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この記事のサマリー
・「ミスリード」の語源は英語の”mislead”で、誤解させることを意味します。
・「ミスリードを誘う」は重複表現で誤用とされることがあります。
・「ミスリード」の言い換え表現には「誤解を招く」「勘違いさせる」があります。
「ミスリード」は、日常会話やSNS、ビジネス文書などで目にする機会の多い言葉です。サスペンスやミステリー小説では、読者を巧みに誘導する構成技法としても知られています。
この記事では、「ミスリード」の意味や語源、使い方、誤用を避けるポイント、言い換え表現までを整理しました。
「ミスリード」とは?
「ミスリード」について、まずはその語源と正確な意味を整理し、誤用を避けるための基礎を押さえましょう。
「ミスリード」の意味と語源
「ミスリード」は、英語の動詞 “mislead” を語源としたカタカナ語です。
“mislead” は “mis-(誤って)” と “lead(導く)” から成るため、「人を誤った方向に導く」「誤解させる」という意味を持ちます。
ミスリード【mislead】
[名](スル)
1 人を誤った方向へ導くこと。誤解させること。
2 新聞や雑誌などで見出しと記事とが大きく違うこと。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
新聞や雑誌の見出しと記事の中身が違うことも「ミスリード」といいますよ。
なお、似た綴りに “misread”(読み違える、誤解する)があります。“mislead” は他者を誤認させる意味、“misread” は自分が誤って理解する意味と、使い方が異なります。
「ミスリードを誘う」は正しい?
「ミスリードを誘う」というフレーズを耳にすることがありますが、この表現は不自然だとされることがあります。
「ミスリード」自体がすでに「相手を誤解させる」という意味があるため、「ミスリードを誘う」は「誤解させる行為を誘う」というように意味が重複し、違和感を与える可能性があります。
「この構成は読者のミスリードを誘う」と言いたいときには、「この構成は読者をミスリードする」と言った方がわかりやすいでしょう。
参考:『デジタル大辞泉』、『ランダムハウス英和大辞典』、『プログレッシブ和英中辞典』(すべて小学館)

「ミスリード」の使い方と注意点|例文で理解
場面別の例文と一緒に、「ミスリード」の使い方を確認しましょう。
小説やドラマでの用法
物語の展開で読者や視聴者をあえて誤解させる演出は、「ミスリード」の代表的な使い方の一つです。
例えば、ミステリー作品で「犯人はAだと思わせておいて、実はBだった」といった構成は、視聴者の認識を意図的に誤らせる「仕掛け」として機能しています。
「ミスリード」は、創作物においては技術や仕掛けとして、肯定的に評価されることも多い表現です。
例文:「この小説は読者をうまくミスリードして、最後の展開で驚かす」
メディアや記事見出しに見る用法
報道やネット記事では、「見出し」と「本文」の内容に大きな落差があるケースを指して「ミスリード」という言葉で表現します。
具体的には、タイトルで読者の関心を煽りながら、本文では十分な根拠が示されていないケースが典型的です。また、書籍のタイトルでも、印象的な表現が内容と合致しない場合に「ミスリード」と表現することがあります。
例文:「大袈裟なタイトルは、ミスリードを招いてしまうので避けるべきだ」
参考:『デジタル大辞泉』、『ランダムハウス英和大辞典』(ともに小学館)

「ミスリード」の類語や言い換え表現
「ミスリード」という言葉がやや強い印象を与えると感じたときは、場面に応じて適切な表現に言い換えることで、より円滑なコミュニケーションにつながります。
「誤解を招く」
「ミスリード」と類似した意味を持つ表現の一つが「誤解を招く」です。
「誤解」とは、事実や相手の言動の意味・真意を取り違えて認識してしまうことを指します。
例文:「この書き方は誤解を招きやすい」
「勘違いさせる」
「勘違いさせる」も、「ミスリード」の言い換え表現として使える表現です。
「勘違い」は、事実とは異なる認識をしてしまうことを意味します。
例文:「この説明は読者を勘違いさせる可能性がある」
参考:『使い方のわかる 類語例解辞典』(小学館)
英語で「ミスリード」はどう表す?
英語の “mislead” は、「人を誤った方向に導く」「誤解させる」といった意味を持つ動詞です。相手に誤った印象を与えてしまう場面や、情報提示が不十分なことで誤解を生むような場面で使います。
例文:“Don’t mislead the audience with vague statements.”
(曖昧な発言で聴衆を誤解させてはいけません。)
形容詞の “misleading” も非常によく使う語で、「人を惑わせる」「誤解を招くような」という意味を表します。情報の提示が適切でないとき、あるいは期待と実際が大きくずれているときに使う表現です。
例文:”The advertisement was misleading.”
(その広告は誤解を招くようなものだった。)
参考:『ランダムハウス英和大辞典』、『プログレッシブ和英中辞典』(ともに小学館)

「ミスリード」に関するFAQ
ここでは、「ミスリード」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. “mislead”と“misread”の意味は同じですか?
A. いいえ。“mislead”は他人を誤解させること、“misread”は自分が読み違えることを意味します。
Q2. 「ミスリード」のNGな使い方はありますか?
A. 「ミスリードを誘う」は重複表現と受け取られる可能性があります。「ミスリードする」と単独で使いましょう。
Q3. 報道や見出し以外で、他にどのような場面で使いますか?
A. ミステリー作品などで、読者や視聴者を意図的に別の方向に誘導する「仕掛け」を指す際に使います。
最後に
「ミスリード」は、英語に語源を持つ言葉であり、「誤解させる」「誤った方向に導く」という意味があります。
報道における見出しと記事の内容の不一致といった具体的な用法や、「誤解を招く」といった言い換え表現を知っておくことで、言葉選びの精度は飛躍的に高まりますよ。
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