皆さんは、「大団円」という言葉を知っていますか? あまり馴染みがない言葉かもしれませんが、舞台やお芝居を鑑賞することが好きな方は、もしかしたら耳にしたことがあるのではないでしょうか。本記事では、「大団円」の意味や読み方、使い方、類語を解説します。
「大団円」の意味
「大団円」は、「だいだんえん」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。
演劇や小説などの最後の場面。すべてがめでたく収まる結末についていう。「―を迎える」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「大団円」とは、演劇や小説の最後の場面のこと。色々と事件などが解決した最後の局面のことを指し、特に最後がめでたくおさまった場合に使われます。ちなみに、「団円」とは「まるいこと」という意味の他に「円満であること」という意味があります。このことから、物事が丸く収まること=ハッピーエンドとして、物語や舞台の結末などに用いられたようです。
まれに「大円団」という言葉を見かけることもありますが、こちらは誤り。正しくは、「大団円」なので間違えないよう注意してみてくださいね。
使い方を例文でチェック!
「大団円」は、「大団円を迎える」「大団円で終わる」などが一般的な言い回しです。早速例文で確認してみましょう。
1:人気の舞台は大団円を迎え、会場には拍手が鳴り響いた。
物語は最後のフィナーレを迎え、感動した観客が拍手をしたということですね。役者の演技や脚本の内容、舞台衣装などの完成度が高いことで、素晴らしい大団円を迎えることができたことがわかります。
2:ハラハラするようなサスペンスドラマだったが、最後は大団円で終わった。
サスペンスにも関わらず、ラストは意外にもハッピーエンドだったということでしょう。「大団円」には、作品の最後の場面という意味の他に、「めでたく結末を迎えること」という意味が含まれています。そのため、悲劇的なラストを迎える作品にはふさわしくありません。
3:メンバー同士の意見の衝突もあったものの、イベントは結果的に大団円となった。
「大団円」は、舞台以外のビジネスシーンなどにも使うことができます。紆余曲折あったものの、最終的にはイベントやプロジェクトが丸く収まった、無事に終わったというような場合に使われることが多いですね。
類語や言い換え表現は?
「大団円」の類語には、舞台の終幕という意味を持つ「大切り」や「大詰め」、また幸福な結末という意味も含まれている「ハッピーエンド」などがあります。ひとつずつ意味をチェックしていきましょう。
1:大切り
「大切り(おおぎり)」の意味は以下の通りです。
1 大きく切り分けること。また、その切り身。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
2 (縁起をかついで「大喜利」とも書く)
ア芝居で、その日の最終の幕。
イ江戸時代の歌舞伎で、二番目狂言(世話物)の最終幕。幕末以後の歌舞伎では、二番目狂言のあとにつける一幕物。切(きり)狂言。
ウ寄席で、とりの終わったあとにする演芸。大ぜいで珍芸・謎(なぞ)掛け・言葉遊びなどをするものが多い。追い出し。
3 物事の終わり。結末。
2・3番目の意味が「大団円」と類似していますね。主に演劇や芝居などの舞台で使われる言葉で、その日の興行の最後の一幕を指します。
(例文)
・師匠の代わりに、今日の大切りを務めることになった。
・大切りまでなんとかやりきった。
2:大詰め
「大詰め(おおづめ)」の意味は以下の通りです。
1 芝居の最終の幕、また場面。江戸時代には、一番目狂言の最終の幕をいった。→大切(おおぎ)り
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
2 物事の終局の場面。最後の段階。「捜査は―を迎えた」
歌舞伎や演劇などの最終幕、または最後の場面を「大詰め」と言います。現代では、日常生活においても、「会議は大詰めを迎えた」というように広い状況で使われていますね。「大詰め」は、あくまでも「物事の最後の場面」を指し言葉なので、「大団円」のような、ハッピーエンドという意味合いはありません。
(例文)
・3時間を超える大作のミュージカルは、いよいよ大詰めを迎えた。
・捜査は大詰めを迎えた。
3:ハッピーエンド
「ハッピーエンド」は辞書にどう記載されているのでしょうか?
《happy endingから》小説・演劇・映画などで、物語の最後が都合よくめでたく終わること。幸福な結末。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「ハッピーエンド」は、小説や映画などの作品で、幸福な結末を迎えたときに使います。例えば、恋愛映画で主人公が見事片思いの相手と結ばれたり、少年漫画で悪役を倒して世界に平和が訪れたという結末は、まさにハッピーエンドと言えるでしょう。昔話における、「めでたしめでたし」と同じような意味合いがありますね。
(例文)
・無事に主人公がハッピーエンドを迎えられて安心したよ。
・涙もろい母は、ハッピーエンドの映画に感動して泣いていた。
英語表現は?
海外のビジネスパーソンと作品の感想を話したりするときに、「良い結末を迎えた」と表現したい場合には、「happy ending(幸せな結末)」「end well(うまく終わる)」などを使ってみるといいでしょう。
(例文)
・The story had a happy ending.(物語はハッピーエンドを迎えた)
・The meeting ended well.(会議は良い結果で終わった)
最後に
「大団円」とは、「演劇や小説などの最後の場面」。幸福な結末を迎えるもののことを指します。悲劇的な結末を迎える作品や、まだ続きのあるドラマなどにはふさわしくない表現なので、注意点もあわせて覚えてみてくださいね。ビジネスシーンで、良い結果が出た場合にも活用してみてはいかがでしょうか?
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