「待てば海路の日和あり」ってどんな意味?
「待てば海路の日和あり」という言葉を聞いたことはありますか? あまりなじみのないことわざかもしれませんが、意味を知ると共感できるものがあるかもしれません。そこで今回は、「待てば海路の日和あり」の意味や使い方、似た意味を持つことわざ、英語表現を解説します。
意味
「待てば海路の日和あり」は、「まてばかいろのひよりあり」と読み、「辛抱強く待っていれば、そのうち好機が訪れる」という意味です。言葉の意味をひとつずつ見ていくと、「待てば」は「待っていれば」、「海路」は「海上を船が通っていく道筋」、「日和」は「空模様、天気」を指します。
つまり、「待っていれば、航路に適した穏やかな天気がやってくる」という意味。もともとは、航海に適したタイミングを表す意味の言葉ですが、転じて「焦らずに待っていれば、そのうちチャンスが訪れる」という意味で用いられています。
由来
「待てば海路の日和あり」は、「待てば甘露の日和あり」ということわざが変化してできたものです。中国では正しい政治を行えば、どんなに日照りが続いて苦しい状況でも恵みの雨(甘露)が降って大地を潤すという言い伝えがありました。
このように辛抱強く正しいことを行うことで恵まれる、という意味のことわざが、やがて言い換えられて「待てば海路の日和あり」ということわざが生まれたと考えられています。
使い方を例文でチェック!
「待てば海路の日和あり」は、日常生活や仕事など幅広いシチュエーションで使うことができます。この機会に正しい使い方を押さえておきましょう。
待てば海路の日和ありという言葉を信じて、諦めずに挑戦したら司法試験に合格できた。
辛抱強く努力していたら見事報われたという意味の例文です。どんなに厳しいことでも、諦めずにチャレンジすることで道が開けることもあるでしょう。夢や目標がある人は座右の銘にしてみては?
待てば海路の日和ありというし、そのうち素敵な人が見つかるよ。
たとえ失恋したり、辛い経験をしたとしても、いつかは素敵な人が見つかるよ、と励ますときにこのように使えます。
辛いときには、待てば海路の日和ありという言葉を思い出して乗り切りました。
「待てば海路の日和あり」は、自分自身を励ましたり、鼓舞するときにも使えることわざです。何かを辛抱強く努力して乗り越えた経験がある方はこのように使ってみてはいかがでしょうか。
似た意味を持つことわざとは?
「待てば海路の日和あり」と似た意味を持つことわざには、「果報は寝て待て」「急いては事を仕損じる」「石の上にも三年」などが挙げられます。こちらのことわざの方がなじみがあるという人もいるのではないでしょうか。早速意味を見ていきましょう。
果報は寝て待て
「果報は寝て待て」は、「幸福がやってくることを気長に待ちなさい」という意味のことわざです。「果報(かほう)」とは「幸福や幸せなこと」で、仏語では前世でいい行いをして現世で訪れる幸福なことという意味があります。
もし、自分自身がベストを尽くしたのなら、結果がどうなるかは天に任せなさいというようなニュアンスで使われますね。
・明日の試験の合格発表が気になって仕方ない。けれども果報は寝て待てというように、あとは気長に待っていよう。
急いては事を仕損じる
「急いては事を仕損じる」とは、「せいてはことをしそんじる」と読みます。「急いては」は「急いだら」という意味で、「物事に慌てて取り組むと失敗してしまう。急いでいるときほど冷静な行動をとるべきだ」という戒めの意味が込められています。大抵は、目の前で焦っている相手に対して注意するときに使われることが多いですね。
・何事も焦ってはいけないよ。急いては事を仕損じると言うからね。
石の上にも三年
「石の上にも三年」も、「待てば海路の日和あり」とよく似ています。冷たい石でも長い間座っていれば温まるように、忍耐強く続けていれば物事を成し遂げられるという意味です。「仕事を辞めたい」と先輩に相談したときに「石の上にも三年って言うし、もう少し頑張ってみたら?」とアドバイスされた、というのがひとつの例。辛抱強く我慢するというニュアンスが強いことわざですね。
・石の上にも三年という言葉を胸に、彼は仕事に取り組んだ。
英語表現とは?
「待てば海路の日和あり」は日本独自のことわざなので、直訳の英語表現はありません。しかし、「辛抱強く待っていれば、いつか必ずよいことがある」という意味を持つ英語表現はいくつかあるようです。ここでは、意味合いが近いものをふたつ紹介します。相手を元気づけるときの英語表現として覚えてみては?
Everything comes to him who waits.
「Everything comes to him who waits.」は、直訳すると、「あらゆる物事は待っている者のところにやってくる」という意味。願いや信念を持って待っていれば、よい結果が必ずやってくるというニュアンスを含んだことわざです。ここでの「him」は「彼」ではなく「人」のことを指すので注意しましょう。
The longest night will have an end.
「The longest night will have an end.」は、「明けない夜はない、いつか朝が訪れる」という意味のことわざです。日本語でも、「今は辛くても、いつか報われるときが来る」といった励ましの言葉として使われていますよね。
最後に
「待てば海路の日和あり」は、「辛抱強く待っていれば、そのうち好機が訪れる」という意味のことわざです。物事に失敗したり、壁にぶつかったときにこの言葉を思い出すことで、「もう一回頑張ってみよう」と思えるかもしれません。
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