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2024.02.25

「井の中の蛙大海を知らず」とは? 読み方や意味、使い方や類似表現などを解説

「井の中の蛙大海を知らず」とは、「自分の狭い知識や経験にとらわれ、他に広い世界があるのを知らないこと」という意味です。「いのなかのかわずたいかいをしらず」と読みます。この記事では、「井の中の蛙大海を知らず」の使い方や類似表現についても解説。

人は、自分がいる環境しか知らないという状況が長く続くと、外の世界の広さや多様性を知ることができなくなってしまいます。やがて、狭い範囲でしか物事を見ることができなくなりがちです。

このような状況を象徴する言葉が、「井の中の蛙大海を知らず」です。この記事では、「井の中の蛙大海を知らず」の意味や由来、例文での使い方、類似表現などについて詳しく解説します。

「井の中の蛙大海を知らず」の意味について

「井の中の蛙大海を知らず」は、「いのなかのかわずたいかいをしらず」と読みます。意味は、「自分の狭い知識や経験にとらわれ、他に広い世界があるのを知らないこと」。「井の中の蛙」と表現することもあります。

『荘子』の「秋水」に、「井蛙不可以語於海者、拘於虛也(井戸の中にいる蛙に海のことを話しても意味がないのは、その蛙が狭い自分の住みかにとらわれているからだ)」という記述があります。これが由来であると考えられていますよ。なお、原典には「大海を知らず」に直接対応する記述はなく、日本に入ってからつけ加えられたようです。

「井の中の蛙大海を知らず」の具体的な話について、紹介しましょう。ある古井戸に蛙が住んでいました。 蛙が井戸で遊んでいると、海亀に遭遇。蛙は得意げに、井戸の生活の楽しさを海亀に言いました。一方の海亀は、海について蛙に語ります。

海はどこまでも広くて、どこまでも深く、大雨でも日照りでも海水はほとんど増減することがなかったと、海亀から聞かされた蛙はびっくり。何も言えなかったという話。

なお最近は、「井の中の蛙大海を知らず」の後に、「されど空の青さを知る」という言葉がつくようです。実際、「井の中の蛙、大海を知らず。されど、空の青さを知る」のように使われている事例もネットなどで見受けられます。

意味は、「狭い世界にいるからこそ、深い知識や知見を得られたこと」。ある分野で、高い次元にまで極めた人にしかわからない境地があるということです。「されど空の青さを知る」も、「大海を知らず」と同様に原典には記述が見られないことから、日本でつけ加えられたものであると考えられています。

(c) Adobe Stock

「井の中の蛙大海を知らず」を用いた例文

次に、「井の中の蛙大海を知らず」を使った例文を見つつ、どのように使い方を解説していきます。

1:「彼は長い間同じ町で育ち、まるで外部や異文化への関心がない。ある意味、井の中の蛙大海を知らずの側面はある」

長い間同じところに住み続けていることが関係してか、外部や異文化に対して無関心であると言っています。視野が広くないという点で、「井の中の蛙大海を知らず」であるとのこと。

2:「新入社員は井の中の蛙大海を知らず、会社というものについて、ほとんど知識がない」

新入社員であることもあってか、社会一般的な会社についての知識が乏しいということを表す例文です。「ほとんど知らない」ことを表すために、「井の中の蛙大海を知らず」を使うことが可能です。

「井の中の蛙大海を知らず」の類似表現

次に、「井の中の蛙大海を知らず」の類似表現について確認していきます。

1:「針の穴から天を覗く」

「針の穴から天を覗く」は、「はりのあなからてんをのぞく」と読みます。意味は、「自分の狭い見識を基準にして、広大なことについて勝手な推測を下すこと」。針の小さな穴から広い空をのぞいても、全体が見えることはなく、見えないところは推測するしかありません。

「針の穴から天を覗く」によく似た慣用句に、「鍵の穴から天を覗く」・「葦よしの髄から天井を覗く」・「管を以て天を窺う」という熟語もあります。いずれも、「小さなところから外を覗く」というニュアンスがありますね。

例文:
・「彼の新しい提案は針の穴から天を覗くもので、実際の状況とはかけ離れている。とても採用できない」
・「現場の判断について、針の穴から天を覗いてはいけない。必ず、自分で現場に足を運んで、可能な限り情報収集に努めること」

2:「夜郎自大」

「夜郎自大」は、「やろうじだい」と読みます。意味は、「自分の力量を知らずに威勢を張ること」。ちなみに、「野郎自大」と書くのは、正しくないとされています。

由来についてですが、中国の有名な歴史書『史記』の話から来ているそうです。漢の武帝は、南部にある南越という国を征服しようと考えていました。そこで、まず南越に隣接する「滇(てん)」と「夜郎」という国に使節団を送ります。

そして、国外状況を知らなかった両国の王は、漢からの使節に対して、「漢とわが国と、どちらが大きいのか」と質問してしまいます。国力的に、漢の方が大きいのは明確でした。

このように、世間知らずであるのに威張ることを、「夜郎自大(夜郎、自らを大となす)」と呼ぶようになったのです。

例文:
・「彼の自己評価は夜郎自大で、現実からかけ離れているように感じる」
・「自分の発信能力を過信している彼女は、夜郎自大と言っても過言ではない」

(c) Adobe Stock

「井の中の蛙大海を知らず」の英語表現

「井の中の蛙大海を知らず」を英語に訳した時に、どのようになるのかについて見ていきます。直訳すると、「The frog in the well does not know the ocean」が使用可能。他にも、「世間知らず」というニュアンスで、「ignorant」や「naive」が使えます。

例文:
・「The frog in the well does not know the ocean.(井の中の蛙大海を知らず)」
・「an ignorant question(世間知らずな質問)」
・「He is too naive to know the society.(彼は世間知らずがひどく、社会を知らない)」

(c) Adobe Stock

最後に

「井の中の蛙大海を知らず」は、当初「井の中の蛙」だけでした。しかし、日本に伝わってからは、「大海を知らず」が付属し、さらに最近になっては、「されど、空の青さを知る」という言葉までつける場合もあるようです。熟語の変遷をたどってみると、面白さを感じますね。

この記事が、「井の中の蛙大海を知らず」を使いこなすための1つの参考になれば幸いです。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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