「梨の礫」とは?
「最近、めっきり梨の礫(つぶて)もないよ」という言葉を聞いたことはありますか? 「梨の礫」という意味が分からないと、「何の話をしているの?」となってしまいそうですよね。「梨」は果物のあの梨だとしても、「礫」って一体何でしょう。
実は、「梨の礫」って結構使いやすくて面白い表現なんです。本記事では、「梨の礫」の意味や使い方、言い換え表現などについて紹介します。
「梨の礫」の意味
「梨の礫」とは、「音沙汰ないこと」や「連絡しても返事が来ないこと」。「梨の礫もない」と言ったります。読み方は、「なしのつぶて」です。
「礫」は、「小さい石」のこと。石(礫)を投げても帰ってこないことから、「梨」と「無し」をかけた言葉遊びのような表現になります。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「梨の礫」の英語表現
「梨の礫」のような、日本語独特の言い回しを英語ではどのように表現すればいいのでしょうか? 難しく考えてしまいがちですが、同じ意図が伝わればいいのですから、シンプルに考えればいいのです。
たとえば、「彼女に何度もLINEを送ったのに、梨の礫だ」と英語で伝えたい場合は、「I have sent her numerous LINE, but she hasn’t responded.」などと言えば意図が伝わります。
つまり、英語で「梨の礫」であることを伝えたい場合は、「連絡がない」ことを英語で表現すればいいのです。
「梨の礫」の使い方を例文で紹介
ここからは、「梨の礫」の使い方について見ていきましょう。あまり馴染みがない表現かもしれませんが、意味さえ分かれば使いやすい表現なんです。
1:「数年前に喧嘩別れした友人に勇気を出して連絡をしてみたが、梨の礫だった」
「梨の礫」には、ややネガティブなニュアンスが含まれます。言い方を変えれば、相手をスルーしたということですから、梨の礫にされた側は悲しい気持ちになりますよね。
2:「使っていないメールアドレスに、返信が必要なメールが送られていた。梨の礫になってしまったことを謝罪しなければならない」
意図的に連絡を返さないケースもあれば、予期せず梨の礫になってしまったというケースもあります。その場合は、なるべく早く相手に謝罪しなければなりません。
3:「最近はめっきり梨の礫だったから、何かあったのかと思って心配していたんだよ~」
会話のなかでも使うことができます。ただし、「梨の礫」には「連絡をスルーした」というようなネガティブなニュアンスが含まれますので、嫌味に聞こえないように使うのがポイントです。相手に向かって言う際は、十分気を付けてください。
「梨の礫」の言い換え表現にはどのような言葉がある?
「連絡が返ってこないこと」や「音沙汰がないこと」を表す「梨の礫」。せっかくなので、言い換え表現や同じようなニュアンスを持つ言葉についても押さえておきましょう。
1:音信不通
「電話や手紙などの連絡が途絶えていること」を、「音信不通」と言います。連絡だけでなく、交際や交渉が途絶えている状態を表すこともある言葉です。
「梨の礫」と同じように、こちらから連絡しても返ってこない場合に使うこともできますが、お互いに連絡を取り合っていない状態を指すこともできます。
たとえば、「彼女に連絡したが、音信不通だ」と言うこともできますし、「卒業以来、お互いに音信不通だ」と言うこともできますよ。
2:無反応
「無反応」とは、読んで字のごとく「反応がないこと」。「梨の礫」よりも広義で使われます。「彼女に連絡したが無反応だ」のように、遠くにいる相手に連絡をしても返ってこないことを表現するだけでなく、「彼女の肩を叩いたが無反応だ」のように、直接的な刺激に対して反応が返ってこないことにも使える表現です。
3:ノーリアクション
「無反応」のカタカナバージョンが「ノーリアクション」。「無反応」と同じく、連絡など間接的な接触に関しても、肩を叩くというような直接的な刺激に対しても使うことができます。
「ノーリアクションなんて悲しいよ~!」のように、カジュアルに使うことができるため、空気が重くなりにくい表現です。
梨の礫になってしまう理由
ここまでは、「梨の礫」という言葉そのものについて迫ってきましたが、そもそもどうして梨の礫状態になってしまうのでしょうか? つまり、なぜ連絡をしても返信が返ってこないのか、ということですね。ここでは、その理由について一緒に考えてみましょう。
1:連絡先が変わった
こちらが持っている相手の連絡先と、相手が使っている連絡先が異なっているパターン。相手はすでに使っていないので、そもそも連絡が来たことに気付いていない可能性があります。
2:多忙である
忙しくて連絡を返し忘れるパターンも。ついビジネスに関する連絡を優先しているうちに、プライベートな連絡を返し忘れてしまうということも考えられます。
3:「疎遠になりたい」という意思表示
残念なことではありますが、相手が「もう関わりを持たなくてもいいかな」という気持ちの場合、あえて連絡を返さないことがあります。連絡が返ってこなかった側としては切ないですが、相手からしてみれば、「もう会うことはないから」と気軽に考えている場合も。
ときにはドライに受け止める必要がありそうです。
最後に
本記事では、「梨の礫」という言葉について解説していきました。礫を連絡や便りに見立て、反応が無いことを梨で表現するなんて、一体誰が思いついたのでしょうか。日本語は「梨の礫」のように、ぱっと見で意味が分からない言葉遊びのような表現がたくさんあります。友達と造語ゲームをしてみても面白いかもしれませんね! 頭の体操にもなりそうです。
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