へそくりの意味は?
へそくりとは、家計とは別に自分のために内緒で貯蓄するお金のこと。「隠れて節約をして、パートナーには内緒でへそくりを貯めていた」、といったような話は珍しくありません。小説や漫画などでも、「本の中にへそくりをはさんで隠していた」、といった描写もよく見かけます。
それにしても、お金であるにもかかわらず、なぜ「へそ」という言葉が含まれているのか気になるものです。また、最近のへそくり事情はどのようなものなのでしょうか。この記事では、へそくりの意味や由来、最近のへそくり事情や英語表現などについて説明していきます。
そもそもへそくりとは?
へそくりとは、家計とは別に自分のために内緒で貯蓄するお金のこと。今では、「ポケットマネー」と表現されることもあります。いわば非公認のお金。
主婦の内職収入や家計費節約などによる、秘密の貯えであるケースが多いです。子供のアルバイト稼ぎなどは、「公認」とされているので、へそくりには該当しないとされています。
へそくりの言い換え表現は地方によっていろいろあり、「針箱銭(はりばこぜに)」「継ぎ箱金(つぎばこがね)」など。女性には糸・針や化粧品などの私有物を入れておく箱があり、そこにあるお金という意味です。
へそくりの由来について
次にへそくりの語源について見ていきましょう。語源については、諸説ありますので、ここでは2つの説を紹介します。
へそは、「綜麻」と漢字で表記することができることを知っていましたか? 綜麻とは、紡いだ麻糸を環状にくるくると巻いたもののこと。その綜麻を繰って貯めたお金を「綜麻繰り金」と呼びました。これが略されて、「綜麻繰り」つまり「へそくり」になったと言われています。
「へそくり」の漢字表記には、もう一つ「臍繰り」があります。「臍」は、体の部位としての「へそ」。金銭や貴重品を腹巻などで腹に巻き付けていたことから、他人に内緒で貯めること、あるいは秘かに貯めた金銭を意味するようになったと言われています。
へそくりに関する最近の事情について
最近のへそくり事情について見てきましょう。へそくりの目的や金額はさまざまです。
多くの媒体で、へそくりについての調査が報告されています。まず、独立系の投信投資顧問会社である、スパークス・アセット・マネジメント株式会社による調査結果を見てみましょう。へそくりをしている人の割合や平均金額をうかがい知ることができます。
・へそくりをしている人の割合:男性が43.0%、女性が50.4%。全体で46.7%。
・へそくりの平均金額:男性の平均は123万円、女性の平均は183万円。全体の平均は155万円。
対象期間:2021年10月20日~22日。
対象者:全国の20歳以上の既婚(配偶者がいる)の男女1000名。
調査方法:インターネットリサーチによる調査。
野村証券のウェブマガジン『閑中忙あり』での、インターネット調査の結果も確認しておきましょう。こちらでは、へそくりの平均金額や目的が分かります。
・へそくりをしている人の割合:男性が51.5%、女性が64.1%。
・へそくりの平均金額:「50万円未満」が男性で20.0%、女性で14.3%。いずれも最多割合。
・へそくりの目的:一番多かったのが、「趣味や娯楽に使いたいから」と「万が一に備えたいから」。「趣味や娯楽に使いたいから」では、70代男性では60%以上、70代女性では40%以上に。「万が一に備えたいから」では、70代男性では40%以上、70代女性で50%以上。
対象期間:2019年10月31日~11月1日。
対象者:全国の50歳~79歳の男女1034名。
調査方法:インターネット調査(調査委託先はマクロミル)。
参考:
スパークス・アセット・マネジメント株式会社:『夫婦のマネー事情と夫婦円満投資に関する調査2021』
野村証券(ウェブマガジン『閑中忙あり』):『50代~70代夫婦の「おこづかい」と「へそくり」事情――調査から見る家計管理』
へそくりに類似した英語表現
へそくりに類似する表現は英語にもあります。それぞれ確認しておきましょう。
1:sercret saving
秘密の貯金という意味です。したがって、へそくりに該当します。
2:extra money hidden away
「extra money」は「余分なお金」という意味。「hidden away」は「隠されている」というニュアンスです。これらの組み合わせで、へそくりを表します。
3:nest egg
いざという時や将来に備えて、貯蓄されているお金のこと。秘密というニュアンスはありませんが、へそくりを貯める理由の一つは、万が一に備えることです。その点で、「nest egg」もへそくりに似た表現と言えます。
ちなみに「nest egg」は直訳すると、「巣の卵」。昔、鶏の産卵を促進するために、巣の中に偽物の卵を置いていた習慣に由来すると言われています。
最後に
「へそくり」についてさまざまな角度から解説しました。「へそくり」という言葉の由来については諸説あると説明しましたが、地方によって「針箱銭(はりばこぜに)」と言うところもあれば、「継ぎ箱金(つぎばこがね)」と言うところもあったりして、さまざまな呼び名も存在しているようです。
へそくりの目的は、趣味や娯楽のためだったり、万が一に備えてだったりといろいろ。貯める金額にも幅があります。もしかしたら、感染症の拡大がへそくりにも影響したかもしれませんね。
一人暮らしならば、へそくりを貯める必要はないかもしれませんが、お金の管理はしっかりとしたいもの。万が一に備えて、普段の家計用とは別に貯蓄をしておくと安心できるのではないでしょうか。
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