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「木で鼻をくくる」の意味や読み方は?
「木で鼻をくくる」は、普段あまり使わない言葉かもしれませんね。しかし、いつ会話の中で出てくるとも限りませんので、覚えておくと役に立ちます。「木で鼻をくくる」という言葉の意味や由来から確認していきましょう。
「木で鼻をくくる」の意味は?
ことわざや慣用句の中には、意味がわかりづらかったり、不思議な表現をするものがいくつか存在しますね。また、「木で鼻をくくる」のように体の一部を使った表現も多いものです。
「木で鼻をくくる」には、2つの意味があります。1つには、冷淡で冷たい対応や、無愛想で素っ気ない態度を取ること。もう1つには、さっぱりするという意味があります。
ただし、「木で鼻をくくる」は相手の傲慢な態度を表す言葉ではありません。冷たく無愛想な態度に対しては使えますが、偉そうな性格や横柄な態度を表現することはできないので、使い方には注意をしましょう。
由来
ではなぜ、冷淡で素っ気ない態度が「木で鼻をくくる」という表現になったのでしょうか? この言葉のもととなった習慣を見ていきましょう。
「木で鼻をくくる」の由来には、諸説ありますが、「木で鼻をこくる」という昔の習慣が関係していると言われています。元々、「くくる」は「こくる」の誤用でした。そして、「こくる」は「擦る(こする)」ことを意味します。つまり、「木で鼻をこくる」とは、鼻水をぬぐう際に木で鼻を擦る動作のことです。
昔は紙が貴重だったため、鼻水を拭う際には紙を使わず木を使っていました。木で鼻水をぬぐうと痛みが生じ、自然と不愉快な顔になる事から、次第に、「木で鼻をこくる」が不愉快な態度を表す言葉に変化したのです。
他の説としては、「商家の主が使用人に対して紙の使用を禁じたという理不尽さが由来」とするものもあります。
由来を知ると、意味も覚えやすくなりますね。
「木で鼻をくくる」の使い方を例文でチェック!
正しい意味と由来を理解したところで、次に「木で鼻をくくる」の使い方について見ていきましょう。
1:木で鼻をくくったような接客だ。
接客をした店員に対して、「無愛想だ」と感じた時の例文になります。「冷たく冷淡な人」「無愛想な態度をとる人」「素っ気無い態度を取る人」に対して、「木で鼻をくくったようだ」と言えますね。
2:木で鼻をくくったような返事をされた。
「木で鼻をくくる」は、態度や様子だけで無く、日常の中での些細な言動などに対しても使うことが可能。例文のように、ビジネスシーンで仕事の協力を依頼した時に、冷たく無愛想な返事をされた際にも「木で鼻をくくる」という表現が使えます。
3:今日も上司のお誘いを断るなんて、Aさんは木で鼻をくくったような人だ。
この例文での「木で鼻をくくる」には、「無愛想」という意味に加えて、「不親切、非社交的」という意味が含まれていますよ。このように、積極的に人とコミュニケーションを取ろうとしない人も、「木を鼻でくくる人」と表現することができます。
「木で鼻をくくる」の言い換え表現にはどのようなものがある?
「木を鼻でくくる」には、似た意味を持つ類語がいくつかあります。一つずつ見ていきましょう。
1:けんもほろろ
「けんもほろろ」は、無愛想に人の頼みや相談事を拒絶して、取りつくしまもない様子を表します。「けん」も「ほろろ」もキジの鳴き声を表しています。「久しぶりの再会だったが、けんもほろろにあしらわれた」などというように使いますよ。
2:鼻であしらう
「鼻であしらう」とは、相手に対して冷たくあしらうことを表します。「彼女のためを思って忠告したけれど、鼻であしらわれた」というように使いますよ。
3:取り付く島もない
「取り付く島もない」の、「取り付く島」は頼りとしてすがるところを指します。したがって、「取り付く島もない」は、「頼るところが何もない」という意味になります。「電話も出てくれなくては、取り付く島もない」というように使いますよ。
「木で鼻をくくる」の英語表現は?
「木で鼻をくくる」ということわざは、実は英語で表現することも可能。英語での表現を知ることで、更に言葉の理解が深まるかもしれませんね。
1:She is curt.(彼女は木で鼻をくくったような人だ)
「curt」は形容詞で「素っ気無い」とか「ぶっきらぼうな」という意味を持ちます。ですから、「木で鼻をくくったような」と英語で言いたい時に、置き換えられますね。
2:He responded bluntly.(彼はぶっきらぼうに応答した)
「respond」は「応じる」、「bluntly」は「ぶっきらぼうに」「無遠慮に」という意味があり、この文を直訳すると、「ぶっきらぼうに応答する」となります。「木で鼻をくくる」と同じ意味になりますね。
3:You answered curtly.(あなたは素っ気無く答えた)
「respond」と同じような意味で使われる「answer」を用いて表現することもできます。「curtly」は、「素っ気無く」という意味です。こちらも相手に対して素っ気無く、冷たい対応で接する時に使うことができる表現です。
最後に
「木で鼻をくくる」という慣用句は、普段あまり耳にしないので、一見難しい言葉のようにも思えます。ですが、意味や由来を理解すると、日常の様々なシーンにおいて、使うことのできる言葉だということが伝わったのではないでしょうか? 日常生活で使えるような場面が出てきたら、ぜひ活用してみてください。
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