を始め、今日の成功を築いた。
・彼女は誰に対しても親切で、縁もゆかりもない人でも丁寧に接している。
・彼とは縁もゆかりもなく、なぜ噂になっているのかわからない。
赤の他人と同じく色に関わる言葉
赤の他人と同じく、色を使った言葉は少なくありません。たとえば次の言葉が挙げられます。
・赤い糸(あかいいと)
・紅一点(こういってん)
・白黒をつける(しろくろをつける)
ほかにも「黄色い声」や「黒幕」「青二才」「黄金期」など、色を使った言葉はたくさんあります。色のイメージで使われている言葉もあれば、色それ自体とは違う意味で使われている言葉もあります。それぞれの意味や使い方をみていきましょう。
赤い糸
赤い糸は「運命の赤い糸」ともいわれ、古くからある言い伝えです。いつか結ばれる人は、生まれたときからお互いの小指と小指が目に見えない赤い糸で結ばれているという伝説です。運命を感じさせることを「赤い糸で結ばれている」などと表現します。
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紅一点
紅一点とは、多数の男性の中にいるただひとりの女性という意味。古代中国の「万緑叢中紅一点」という言葉が由来とされています。言葉を訳すと「緑の草むらにひとつだけ赤い花が咲いている」という内容になり、多数のものの中でただひとつ異彩を放つものという意味があります。
もともとは女性に限らず、集団の中で特に目立つ存在という意味で主に使われていましたが、今では男性の中にいる唯一の女性という意味で使われるようになりました。
白黒をつける
白黒をつけるとは、物事の是非や善悪、真偽を決めるという意味です。妥協や和解ではなく、明確に決着をつけることを指します。黒を先にする「黒白(こくびゃく)をつける」というのが本来の使い方ですが、現在では「白黒をつける」が一般的です。
言葉の由来は、囲碁の勝負にあるという説が有力です。
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赤の他人の意味を正しく理解しよう
赤の他人とは、まったく関係のない人という意味です。赤には色のほかに「明らかな」という意味もあり、「赤の」をつけることで関係のないことを強調しています。「部外者」や「縁もゆかりもない」など似た意味を持つ言葉も多く、一緒に覚えておくと語彙が増え、言葉の理解も深まるでしょう。
赤の他人のほかにも、色を使った言葉は数多くあります。この機会に、ぜひチェックしてみてください。
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