目次Contents
この記事のサマリー
・「言わぬが花」は、口に出さないほうが奥ゆかしく差し障りが少ないということ。
・はっきり言うと身も蓋もない内容は、黙ることで場の空気を守れることがあります。
・「知らぬが仏」とは、知れば腹が立つが、知らないから平静でいられるということ。
映画の結末、友人の恋バナ、同窓会の一言、上司への本音…。言いたいけれど、言えば場がしらけたり相手を傷つけたりすることってありますよね。
「言わぬが花」は、口に出さないほうが奥ゆかしく、差し障りもなくていいということわざです。どんな場面で役立つのか、逆に言わないと困る場面はあるのか? 例文とともに整理しましょう。
「言わぬが花」とは?
まずは、「言わぬが花」の意味を確認していきましょう。
「言わぬが花」ってどういう意味?
「言わぬが花」とは、「口に出して言わないほうが奥ゆかしく、差し障りがなくていい」という意味です。
辞書では次のように説明されていますよ。
言(い)わぬが花(はな)
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
口に出して言わないほうが味わいもあり、差し障りもなくてよい。「これから先は―だ」
言わないことで想像力を掻き立てられたり、情緒が増すこともあれば、全部話すことで興醒めしたり、相手の気持ちを害することもあるかもしれません。
また、はっきり言ってしまうと身も蓋もなくなることもあるため、「言わない」ことがその場の雰囲気を守ることがあります。

「言わぬが花の吉野山」とは?
今ではあまり聞かないかもしれませんが、「言わぬが花の吉野山」という言葉も存在します。
これは、「言わぬが花」の「花」から桜の名所「吉野山」を続けた言葉遊び。吉野山は言わずと知れた奈良県の桜の名所のことです。
意味は、「言わぬが花」と同じですよ。
使い方を例文でチェック!
なかなか奥深い意味のある「言わぬが花」。具体的にはどのように使えばいいのでしょうか? 例文とともに確認していきましょう。
「話題の映画を見てきて、結末にびっくり! でもそれは言わぬが花だよね」
この例文での「言わぬが花」は、相手が映画を見るかもしれないので、「今、ここで結末を言うのは控えるね」ということを表しています。相手が興醒めしないための配慮です。
「どっちの彼が好きかって、それは言わぬが花、でしょ」
思わせぶりで、聞いた人の想像力を掻き立てる返答。言う側がちょっと楽しんでいる印象ですが、言わないことでかえって興味が増すということも大いにあるものです。
「彼女のある癖が気になるけど、言わぬが花。いつまでも友だちでいたいしね」
無くて七癖。いちいち指摘していたらきりがありません。言わずに済むことは言わないほうが、よりよい人間関係を築けるという意味の例文です。

「嘘がばれていることは、本人には言わぬが花だよ」
許せる嘘なら、「ばれていることを言って傷つけるより、言わないでおこう」という意味。言わないことがやさしさということもあります。
「どれくらい努力したかは言わぬが花。結果で判断してもらおう」
余計なことを言わず、結果を待つ。言わないことが自信でありプライドである、ということもあるでしょう。
「上司と意見は異なるが、それは言わぬが花だろう」
この場合は組織の中で、「今ここで言うのは控えたほうが差し障りが少ない」という判断のもとでの、「言わぬが花」です。
「同窓会でみんな老けたなって思ったけど、それは言わぬが花。お互いさまだし」
その場の雰囲気を楽しく、和やかにするための「言わぬが花」です。
似た意味を持つことわざは?
意外に多い「言わぬが花」に似た意味を持つ、ことわざ。ただし、意味や使い方には違いもありますので、例文を参考に場面に合わせて使い分けてください。
口は災いの元
「口は災いの元」とは、「不用意な発言は自分自身に災い招くこともあるので、言葉は慎むべきものである」という戒めです。
(例文)
「ある一言で親友と仲違いしてしまった。まさしく口は災いの元だ」
沈黙は金
「沈黙は雄弁よりも価値がある」「下手な弁明をするよりも沈黙を守るほうが賢明である」という意味の、西洋のことわざです。「雄弁は銀、沈黙は金」と対比で使われることもあります。
(例文)
「言いたいこともあるだろうけど、沈黙は金。しばらく時間を置いたほうがいい」

言わぬは言うに優(まさ)る
「黙っているほうが、かえって切実な思いをよく表す」という意味です。言わないほうが情緒がある、価値があるという点で「言わぬが花」と似ています。
(例文)
「言わぬは言うに勝るというように、しゃべり過ぎると逆に気持ちは伝わらないよ」
参考:『デジタル大辞泉』、『故事俗信ことわざ大辞典』(ともに小学館)
「知らぬが仏」との違いは?
「知らぬが仏」は、知ることで腹が立ったり悩んだりするくらいなら、知らないほうが心が乱れずに済む、という意味を持つ言葉です。
「言わぬが花」が「言わない選択」をすることで場の差し障りを避けるのに対し、「知らぬが仏」は「知らない状態」で当人の平穏を守る点が違います。
英語表現は?
「言わぬが花」を英語で表現するとすれば、“Better leave it unsaid.” でしょう。“better” は「~のほうがいい」、“leave it” は「そのままにしておく」。“unsaid” は「話さない」。直訳すると「話さないことをそのままにしておくほうがいい」となります。つまり「言わぬが花」と同義ですね。
ほかにも、“Silence is golden.”という言い方もできます。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)、『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』(Oxford University Press 1948)
「言わぬが花」に関するFAQ
ここでは、「言わぬが花」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「言わぬが花」の意味は?
A. 口に出して言わないほうが奥ゆかしく、差し障りもなくていい、という意味です。
Q2. どんな場面で使うと自然ですか?
A. ネタバレや余計な一言など、言うと身も蓋もなくなる話題を控える場面で使いやすいでしょう。
Q3. 「知らぬが仏」との違いは?
A. 「知らぬが仏」は「知らないことで心が乱れない」のが焦点で、「言わぬが花」は「言わない配慮」が焦点です。
最後に
言わないことは、逃げではなく思いやりになることがあります。言うべき時は言い、黙る時は黙る。その切り替えが、毎日の会話を心地よく整えてくれますよ。
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