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2023.08.22

破天荒の本当の意味って知ってた?言葉の由来や正しい使い方、類義語を解説

破天荒の意味は「豪快で大胆」だと思っている人は少なくありません。調査では、7割近い人がそのように回答しています。しかし、本来は「誰も成し得なかったことをすること」という意味が正解です。本記事では破天荒の意味や言葉の由来、類義語・対義語を解説します。

破天荒の意味は?

破天荒は、「はてんこう」と読みます。これまで誰も成し遂げなかったことをするという意味です。

破天荒の意味はもともと「かつて誰もしなかったことを初めて行う」という意味がありますが、近年は多くの人が「大胆で型破りなことをする」という意味で使っています。

ここでは、破天荒の正しい意味や言葉の由来について解説します。

どちらが正しい?

かつて文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、破天荒の意味について、「豪快で大胆な様子」と答えた人が64%という数字になりました。

しかし、破天荒はもともと「誰も成し得なかったことを初めて行うこと」を意味する言葉です。正しい意味を知っている人は約16%ほどにとどまり、すべての年代を通して本来の意味ではない「豪快で大胆な様子」という認識を持っているということが明らかになりました。

言葉の由来

破天荒は、古代中国の説話集「北夢瑣言(ほくむさげん)」に由来する言葉です。書物によると、その時代、科挙(かきょ・難関とされる高等官吏資格試験)に合格する者が100年以上も現れないために「天荒(未開の地のこと)」と呼ばれていた地域がありました。

しかし、ある年に「劉蛻(りゅうぜい)」という人物が初めて科挙に通ったことから、「天荒を破った」と賞賛されたということです。これが破天荒の由来となりました。

この由来から、破天荒は「誰も成し得なかったことを初めて行うこと」というのが正しい意味となります。

正しい意味ではなく「豪快・型破り」という認識が増えた理由は、「破天荒」という漢字に「荒々しさ」や「型破り」といったニュアンスがあるためとされています。

破天荒の例文

登頂した男性
(c)Adobe Stock

破天荒の本来の意味に基づき、例文をみていきましょう。

・20代の社長が経営するそのベンチャー企業は、事業計画がこれまでにない破天荒な内容だと注目を集めている

・その競技で2大会連続して金メダルをとるのは、まだ誰も成し遂げていない破天荒な記録である

・これまで誰も成功していなかった実験に成功し、彼は破天荒な研究者として一躍有名になった

破天荒の類義語

多くの人が賞賛する様子
(c)Adobe Stock

破天荒には、似た言葉があります。破天荒が「誰も成し得なかったことを初めて行う」という本来の意味ではなく、異なる意味で認識されていることを考えると、類義語で表現した方が誤解がないかもしれません。

破天荒の類義語には、「前代未聞」や「前人未到」「金字塔」があげられます。

それぞれの意味や例文をみていきましょう。

前代未聞

前代未聞(ぜんだいみもん)とは、これまでに一度も聞いたことがないことや、非常に珍しいことを指す言葉です。

前代未聞の由来は不明ですが、14世紀ごろの歴史文学「太平記」に「前代未聞」という言葉が残されています。

(前代未聞の例文)

・その事件は当時としては非常に珍しく、前代未聞の大事件と報じられていた

・大型台風が直撃してしまい、その町では前代未聞の災害となった

前人未到

前人未到(ぜんじんみとう)とは、今まで誰もその境地に達していないことを指します。「前人」とは、今までの人という意味です。「未到」は「未踏」と書くこともあり、「未到」は誰もその境地に達していないことを表すのに対し、「未踏」は誰も足を踏み入れていないことを表します。

前人未到は主に功績や記録について、前人未踏は場所などについて使われます。

(前人未到の例文)

・彼はその競技で、日本人としては前人未到の記録を打ち立てた

・世界には各国に前人未踏の山が存在する

金字塔

金字塔(きんじとう)とは、「金」の字の形をした塔という意味で、ピラミッドを指します。ピラミッドは現代に残された偉大な建造物という意味から、後世に残る偉大な業績のことを「金字塔」と表現しています。

後世に残るほどの業績は破天荒にも通じるものであり、類義語といえるでしょう。

(金字塔の例文)

・彼女は多くの名曲を作り、音楽業界に数々の金字塔を打ち立てた

・医学の分野で金字塔の存在になれるよう、研究開発に尽力したい

破天荒の対義語

ソファでくつろぐ女性
(c)Adobe Stock

破天荒には、反対の意味を持つ対義語もあります。誰も成し得なかったことを行ったという意味の対義語としては、「十人並み」や「変哲もない」という言葉があげられます。能力などが特に劣っているわけでも優れているわけでもなく、ありふれていて平凡であるという意味です。

ここでは、破天荒の対義語の意味や例文をみていきましょう。

十人並み

十人並み(じゅうにんなみ)とは、顔立ちや能力などが人より優れてはいないが、劣ってもいないという意味です。「普通」や「平凡」と言い換えることもできます。

十人並みは悪い意味ではありませんが、特に良いことでもなく、捉え方によっては「取り柄がない」などネガティブな解釈になる可能性があります。使う場面には注意した方がよいでしょう。

(十人並みの例文)

・彼は大学を卒業したばかりで能力は十人並みだが、これからの努力次第では優れた人材になる可能性を秘めている

・彼女は十人並み以上の実力を備えている

変哲もない

「変哲もない(へんてつもない)」は、これといって変わったところもなく平凡であるという意味です。「変哲」とは普通と違うという意味で、それを否定していることから何も変わったところがないという意味になります。

(変哲もないの例文)

・せっかくの長期休暇だったのに、なんの変哲もなく過ごしてしまった

・彼の見た目は変哲のないただの中年男性だが、実はすごい経歴を持っている

破天荒の意味を正しく覚えよう

山頂でセルフィーする男性
(c)Adobe Stock

破天荒は、これまで誰も成し得なかったことをするという意味です。大胆で型破りな人物を表す言葉というイメージがありますが、本来の意味ではありません。この機会に、正しい意味を確認しておきましょう。

破天荒の類義語や対義語は複数あり、一緒に覚えておけば表現がより豊かになります。例文も参考に、ぜひ破天荒の理解を深めてください。

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