「生真面目」ってどういうこと?
あなたの周りにも、「生真面目だね」と言われるような人はいませんか? もしかしたらあなた自身がそのように言われることもあるかもしれませんね。「生真面目」とよく似た言葉に「まじめ」があります。「まじめ」とは、嘘やいい加減なところがなく、真剣。そして誠実な様子を表す言葉です。人との関わりを持つうえでは、とても大切な要素です。
でも、「生真面目」と言われると、ちょっとネガティブな含みも感じられますよね。「あの人、生真面目だから」と話題に上がるようなときは、コミュニケーショントラブルが発生しているとき。融通が利かない・要領が悪いなど、周囲との足並みが乱れてしまっているときが多いのではないでしょうか?
職場の人間関係の悩みなど、キャリアに関する相談をうけ、コミュニケーションスキル向上のトレーニングも行う、キャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんに、「生真面目」についてお話を伺いました。
「『まじめ』と『生真面目』はよく似ています。そして、誰にでもある性質です。『まじめ』な態度とは、自分が大切だと思うことに対して、真剣に取り組み、いい加減にあつかわない。嘘や偽りなく、誠実に向き合う。そんな態度の人は、多くの人から信頼を寄せられます。でも、大切だと思うことや取り組み姿勢には、人それぞれの基準があるものです。
『まじめ』を通り越して『生真面目』になってしまうときは、自分基準にこだわりすぎていて、それ以外のことを受け入れられなかったり、その基準を他の人に押し付けてしまっている可能性があります。」(キャリアコーチ・菊池さん)
確かに、「生真面目」というと、ちょっと独りよがりな印象も…。「まじめ」の良い所を残しながら「生真面目」と言われないポイントはあるのでしょうか?
「性格的な特徴というのは、必ずポジティブとネガティブの両面を持っています。どちらかに大きく偏って、ポジティブ面が強調されているときは、長所やメリット。ネガティブ面が強調されているときには、短所やデメリットと言われるだけのこと。自分の持っている特徴を理解し、ポジティブな面を意識することで、周りの人とスムーズなコミュニケーションがとれるようになります。」(キャリアコーチ・菊池さん)
生真面目な性格のメリットとデメリットは?
性格的な特徴は、表裏一体。同じ事柄でも、光の当て方によってメリットにもデメリットにもなります。ここでは、生真面目と言われる特徴のメリット・デメリットを見ていきましょう。
生真面目な性格のメリットとは?
キーワードで言えば、「真剣」「本気」「嘘がない」「誠実」「公正」。こんなことを大切だと思っているので、態度や行動として下記のように現れます。
・責任感が強く、ものごとに真剣に取り組む
・約束やルールを守る
・不正や妥協、手抜きなどをゆるさない
・決めたことをやりぬく。忍耐力がある
・正しいことを貫く
・嘘をつかない
常にこのような言動をとるため、「あの人に任せておけば間違いない」と、周囲からは信頼されていることでしょう。
生真面目のデメリット
メリットとして認識をされる態度であれば、信頼を得られ、周りの人とは良い関係でいられます。でも、ちょっとバランスが崩れて特徴が際立ちすぎると、トラブルのもとになることが。生真面目ゆえのデメリットとして、こんなことがあげられます。
・こだわりが強く、柔軟性に欠けることがある
・決めたことに固執をする
・融通が利かない
・自分にも他人にも厳しく、欠点の指摘が多い
・正しさを優先し、堅苦しく気難しい印象を与える
・言葉を額面通りに受け止め、冗談が通じない
・くだけた雰囲気を毛嫌いする
特徴を理解し、表現の仕方を工夫しよう
生真面目さは、ほんのちょっとのさじ加減で、長所にも短所にもなる可能性があります。
「生真面目だ」と言われがちなら、「自分の意見や基準、正しさを周りに押し付けていないか?」を意識します。立場が違えば、見えているものへの意味付けも変わってくるもの。周りの人の意見や気持ちを汲み取ることを心掛けましょう。
相手の生真面目さに困っているときは、「どちらが正しい」という議論ではなく、「あなたも私もどちらも正しい」の視点に立ちます。そのうえで、お互いが譲り合える落としどころを、「一緒に見つけていこう」とする姿勢を見せます。生真面目な人は、白黒つけたがる傾向がありますが、グレーでも大丈夫だということを伝えていくのです。
自分の中にもある「生真面目さ」との付き合い方は?
生真面目さがコミュニケーションのトラブルにならないよう、上手に表現するポイントとして「完璧主義を手ばなす」ことが挙げられます。
生真面目さには、「ちゃんとしなければならない」「ルールは守らねばならない」「間違いをおかしてはならない」「正しいことをしなければ」などと、自分基準に厳しく従おうとする完璧主義の傾向があります。
いい感じに機能しているときには向上心にもつながりますが、バランスが崩れたときには自分も周囲も追い詰めることになります。そもそも、完璧であろうとしても、そのようにならないことの方が多いもの。欠けていることに焦点を当てるのではなく、できていることやすでに在るものなどに目を向けましょう。
そして、「正しさ」や「良し悪し」の判断基準は、人それぞれ。自分の基準に当てはまらない人や事柄があることを理解し、「そんなこともあるんだな」と、柔軟に受け止めます。そのうえで、ストレートに伝えるのではなく、相手に寄りそう言葉をはさんで、自分の意見や思いを伝えていきましょう。
最後に
生真面目さゆえのトラブルが起こるとしたら、自分軸に固執している可能性があります。良し悪しは人それぞれ。違いを受け止めるために、ちょっとだけこだわりを手ばなしてみると、周りの人との関わりが和やかになれますよ。
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キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン