「あまのじゃく」、漢字で書けますか? 語源が妖怪だったって知っていますか? 本記事では「天邪鬼」の意味や語源、その対処方法などを解説します!
「天邪鬼」の意味・使い方・類語や対義語など
「天邪鬼」とは、「あまのじゃく」と読みます。その意味から解説を始めましょう。
意味
「天邪鬼」は、わざと人に逆らうような言動をする人や、その様子を指す言葉です。簡単にいうとひねくれ者ですね。
語源
「天邪鬼」の語源には諸説ありますが、そのひとつに、『日本書紀』や『古事記』などに登場する妖怪「天探女(あまのさぐめ)」が挙げられます。
「天探女」は元々、アメノワカヒコ(天若日子)に仕える女神でした。
ある日、天照大御神が、派遣先で長年つとめを放棄していたアメノワカヒコに「戻るように」と伝えるよう、キヂナナキメ(鳥)に伝言を頼みました。その伝言をアメノワカヒコより先に聞いた「天探女」は、アメノワカヒコに向かって「あの鳥は不吉だから射殺したほうがいい」と伝え、キヂナナキメを射殺させてしまいました。
キヂナナキメを射抜いたその矢は天まで届き、アメノワカヒコを派遣した高木神がその矢を拾いました。高木神が「アメノワカヒコに邪心があるなら、この矢が当たるだろう」と矢を打ち返したところ、その矢はアメノワカヒコの胸を射抜いてしまいました。
この言い伝えから、告げ口をした「天探女」は、「天の邪魔をする鬼」つまり「天邪鬼」といわれるようになったそうです。
また、毘沙門天像のお腹のところにある鬼面を「あまのじゃく(海若)」と呼ぶことや、仁王に踏みつけられた小悪魔を「あまのじゃく(耐董)」と呼ぶことも語源だといわれています。
使い方
「天邪鬼」という言葉は、褒め言葉ではありません。その点に注意しましょう。例えば、「彼の天邪鬼な性格は、子どもの頃のままだ」というように使う場合は、子どもの頃から、人に逆らってばかりいるということを表しています。
一方、「少数派の意見は天邪鬼と取られがちだが、そんなことはない」というように、人を表すだけでなく、意見や言動を表現する場合もあります。
「天邪鬼」な人の特徴とは?
では、「天邪鬼」な人はどんな性格でしょうか。あなたの周りにもいるのではないでしょうか。
頑固
「天邪鬼」な人は、頑固者です。自分の意見がいちばん正しいと思っていたり、それを変えることが悔しいと思っている節があり、誰かに「それって、〜じゃない?」と指摘されても、「ちがう!」と認めません。
一度、「天邪鬼」になってしまうと、どんな代案を出しても「それは違う」「これは違う」といちいち否定し始めます。
目立ちたがり屋
「天邪鬼」な人は、人と違うことをして目立とうとしている場合があります。実は、意見も内容にも興味がなく、ただ単に人と同じが嫌なだけ。「天邪鬼」な人にはそんなことがよくあります。ゆえに、意見自体はまったく辻褄が合わない… なんていうことも多いのです。
恥ずかしがり
たとえば、好きなのに嫌いなふりをする子どもっていますよね。素直になれないのは、恥ずかしいからです。「天邪鬼」な人は、恥ずかしがり屋が多く、素直に「ありがとう」と言えなくて意地悪をしてしまったり、「やりたい」と言えなくて、その場を混乱させることを言ってみたり…。ある意味では子どもっぽい人だともいえます。
「天邪鬼」な人の行動とは?
次に、「天邪鬼」な人の典型的な行動をみてみましょう。
揚げ足を取る
「それって、あなたがこの前してたことじゃない?」「言い間違ってるんじゃない?」など、聞き流せばいいことにも、いちいち噛み付いてくるのが「天邪鬼」な人です。本人はちょっとしたイタズラくらいの気持ちなのでしょうが、その場にいる人には呆れられてしまいます。
批判をくりかえす
本心にかかわらず、批判ばかりするのも「天邪鬼」な人の特徴です。周りの人が「合格点だよね!」と盛り上がっているのに、「でも…、いつもとおんなじで工夫が足りなかった」などと、必ず批判的な意見を言います。
その意見も自分の反省などではなく、いつも人の批判。ある意味では正しそうな意見を言うので、周りも黙ってしまったりすることもあるのです。
意地悪をする
ヘアスタイルを変えた人に向かって「前のほうが良かった」、プレゼンを済ませた人に「意味がわからなかった」など、嫌なことを言います。相手が傷ついても平気。むしろ、そのことを喜んでいるようにすら見えるのです。
単独行動をする
みんなで何かしようとするとき、「天邪鬼」な人はいちいち単独行動を取ろうとします。輪を乱し、周囲を困らせることで、みんなの注意を引こうとしているのです。
「天邪鬼」な性格を直す方法や当てはまる人への接し方
どうですか? 「天邪鬼」な人の性格的な特徴や行動パターンをご紹介しました。あなた自身に当てはまるところはありましたか? また、周囲に「天邪鬼」な人がいて困っている人という場合もあるかもしれませんね。
「天邪鬼」な性格を直す方法
自分自身に「天邪鬼」な一面があると気づいた場合、直すのは簡単です。なぜなら、「天邪鬼」だと認識さえすれば、あとはそれを止めるだけでいいのですから。
何かを言ったりしたりする前に、一呼吸置いて、その行動が「天邪鬼」でないか確かめましょう。「素直になろう」と一度、心の中で自分自身に言い聞かせてもいいですね。
「天邪鬼」な一面がある人にとって、「素直になる」ことは少し気恥ずかしいことかもしれません。けれど、周囲の人にとってはたいしたことではないです。あなたが思い切って素直になってみれば、案外誰にも気づかれることなく、話が進んでいくことのほうが多いのです。
「天邪鬼」な人への接し方
逆に、周りに「天邪鬼」な人がいて困っている、という場合には、無視をするのがいちばんです。「天邪鬼」な人は、目立ちたかったり、意地悪をしたかったりしているだけで、心底傷つけようとか、批判しようというような気持ちはありません。基本的にちょっとしたイタズラなのです。
ですから、まともに受け取る必要はありません。「この人、天邪鬼だな…」と感じたら、遠慮なく放っておきましょう。場合によっては、さらにかまってほしいとでもいうように絡んでくる場合がありますが、ことごとく無視することで、そのうちあきらめると思いますよ。
最後に
「天邪鬼」な人が身近にいると、結構イライラしますよね。でも、そのイライラが思うツボ。相手をイライラさせて注意を引こうとしているのです。子どもの場合には、「天邪鬼」になることが何かのサインかもしれませんが、大人の場合には別のやり方があるはずです。あまりひどいようなら、一度しっかり話し合うことも選択肢のひとつかもしれません。
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